いいわけ。 | †少女症候群†

いいわけ。


華やかな豪邸に住んでいた 私の祖母の今の家は
石造りで、かなり古い。

苔むしており、 蜘蛛が一緒に生活しており、
屋根のような部分には 藤壺に似た草が這っており
裏庭では 出所のよく解らない花瓶が割れており、、

更には 蔦が絡まっている。


生前 とても美しいもの、華やかなモノを好んだ祖母だが
孫(私)に影響されて 退廃趣味に変わってしまったのだろうか?

何より、大分スペェスを取らなくなったようだが… 狭くはないのだろうか。

と、率直に思った。










*  *  *  *



亡くなって 若干、三年目。

その日 私以外
祖母の元には 誰も足を運んでいないらしかった。


相変わらず 父や義母は忙しく 生を全うしているらしい。



*  *  *  *

























祖母が死んだ日は シド・ヴィシャスの誕生日らしいのだけれど

シドは お墓に骨が埋まっていないそうだ。


ジョニー・ロットンが 「パンク的葬儀」として
ヒースロー空港だとか云う場所に、彼の骨を撒いてしまったから らしい。


それを弁解に使用するが、

「藤壺(っぽいもの)を取る為だったり 色々なモノを確認する為に
 墓の上に乗っかる行為は

 人として まぁ、ジョニーよりはマシかしらね?」


等と思いながら、私は墓の上に上っていった。



「が つまり それって、
 ロック的行動としては ジョニーにかなり劣るんだろうな」

等と、奇妙な事も考えていた。







『常識って なんだろう?』

常識。 そんな面倒な箍に縛られてしまう事が
私には 酷く恐ろしい事のように 感じられていた。




もし、常識に私達を縛ったとしたなら。

祖母は この日に逢えぬ息子や 義理の娘を想って
酷く悲しんだだろう。



採用されてしまう、常識が 『そんなもの』を含む限り 私は、ソレを要としない。


兎に角 笑い飛ばす事でしか 現実を生き抜けない気がした。













*  *  *  *








墓の上からの景色は 思ったより 悪くもなかった。

なんだ 祖母は退廃的趣味になった訳じゃあ なかったのか。