ぼくたちは、ひと部屋ずつ、見てまわったよ。



うきぼう「あそにあるのは、マリー・アントワネットの肖像画っすね」


ニャンまげにとびつこう!

マリー・アントワネットの肖像画



うきお「こいつですか、淫売浮気おんなは」


猫大魔王「ウム」


うきぼう「子どももいるっすね」


猫大魔王「ウム。向かってすぐ左にいるのが第一子のテレーズ。手に抱いているのが、次男のシャルル、そして、離れたところに立っているのが長男で王室の跡継ぎだったジョゼフ王子である」


うきた「この子はなんで離れてるの? それに、両手で後ろと横を指差してるけど」


猫大魔王「うきた君、慧眼なのである」


ニャンまげ「そういえば、不自然だな~」


猫大魔王「実は、この絵が描かれる前、アントワネットは第4子であるソフィーを産んだのであるが、その子はすぐに亡くなってしまったのである」


うきた「あっ、この子が指差してる後ろのほうは揺りかごだねっ」


猫大魔王「ウム。この長男ジョセフは非常に頭の良い子であった。彼はこのポーズをとることににより、ある怖ろしい事実を後世に残そうとしたのである」


うきお「どんなことでしょうか?」


猫大魔王「マリー・アントワネットがフェルゼン伯と愛人関係にあったのは先ほども説明したとおりである」


うきお「毎晩のように、いろんな部屋でヤリまくっていたんですね」


猫大魔王「ウム。このアントワネットは、敬虔なクリスチャンでもあった。クリスチャンの教えでは、避妊はいっさいしてはいけないことになっている」


うきお「な、なんと・・・!」


猫大魔王「アントワネットも当然、その戒律を守っていた」


うきお「僕もクリスチャンになろう!」


うきぼう「・・・」


猫大魔王「当然のように、アントワネットは生涯で何度も妊娠することになった。第1子で長女のマリー・テレーズ・シャルロット、この子はフェルゼン伯の子どもであった」


うきぼう「ま、そんなもんでしょうね」


猫大魔王「ちなみに、この妊娠を知ったとき、アントワネットは、夫のルイ16世とはまだ性的な関係はなかった」


うきお「ホーケイ・・・くくっ(笑)・・・のためですね」


猫大魔王「ウム。そこで、フェルゼン伯爵は、アントワネットの兄ヨゼフ2世の力を借り、ルイ16世に手術をすることを納得させる。アントワネットはすぐさま、まともな身体となった夫と、苦痛に満ちた形式だけのセックスをした。こうして、月足らずで生まれたのが、テレーズであった」


うきお「旦那さん、かわいそうだなあ」

猫大魔王「次の妊娠は、ルイ16世の子どもであった。フェルゼン伯の子どもである長女テレーズを溺愛していたアントワネットは、ルイの子どもを産みたくなく、当時の乱暴的な方法により、人工的に流産させてしまった」


うきぼう「子殺しっ! 人殺しっ!」


猫大魔王「そして、次の妊娠もルイ16世の子どもであった。しかし、今度は人口流産に失敗。第2子にして長男、王位継承者である、ルイ・ジョゼフ・グサヴィエ・フランソワが産まれる。しかし、人口流産をしかけた影響かどうかはわからぬが、ジョゼフは生まれつき難病を抱えていた」


うきた「コワイよおっ!」


猫大魔王「次の妊娠は、フェルゼン伯の子どもであった。第3子にして次男、ルイ・シャルルは、フェルゼン伯の面影のある美しい男の子で、マリーはシャルルを溺愛した」


うきお「浮気相手の子どもは産んでもらえるんですね」


猫大魔王「ウム。こうしたことにより、アントワネットは、フェルゼン伯との子どもであるテレーズとシャルルはとてもかわいがった。反面、夫に似て頭の良いジョゼフを毛嫌いしていた」


うきお「かわいそうなんだなあ」


猫大魔王「そしてアントワネットは、次の妊娠をする。ルイ16世との子どもであったが、人口流産の失敗を怖れて、しかたがなく出産。第4子にして次女、ソフィー・エレーヌ・ベアトリクスが産まれる。しかし、これ以上の精神的な苦痛を味わいたくないと思ったアントワネットは、生まれてすぐのソフィーを謀殺してしまったのだ」


