ロバート・フルガムという人がこう言った。


人生に必要な知恵はすべて幼稚園の砂場で学んだ

わたしは、充実した人生を送るために必要なことは、すでにあらかた知っているのだということに思い至った。しかも、それはそんなに難しいことではない。

人間、どう生きるか、どのようにふるまい、どんな気持ちで日々を送ればいいか、本当に知っていなくてはならないことを、わたしは全部残らず幼稚園で教わった。


何でもみんなで分け合うこと。
ずるをしないこと。
人をぶたないこと。
使ったものは必ずもとの所に戻すこと。
ちらかしたら自分で後片づけをすること。
人のものに手を出さないこと。
誰かを傷つけたら、ごめんなさいと言うこと。
食事の前には手を洗うこと。
トイレに行ったらちゃんと水を流すこと。

不思議だな、と思う気持ちを大切にすること。

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ということで、先日信州の実家に帰省した折、久々に幼少の頃通った保育園に足を運んでみた。


その場所にもはや保育園の建物は無く、園庭のあった所は小さな空地(児童公園?)になっており、かつてそこにあったはずのジャングルジムや、滑り台や、シーソーや、鉄棒などは跡形もなく消え去っていた。



がしかし、なんと砂場だけが当時のまま残っていた。


ここでぼくは人生に必要な知恵をすべて学んだのだろうか。




残念ながら、砂場で遊んだ記憶がほとんどない。


唯一記憶に残っているのは、当時、他県の保育園からここに転園してきて、まだ友だちも出来なくて孤独で心細かったぼくにジャングルジムの上で声をかけてくれ、優しく気遣ってくれた、ある女の子のことだ。


名前は忘れてしまったが、
彼女はぼくにとって女神さまのような存在だった。




ぼくは砂場では多くを学ばなかったかもしれないが、

あのジャングルジムで、あの瞬間、ぼくのその後の人生における人間に対する接し方、考え方を決定づける何か実に重要で本質的なことを学んだ気がする。


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