【麗し大和】(14)

 春の宵に桜が美しい石舞台古墳。飛鳥はいま、一年で最も華やかな季節を迎えている。

  [フォト]昼間もおもむきある風景…桜に囲まれた石舞台古墳

 自分の墓が観光名所になったとしたら…。複雑な気分かもしれない。どーんと無防備に存在感を示す巨石は、かつて棺を収めていた石室の上部だ。下には大空間が広がり、最も大きい天井石は推定77トンというから、墓の主の強大な権力が伺える。築造年代(7世紀前半)などからも、飛鳥時代の権力者、蘇我馬子の墓とされている。

 「発掘調査で築造のために破壊された群集墳が西側に確認されました。そんなことができる人物は限られる。さらに近年、北東の丘陵で大きな柱穴や小型の建物跡も見つかり、『日本書紀』の記述にも合う。全体からみて馬子の墓といっていい」と和田萃(あつむ)・京都教育大名誉教授。

 4代の天皇に仕えた大臣(おおおみ)、馬子は間違いなく大物政治家だが、崇峻(すしゅん)天皇を暗殺した悪役イメージが定着している。一方で、積極的に仏教を招来した庇護(ひご)者との評価も。

 おもしろい話を聞いた。『日本書紀』に馬子は桜ならぬ「桃原墓(ももはらのはか)」に葬られたと記されている。なんと古墳近く、馬子邸があったとみられる島庄遺跡の池跡から多数の桃の種が出土した。しかも、花を観賞したケモモではなく食用の桃という。道教で桃は不老不死の果実とされ、日本でも邪気を払う力があると信じられた。「池の周辺に桃を植えたのは道教の神仙思想に基づくのでは」と和田名誉教授。

 馬子が夢見たのは桃源郷? 飛鳥には、想像をかきたてられる不思議な力が満ちている。(文 山上直子、写真 飯田英男)

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