■第164回国会 衆議院予算委員会 および 第165回国会 衆戯院 内閣委員会  | 原発事故は東電が招いた人災

■第164回国会 衆議院予算委員会 および 第165回国会 衆戯院 内閣委員会 

地震、津波対策が不十分と言う指摘がなされて来たことは何度も書いてますが、衆議院 予算委員会および内閣委員会から
http://iori3.cocolog-nifty.com/tenkannichijo/2011/03/2005-073-4f4d.html

第164回国会 衆議院 予算委員会第七分科会
平成十八年三月一日(水曜日)
吉井分科員
今おっしゃった四分の話というのは、直下型で同時に津波が起こったときには、私はそういう発想も成り立つかと思っているんです。それをあながち否定しているんじゃないんです。しかし、チリ津波なんかのときには、そもそも周期が五十分なんですね。長いんです。そのときは、水位低下の状態が長時間にわたるわけです、二十分近くとか、あるいはもう少し長い場合とか。ですから、それは、今おっしゃったような簡単な話じゃない。
 ですから、確かに、津波が来れば、すぐその対策を遠くからの津波だったらとれるわけです。しかし、近くの津波の場合は、地震そのものの問題、浜岡でいえば冷却水管が破損されるということも含めて考えなきゃいけない。
そういう深刻な問題を持っているということを考えて、しかし、その対策をちゃんととらなかったら、例えば、原子炉停止に時間がおくれ、崩壊熱除去の取水槽の水量が不足してしまったときは、これは私、余り大げさに物を言うつもりはないんですが、しかし、最悪の場合というのは、常にこういうものは考えなきゃいけませんから、最悪の場合には、崩壊熱が除去できなければ、これは炉心溶融であるとか水蒸気爆発であるとか水素爆発であるとか、要するに、どんな場合にもチェルノブイリに近いことを想定して対策をきちんきちんととらなければいけないと思うんです。最悪の場合は、崩壊熱が除去できなかったら、そういうことになり得るわけでしょう。
広瀬政府参考人
原子炉施設の場合でございますが、まず、BWR、沸騰水型の場合には、原子炉停止時冷却系で原子炉の崩壊熱を除去いたします。これは、原子炉から出てまいります水蒸気を用いて、蒸気タービンで原子炉隔離時冷却ポンプを動かしまして、サプレッションプールの水で冷却をするというやり方で、これが機能すると考えております。また、加圧水型原子炉の場合も、同様な形で補助給水系を稼働させて原子炉の崩壊熱を除去できるというふうに考えております。

吉井分科員
要するに、おっしゃったタービンを回す冷却系が、それ自身を冷却するのに冷却用の海水を使うわけですよね。それが失われてしまうということは、これはそもそも、その冷却機能が失われるということになるんです。とめた場合は比較的早くにその冷却水量は少し要らなくなったとしても、今度は内部の崩壊熱除去にそれは必要になってくるわけです。内部の崩壊熱の除去の分が一分間六十トンということで、これが失われてきたりすると、やはり深刻な問題になるわけですね。
 だから、最悪の場合は炉心溶融とか起こり得るということを念頭に置いて対策を考えなきゃいけないと思うんですが、そのことは一応念頭に置いての対策を考えるんですね。
広瀬政府参考人
先ほど申し上げました蒸気タービンといいますのは、発電系のタービンではなくて原子炉隔離時冷却系のポンプを動かすタービンでございますので、そのタービンで補助原子炉隔離時冷却系を作動させるということになっております。原子炉の安全性のためには、停止した場合に崩壊熱を除去するということを第一に考えて対応することが重要だと考えております。
吉井分科員
ですから、原子炉をとめるまでも、とめてからもその冷却をする冷却系が喪失するというのが、津波による、引き波による問題なんです。
 あわせて、大規模地震が起こった直後の話ですと、大規模地震によってバックアップ電源の送電系統が破壊されるということがありますから、今おっしゃっておられる、循環させるポンプ機能そのものが失われるということも考えなきゃいけない。その場合には、炉心溶融という心配も出てくるということをきちんと頭に置いた対策をどう組み立てるのかということを考えなきゃいけないということだけ申し上げて。
第165回国会 衆戯院 内閣委員会 3号
平成十八年十月二十七日(金曜日)

