部員たちは先生に断りもなくサボる部員には厳しい。先生を丸め込んで休みを勝ち取ったりはするけれど、勝手にサボったりはしないというのが、暗黙のルールとしてあるのだ。

「あんたの家でちょっと休ませてほしいんだけど、いい?」

 言ってから、高校に入ってからずっとできなかった“人に気楽に声をかける”ということが、にな川相手だとできたことに気づいた。

(103ページ(ページ数は「文藝」2003年秋号のもの))