附子といいますとピンとこない方もトリカブトというと、えっ!毒薬ではないのといわれます。強烈な毒薬です。以前、殺人事件でトリカブトが使われたことが新聞面を飾ったことがありました。

毒と薬は紙一重。強烈な毒薬はうまく使えば、たいへん効果のある治療薬になります。


↓トリカブト紫色のきれいな花を咲かせます。


トリカブト

 我々は、年をとると代謝能力がおち、臓器の働きが低下します。すると冷えがあらわれてきます(老化による冷え)。この冷えを改善するのがトリカブトです。トリカブトは漢方になくてはならない生薬です。西洋薬にはこのようなお薬はありません。初秋、北アルプスに登るとどこかで紫色の兜に似た花がみられます。美しさは秋の山の花の王様です。葉を噛んでみると苦く渋く舌先が痺れます。三枚の葉で死亡するといいますがまだ試したことはありません。トリカブトは熱を加えると、毒性が消えてしまいます。だから煎じると安心なのです。

 トリカブトは熱薬ですから北側の涼しいところに生育するといいます。一度花トリカブトというのを自分の家の庭にうえました。関東の平地はあまりに暑いのか、花が咲いて一年で消えてしまいました。

 附子は、身体を暖める熱薬で、強心、利尿、鎮痛を目的として処方します。これからは花粉症のシーズン、附子の大活躍の場です。(滝原記)