原発事故の賠償条約加盟へ 外国の法外な請求防ぐ | 原発事故収束のブログ

原発事故の賠償条約加盟へ 外国の法外な請求防ぐ

日本経済新聞より抜粋:


政府、週明けに米と協議開始
2011/8/14 2:00


政府は原発事故の発生で外国から損害賠償請求された場合に対応するための国際条約に加盟する方向で調整に入った。 賠償に関する裁判を事故が起きた国に集約するルールを明確にする内容。 外国からの法外な賠償請求を防ぐ効果がある。 議論を主導する米国と週明けに協議を開始する。 今秋にも関係省庁の検討会を立ち上げて国内法の整備などの準備も本格化させる方針だ。


加盟を検討するのは「原子力損害の補完的補償に関する条約」。 現在は米国とモロッコ、ルーマニア、アルゼンチンが加盟済み。ただ「5カ国以上の批准」などの条件が整っていないため、まだ発効はしていない。 同様の条約は欧州連合(EU)やロシアがそれぞれ主導するものがあるが、政府は米国主導の条約が最も広がりを持つと判断している。


政府は米国の働きかけにもかかわらず、これまで加盟を見送ってきた。 原発事故が海外で発生して日本側が被害を受けるケースを主に想定してきたためだ。 条約に加盟して裁判を相手国に委ねた結果、その国の基準で低い賠償を受け入れざるを得なくなる事態を懸念していた。


方針を転換するのは、東京電力福島第1原発の事故の発生で、国内の原発事故で海外から巨額の賠償を求められる可能性を認識したためだ。 原発事故による海洋汚染で漁業被害が近隣国に及んだ場合でも、その国が条約に加盟していれば、賠償関連の裁判を日本に集約できる。


条約には、賠償支払いに関する相互支援の枠組みも盛り込んでいる。 加盟国は事故発生国に、一定のルールで資金を拠出する。ただ、これらの制度は、条約発効前に起きた福島原発事故には適用されない。


原発事故発生後の賠償ルールの透明化は国際的に必要性が指摘されており、日本政府は「アジア各国など原発の新規導入を目指す国の参加が幅広く見込まれる」とみている。 条約加盟国が広がれば、将来の原発輸出にもプラスに働くと期待している。


半面、原発事故を起こした条約加盟国の法整備や法慣習が、日本の制度と大きく違う場合、日本側の被害者の権利が十分、守られない可能性もある。 政府は加盟条件や加盟希望国の法制度の研究も重ね、慎重に判断する方針だ。


日米協議は外務、経済産業両省の担当幹部を派遣し、15日から米国で開始する。 国内法整備の検討会には文部科学、法務両省などが参加する見通しだ。