■78年に臨界事故か 東電は国に報告せず | 原発事故は東電が招いた人災

■78年に臨界事故か 東電は国に報告せず

日本初の臨界事故(しかも臨界状態が7時間以上続いていた)も30年近く隠蔽されていたと

事故発生日:1978年11月2日 東京電力 福一原発 3号機(7時間に及ぶ日本初の臨界事故)
事故発生日:1979年2月12日 東京電力 福一原発 5号機(制御棒脱落)
事故発生日:1980年9月10日 東京電力 福一原発 2号機(制御棒脱落)
事故発生日:1984年10月   東京電力 福一原発 2号機(緊急停止)
事故発生日:1999年6月18日 北陸電力 滋賀原発 1号機(制御棒脱落)

発覚日:2007年3月22日
全国の12電力会社は 不適切事例 4518件、原発関連は7社で97件あった

北陸電力の臨界事故隠しに対するコメント
http://www.rikuden.co.jp/shika1rinkai/

<福島第1原発>78年に臨界事故か 東電は国に報告せず
2007年3月22日18時1分配信 毎日新聞

東京電力は22日、78年に、定期検査で停止していた福島第1原発3号機(福島県大熊町、沸騰水型、出力78万4000キロワット)で、臨界事故が生じていたとみられると発表した。臨界は最大7時間半続いたとみられ、判明している中では日本初の臨界事故だったことになる。

 停止中の原子炉から、炉のブレーキである制御棒5本が抜けて臨界に達していたと考えられる証言やメモが、元発電所員や、原子炉メーカーの東芝などから得られた。東電は事故を国に報告していなかったが、当時、法律上の報告義務があったかについては、経済産業省も文部科学省も分からないという。

 同原発ではさらに、79年2月12日に5号機、80年9月10日に2号機で、いずれも定期検査で停止中に制御棒1本が抜け落ちていた。原因は3件とも、北陸電力志賀原発1号機の臨界事故などと同様で、開けるべき弁をしめたまま作業していたためとみられるという。

 東電の調査結果を総合すると、78年11月2日午前3時ごろ、137本あってすべて完全に炉に挿入されていた制御棒(長さ3・6メートル)のうち5本が、全長の12分の1から4分の1にわたって抜け落ちた。

発電所は当時、各制御棒の駆動装置の弁を閉める作業をしていた。この際に、事前に開くべき別の弁(逃し弁)を閉じたまま作業したため、駆動装置が異常作動したと推測されている。

 炉内で核分裂反応が始まり、発生する中性子の量が上昇。東電の車内メモによると、少量の中性子を測るための中性子測定器が測定限界値を記録する状態が、約7時間半にわたって続いていた。午前10時半ごろ、運転員が各制御棒の緊急挿入装置を作動させ5本を元の位置に戻したらしい。

 当時、原子炉の本体(圧力容器)のふたは閉まっていたがその周囲にある格納容器のふたは開いていた。被ばくの有無は調査中だという。【高木昭午】


■ 原発「不適切な事例」、97件 東電含め電力7社 asahi.com 2007年03月30日21時25分
http://www.asahi.com/national/update/0330/TKY200703300341.html

全国の12電力会社は30日、発電所におけるデータ改ざんやトラブル隠しに関する調査報告書を経済産業省原子力安全・保安院に提出し、不適切事例 4518件を報告した。うち原発関連は7社で97件あった。東京電力は福島第一原発3号機(福島県)で78年に起きた制御棒脱落は臨界事故に至っており、それを隠していたと断定。同2号機で84年に起きた原子炉緊急停止も隠していたと報告した。

調査対象は原子力、火力、水力の約1400発電所。不適切事例の内訳は原子力97件、火力148件、水力4273件。看板設置などで河川法に基づく届け出を怠った事例約3500件を含めた東電が突出するなど、集計の基準などが一様でないため、件数は会社により大きく違っている。

福島第一原発3号機の78年の事故は、運転員が制御棒の脱落に気づかず、臨界状態と判断できないまま7時間半も放置した末に、記録を改ざん、事故を隠していた。しかし、原子炉メーカーの東芝に残されていた手書きのメモなどを分析した結果、臨界に達していたと断定した。

福島第一原発2号機では84年10月、原子炉起動時に緊急停止装置が働いたが、運転員が記録を改ざんして国や地元に報告せず、原子炉等規制法違反の疑いがある。

運転員の想定より速く核分裂反応が進み、数秒間臨界状態になった。当時、原子炉格納容器内では約100人が作業していた。基準を上回る被曝(ひばく)はなかったが、東電は「格納容器内で作業中なのに、臨界に達してしまったのは不適切だった」としている。

北陸電力は、志賀原発1号機(石川県)の臨界事故隠しは当時の発電所長の指示だったとした。2カ月後に迫っていた志賀2号機着工への悪影響を恐れたという。本店は関与しておらず、同時に二つの点検作業をしたのが原因の一つだったとした。

制御棒脱落は志賀原発1号機をはじめ、東電、東北電力や中部電力など計10基の原発で起きていたことが判明。最初の福島第一原発3号機の臨界事故で情報が共有されていれば、続発は防げた可能性がある。

日本原電は敦賀原発(福井県)2号機で97年の原子炉格納容器の気密試験で国の検査をごまかした問題について、不正の実行者や指示者は判明しなかったと報告、調査の限界を示した。

一連の不祥事を受け、東電は同日、勝俣恒久社長ら64人を減給などとする処分を発表した。勝俣社長と田村滋美会長が3カ月間10分の3の減給、林喬副社長ら3人が3カ月間100分の15の減給など。