未知の領域に挑戦するんだ!!!
「農業を科学する研究会」で今後わたしが明らかにしたい内容について、第一回の研究会の総会にて発表しました。
私自身が知りたいことです。仮説やイメージはありますが本当のところはわからない内容です。
これまで土壌というのは未知の領域のように思われていたことが多すぎます。もっと明確になれば多くのことがもっと簡単に解決することができるようになるでしょう。
ワクワクしています。
土づくりの効果測定
いわゆる土づくりで最も簡単に効果のある方法は何でしょうか。
土壌の変化というのはなかなか明確にできませんが、土壌硬度測定では土壌の物理的な変化を捉えることが出来ます。
様々な土づくりの中でどのような土壌ではどのような土づくりが適しているのかがわかれば、従来よりも効率的に「土づくり」を進めることが出来ると思われます。
また、土壌改善効果がわかれば長期的にどの程度まで土壌の状態が維持できるのかもわかります。大規模な土壌改善の場合、数年に一度行えば土壌の維持ができるという事になり、いわゆる土づくりをいつ行うのかという目安にすることも可能となると思われます。
以前にも書きましたが、土壌改善「土づくり」は、水田においても最も効果があるのではないかと考えていますが、その検証もできればいいなと思っています。水田は代掻きなどを行うためにどこでも同じと思われている方が多いように思いますが、圃場によってかなり土壌硬度分布は違い、それが収量などの違いとなっています。
自らの圃場の土壌硬度を知る
いずれにしても土壌硬度を測定しないことには、どうなっているのかは全くわかりません。まず、土壌硬度を測定しないことにはなにも始まりません。
圃場の均一性の確認
畑地土壌においては、意外なほど圃場が均一ではなくそれが地上部の生育の不均一に拍車をかけています。表面の均一性だけではなく、作土の深さなども均一にしなければ歩留まりの向上につながらないでしょう。
土壌硬度の評価基準をつくる
土壌硬度を測定したとしてもグラフにすることが可能になりますが、それではあまり役に立つとはいえないでしょう。
栽培にどのように影響があるのかを判定できなければ、ただの数字の羅列にすぎないとも言えます。pHにしろECにしろ、作物栽培との関係を見いだせなければ利用できないのと同じです。
これまでわたしが行なってきたのは、対象作物と1:1の関係性を明確にすればよかったのですが、もう少し汎用性のある評価基準にする必要があるでしょう。
土壌硬度の評価基準ができれば、土壌硬度については多くの農業者の共通言語とすることが可能となり、柔らかい硬いといった曖昧な表現から脱皮を図ることが出来ると思います。
「基準」作成は必須であり、基準ができることで土壌硬度への理解が深まるものと思います。
播種床づくりの最適化
土壌硬度分布において最重要なのは、「ここ」です。
土壌硬度分布と作物収量や品質が相関するのは播種時点です。
つまり、土壌全体を良くするとともに作物に応じた播種床をつくるというのは、当然のことですが案外その部分が蔑ろにされています。
多くの解決すべき課題がありますが、要するに「土づくり」の目的というのは、播種床を最適な状態にするためにあるといってよいでしょう。
いかに有機物を投入しようとも、資材を投入しようとも、耕起方法を変えたとしても播種床づくりで失敗している例が非常に多いと考えています。
微妙な違いを土壌硬度計でどこまで把握できるのかという問題はありますが、どのような深さまで作土をつくるのか、というような問題に関しては案外ラフに行われています。
特に作土については深ければいい、と言う認識があるようですが、わたしに云わせればそういうことではありません。
土壌病虫の発生しにくい土壌をつくる
土壌病害は間違いなく土壌の物理性と密接な関係があるだろう。問題になる病害でも出る圃場と出ない圃場がある。一体何が違うのだろうか。
私としては収量品質だけではなく、土壌病害に対してもっとも効果のある土壌硬度を特定できれば土壌病害の抑制につながるものと思っています。先日も何かの病気と土壌硬度の関係が明らかになったようで、多くの病害でも同様の結果になるのではないかと想像しています。
また、一つの病害を克服するとそこには多くのヒントが生まれるでしょう。
生物性、化学性、物理性を含めた総合評価
これらは別々に存在しているわけではなく、複雑に絡み合っています。
どれが重要ということではありませんが、それぞれが重要なのは間違いないです。
とくに土壌の物理性の変化については、生物性が大きな役割を果たしていると考えられ、経時的な変化に非常に興味を持っています。
経時的な変化がわかれば作業工程に大きな変容を及ぼすものと想像しています。つまり、作業を行っただけではなく、いつ作業を行うのかというのが重要な要因になるということです。土壌微生物の活動が活発になるのを待って、土壌を動かす最適時期を見るということですね。
私達にとって幸いなのは論文を書くのが目的ではないので、きちんとした効果があれば詳細な追認試験をする必要性をあまり感じません。
要するに現場で即役に立てばいいわけです。
ここまで見ていただければ分かる通り、多くの方が何となく感じていることを数値にしてもっと明らかにするという役割が多いのではないかと思っています。
この研究会の話をした時に私にとって意外だったことがあります。
案外皆さん数字評価されるのを嫌がっているな、ということです。見ていただければ分かる通り新しい土壌改善方法の提案をしているわけではなく、単純に数値にしましょうということです。
土に関しては未だに神秘的な部分があるのは認めますが、実際には案外単純なのかもしれないです。
しかしながら、土壌改善に取り組んでいる方々や資材を販売されている方は、その事自体に反発されているように思います。わたしの主張していることが従来の常識から逸脱しているようにみえるのは認めますが、多くの事例でデータを取り、解析したことによりもはや普通の事実だという認識を持っています。
土壌硬度と作物の成長の関係がわかったからといって、すべてがわかったわけではありません。しかし、新たな側面が見えているのは間違いないと思います。
未知の領域を少しずつ見えるようにするということに関して、非常にワクワクしています。
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