うきた「コワイよおっ!」


うきぼう「子殺しっ! 人殺しっ!」


猫大魔王「子どもたちの中で唯一ルイ16世の子どもであるジョゼフは、生まれつきの難病をかかえていたため、母の手にかかることはなかった。しかし、ソフィーを殺したことにより、ジョゼフも殺してしまおうという思いがアントワネットに芽生えてきた」


うきた「コワイよおっ!」


うきぼう「子殺しっ! 人殺しっ!」


猫大魔王「父ルイ16世に似て頭の良いジョゼフは、そのことをすぐに感じとった。しかし、表立ってそのことを告発することはできない。そこで、この肖像画が描かれることになった時、彼は、独特な姿勢をとることにより、母の所業を訴えることにしたのだ」


ニャンまげ「というと・・・」


猫大魔王「後ろのゆりかごを指差しているのは、もちろん生まれてからすぐになくなった妹ソフィーのこと。そして、もう一方の手で横を指差しているのは母マリー・アントワネット」


ニャンまげ「あっ・・・」


猫大魔王「「妹を殺したのは、この人マリー・アントワネットですよ」」


うきた「コワイよおっ!」


猫大魔王「「そして、次は僕が殺されることになるでしょう。僕も母に嫌われていますから」。ジョゼフが母から離れた位置にいるのは、そのためである、ウム・・・」


うきた「コワイよおっ!」


猫大魔王「その後、悲しいことに、ジョゼフが予測したとおりのこととなった。ルイ16世に似ているという理由に加え、フェルゼン伯との子どもであるシャルルを確実に王位継承者にするために、アントワネットはジョゼフも謀殺してしまったのである」


うきぼう「子殺しっ! 人殺しっ!」


うきお「中絶おんなと同じだっ!」


猫大魔王「公表された死因はジョゼフの持病であった「脊椎カリエス」。そして、絵の不自然さに遅まきながら気づいたアントワネットは周囲にこういった。「あの子は、自分が難病で死ぬことを知っていました。次の王位継承者は横で私に抱かれているこの子だよといいたかったのでしょう」」


うきぼう「悪魔っ! 地獄の悪魔っ!」


うきお「中絶おんなと同じだっ!」


猫大魔王「それだけアントワネットは、フェルゼン伯のことだけを考えて生きてきたのだ。盲目的といえるほど。彼女の望みどおり、シャルルが王位継承権を得る。しかし、これは王室を守るためだけの政治的な判断。あの心優しい国王ルイ16世でさえ、生涯にわたってシャルルのことを「わが子」と呼ぶことはなかったは有名な話である」


うきお「旦那さん、本当にかわいそう」


猫大魔王「その後フランス革命が起き、アントワネットととシャルルはタンプルの塔に幽閉、ルイ16世はギロチンにより処刑されてしまった。しかし、アントワネットが悲しんだのは、夫の死ではなく、フェルゼン伯との情事を断たれてしまったこと。そこでアントワネットは、フェルゼン伯の面影のあるシャルルに対して、近親相姦を行いつづけていたのである。フェルゼン伯のことを思いながら。相手はまだ10歳にもならない、自分の実の子どもであるというのに・・・」


うきぼう「死ねっ、アントワネット!」


うきお「死ねっ、アントワネット!」


猫大魔王「この事実を知った革命政府は、シャルルの身の安全のため、ふたりを引き離す。情事の相手を失ったアントワネットは、狂ったように嘆き、悲しんだという。その後、アントワネットはコンシェルジュリー牢獄に移管。ここで妊娠が判明するが、それがシャルルとの子どもなのか、牢獄での看守による強姦によるものなのかはわかっていない。彼女は何の処置もされぬまま、獄内で流産。部屋は血だらけになったという。その後も、子宮からの出血が続いた。彼女が殺した子どもたちの怨念かと思えるほどに・・・。このたび重なる出血が終わったのは、彼女がギロチン台で首を落とされる日であった・・・」


うきぼう「死んだっ、アントワネット!」


うきお「死んだっ、アントワネット!」


猫大魔王「この絵のジョゼフは、今も我々に語りかけているのである。マリー・アントワネットが犯した、無慈悲な罪の数々を・・・」



ニャンまげにとびつこう!

子殺し、人殺しの肖像画を見るうきお