そもそも、検査の結果大丈夫だったのにも関わらず、
不安や心配をする声が相次いだから中止になったという経緯があります。
これは実施者の責任か、反対した市民の責任か、
どっちか判別しにくいものがあります。
ですが、正直な感想としては、
そんなもん検査で大丈夫だったんだから、
最初からやってしまえば良かったのにと思います。
再び松を使うことを決めた後、
今度は放射性のセシウムが検出されてしまったのですが、
放射性のセシウムが検出されたのは、松の皮の部分からだそうです。
なぜ最初の松から放射能は出なかったといえば、
それは、松の皮を取り、
薪として使えるよう加工した後だったからといいます。
主催者側には、
なぜ最初の検査と同じ条件で調べなかったのかという疑問がありますが、
話が二転三転し、さらには送り火までの日数が近づいていることもあって、
ドタバタしてしまって、
検査の手順までしっかり目が行き届かなくなったことも考えられます。
なぜ検査で問題がなくても駄目だったかと言えば、
その検査結果が広く周知されていなかったからとも言えますが、
自分ならどういう行動をとるかという視点で考えた場合、
被災地の松を使う安全性の根拠を、
クレームを入れた側の市民が考え、知ろうとしなかったことも
問題として挙げられるのではでしょうか。
放射性物質についてこれだけ騒がれている中で実施するのだから、
それを裏付けるものがあるはずで、
検査結果を知らなくてもちょっと考えて調べれば、
検査で大丈夫だったという情報にたどり着くはず。
反対であることを伝えるからには、
その根拠となる情報をちゃんと知っておく必要があります。
大事なことは、何を知るべきか考え、
そして知って、そこからどう考えるかです。
この騒動の結果、
「これは被災地に対する差別の表れだ」という批判が出ました。
これに付随して、
「京都は観光するにはいい街だけど、住むには閉鎖的で住みにくい街で、
今回の送り火中止も閉鎖的な考えが根底にある。」と言われることもありました。
これでは、被災地にとっても、
京都にとってもよい出来事だったとはとうてい言えません。
差別や偏見が行動に出てしまう原因は、
その物事をよく理解していないことに起因すると思います。
差別や偏見が行動に出てしまう前に、
冷製に考え、理解するための情報を得ていれば、事は大きくならなかった気がします。
五山送り火（ござんのおくりび）は、毎年8月16日に京都市にある山々で行われ、
夏の京都の夜に
東西の「大」「妙法」「舟形」「鳥居形」の炎が上がる。
葵祭・祇園祭・時代祭とともに京都四大行事の一つとされ、
「大文字の送り火」または「大文字焼き」として広く知られている。
火がともされるのは、
京都市左京区浄土寺の大文字山(大文字)、
京都市左京区松ヶ崎の西山及び東山（松ヶ崎妙法）、
京都市北区西賀茂の船山（舟形万灯籠）、
京都市北区大北山の左大文字山（左大文字）、
京都市右京区嵯峨鳥居本の曼陀羅山（鳥居形松明）の五山で、
お精霊（しょらい）さんと呼ばれる死者の霊をあの世へ送り届けるとされる。
今年の送り火では、被災地の松を燃やし、
東日本大震災の犠牲者の冥福を祈る予定だったが、
放射能汚染を心配する声が主催者や市に多く寄せられた。
その為、被災地の松を使うことが一旦は中止されたが、
「過剰反応だ」という声も多く寄せられた為、
再び被災地の松を燃やすこととなった。
中止前に使う予定だった松からは、放射性物質が検出されなかった。
が、再び燃やすことになった後に使うことにした松からは、
放射性物質が検出された。
このような経緯から、二転三転し、
結局は被災地の松を使うことは取りやめられ、
被災地にとっても、京都にとっても、メリットにはならなかった。
08.10.12 撮影
■参照および引用した記事
・「被災地薪の送り火中止、京都市が謝罪…苦情千件」
2011年8月9日21時32分 読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110809-OYT1T00981.htm?from=popin
・「まきに放射性物質 送り火断念」
8月12日 17時42分 ＮＨＫニュース
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110812/t10014878261000.html
・「「核廃棄物持ち込み許さない！」 マツ騒動、今度は成田山新勝寺に抗議」
2011/8/15 19:33 J-CASTニュース
http://www.j-cast.com/2011/08/15104496.html
・wikipedia：五山送り火
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%94%E5%B1%B1%E9%80%81%E3%82%8A%E7%81%AB
...など