吉井分科員
時間が大分迫ってまいりましたので、私、政府参考人に聞く予定をしておった話は、確認する質問は先においておいて、原子力安全委員長の方に直接いきます。
 例えば志賀一号で、地すべりで高圧送電線の鉄塔が倒壊した、外部電源の負荷がなくなったから原発がとまったというのがありますね。原発がとまっても機器冷却系が働かなきゃいけませんが、外部電源からとれればそれからも行けるんですが、それも大規模地震のときはとれないわけですね。
 では、内部電源の方はどうなっているかというと、こちらの方は、実際には九九年の志賀一号だとか、八八年の志賀二号とか、九九年二月や九八年十一月の敦賀の事故とか、実際に、バックアップ電源であるディーゼル発電機自身が事故をやって働かなくなった、あるいは、危ないところで見つけはしたけれども、もし大規模地震と遭遇しておれば働かなかったというふうに、配管の切断とか軸がだめになっていたものとかあるわけです。そういう中で、スウェーデンのフォルスマルク原発一号では、バックアップ電源が四系列あるんだけれども、同時に二系列だめになった、こういう事故があったことは御存じのとおりです。
 それで、日本の原発の約六割は、バックアップ電源は三系列、四系列じゃなくて二系列なんですね、六割は。そうすると、大規模地震等によって原発事故が起こったときに、本体が何とかもったとしても機器冷却系に、津波の方は何とかクリアできて、津波の話はことしの春やりましたけれどもクリアできたとしても、送電鉄塔の倒壊、あるいは外部電源が得られない中で内部電源も、海外で見られるように、事故に遭遇した場合、ディーゼル発電機もバッテリーも働かなくなったときに機器冷却系などが働かなくなるという問題が出てきますね。このときに原子炉はどういうことになっていくのか、この点についての原子力安全委員長の予測というものをお聞きしておきたいと思うんです。
 それが一点と、もう一点は、機器冷却系が働かないと当然、崩壊熱の除去ができませんから、崩壊熱除去ができないことになったときに、核燃料棒のバーンアウトの問題、これは海外でそういう例もありますけれども、こちらの方はどうなっていくのかという原子炉の安全にかかわる問題について、この場合、どのように想定して、そして審査を進めておられるか、これを伺います。
鈴木参考人
ありがとうございます。
 最初の点でございますが、いろいろな事態がもちろんあり得ると思っていまして、ただ、そういう事態になったとしてもできるだけ、先生が御心配のように、炉心が深刻な事態にならないようにというのが我々がとっている方針でありまして、そういう意味では、例えば非常用ディーゼルが万一動かなくなったという場合には、さらに直流のバッテリーを用意するとか……(吉井委員「いや、フォルスの方はそれもだめでしたからね、二系列」と呼ぶ)フォルスマルクの場合は四系列の二系列がさらにだめになったということですね。(吉井委員「バッテリーもだめでしたから」と呼ぶ)はい、二系列ですね。
 したがって、同じバックアップを多重に持つということと、多様に持つ、つまり、ディーゼルだけじゃなくて直流も持つとか、それからそれぞれを複数持つとか、そういう考え方をまず審査の段階で、設計の段階で確認しております。
 地震等においてさらにそういうものが使えなくなるという事態に対しては、もう一つは、私どもとしては、アクシデントマネジメント、非常事態における管理ということで、日本の場合は同じサイトに複数のプラントがあることが多いので、ほかのプラントと融通するとか、そういうような非常に多角的な対応を今事業者に求めているところでございます。
 それで、先生お尋ねの、そういう事態になったときにバーンアウト等で燃料が破損する、放射能が外部に放出されるというような事態に対してどう考えているかというお話でございますが、これにつきましては、まず、そういう事態になったときに大きな事故に至らないかどうかを設計の段階、最初の基本設計段階で安全評価をして、安全評価の結果、そういう事態に至らないようにまず確認するというのが一番の基本でございます。
 と同時に、しかし、さらに非常に、通常はあり得なくても理論的にはあり得るという事態に対してどう考えるかでございますが、これについては私ども、最近、耐震安全に係る指針を改定いたしました。そういうことで、さらに耐震設計を基本的には厳しくしていきたい、こう考えておりますが、そういう中でも、さらに、残余のリスクと称しておりますけれども、そういうような基準をさらに超えるような大変大きな地震が来たときには、では、どうなのかということも、これは事業者に、そういうことも評価してください、評価した結果、そういうことがまず起こらないことを数字で確認するか何らかの方法で確認してください、そういう方針で今考えております。
 ありがとうございました。
吉井委員
時間になりましたから終わりますけれども、私が言いましたのは、要するに、フォルスマルク原発の場合も、ディーゼルとそれからバッテリーと両方一系列なんですよ。これは四系列あるうちの二系列がだめになったんです。外部電源もだめですから、ほかのところから引っ張ってくるというのも、もともとだめなんです。ですから、そういう場合にどういうふうに事故は発展していくものかということをやはり想定したことを考えておかないと、それは想定していらっしゃらないということが今のお話ではわかりましたので。
 あわせて、バーンアウトという問題は非常に深刻です、燃料棒自体が溶けてしまうわけですから。これについては海外でチェルノブイリその他にも例があるわけですから、バーンアウトというのは深刻な問題だということで、原子力安全審査というのはまだ発展途上といいますか、この例を言ったら、事務方の方はそれはまだ想定していませんというお話でしたから、きちんとこういうことを想定したものをやらない限り、原子力の安全というのは大丈夫とは言えないものだ、それが現実だということを指摘して、時間が参りましたので、また次の機会に質問したいと思います。
 終わります。