今日乗ったタクシーが
めちゃめちゃ古い車で
運転席の窓が閉まらなくなった。

電動スイッチの接触不良らしい。

しかし
よくよく考えれば
車の窓が電動の理由など
果たしてあるのだろうか。

昔は全て
手動でグルグル回して
閉めていた。

実際その古いタクシーも
助手席と右の後部座席は
手動だった。

雨の中
電動スイッチが壊れ
閉まらぬ窓。

手動であれば
運転手さんも濡れずに済んだ。

便利にするはずが不便。
皮肉なもんだ。

僕が子供の頃
当然の様に
車の窓は手動から電動に
切り替わっていった。

それは
あの頃
未来=電動
みたいな
当たり前のイメージに
世界が突き進んでいたから
なのだろうか。

「すいませんねーおんぼろ車で」

運転手さんの右腕の
ワイシャツに次々できる
雨粒のあとを後ろから見ながら

電動という未来は
もはや過去の産物なのか

などとあてもないことを
考えていた。

暫くして
運転手さんが
ドアを内側から
ぶん殴ったら
閉まった。

あの頃の未来の現実は意外にも
ぶん殴って直すという
かなり昭和なアナログな世界
の一面もあるのだと

車の窓が電動になる事が未来
と思っていた頃の人に伝えたい
などと考えていた。

おちまさと

もしかしてある日
車の自動操縦が
当たり前になってから
30年後ぐらいのタクシーで
蹴飛ばして直してる場面が
あんのかね。

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