栽培研究をしてはならない!!! | あなたも農業コンサルタントになれる

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  わけではない / by 岡本信一









先日、工学者の方とお話をした時に面白いことを聞いた。


開発と研究は、何が違うと思いますかと質問され、詰まってしまったのだが、簡単に説明してくれた。


研究は、100回に一回あることを見つけること。


開発は、100回おこなったら100回実現させるためにおこなうこと。




農業現場に置き換えると、世界一糖度の高い果物を作ろうとした場合、まず、一果でもいいから、世界一糖度の高いものを作らなくてはならない。世界一の糖度のものを作るために様々な試行錯誤が必要となる。


これが、研究。


世界一糖度の高い一果が出来たら、今度は、一つでも多く糖度が世界一になるように工夫し、最終的は、総ての果実が世界一になるように工夫する。


というのが開発。


違いがお分かりだろうか?




研究殻開発への流れを考えると、世界一ということは、世界初ということになり、並大抵では出来ないことはお分かりだろう。そこには何かのブレークスルーが必要がかも知れない。しかし、一度出来たとなれば、出来た理由を追求すれば再現できるかもしれないということで始まるのが、開発なのである。


開発の場合と研究は、似ているようでまるで違う。


研究は、手当たり次第というか、考えられる方法をいろいろ試すことが必要になるが、開発の場合は出来たメカニズムを紐解き、出来ない理由を一つづつ潰していけば良い。


本質的には栽培技術というのは、経営のためにあるので開発である必要がある。目標に向かって実現できない理由を一つづつ解決してゆくのである。


おそらく、高品質でのブランド化を狙う場合、研究が必要だろうし、歩留まりを上げることによって低コスト化を探るのであれば開発が必要である。




何が書きたいのかというと、栽培技術を向上させる上で、手段と目的の切り分けができていないということを指摘したいのである。


わかり易い例で土づくりをあげよう。土壌は非常に大事だ。土耕においては最大の因子である。良い土を目指すというのは、研究にあたり、土壌分析を行い土壌の化学性を適正にもってゆくのが開発だ。


常々思っているのだが、真面目な方ほど研究を行おうとしているようにみえる。


どのような作物でもどんな条件でも作れる土壌改良技術を持っていれば、ノーベル賞を受賞できるだろう。


もしノーベル賞を目指しているのでなければ、研究はやめて、開発に専念するべきだと思うのだ。


繰り返し書いているが、栽培技術を向上させる目的は、経営のためであり、良い土を作るためではない。


良い物を作るというのも曖昧だ。


栽培技術は目標を明確に作らないと、何をやっているのかわからなくなる。


例えば、できるものの大きさを揃えたい。


秀品率を上げたい。


何故、あまり出てこないのか不思議だが、天気が悪い時にも取れるようにしたいとか。


天気が悪くても収量の減少を抑えることは、十分可能であり、大して金もかからない。




栽培技術の向上というのは、多くの方が願っているが目標を明確に定めないと、何をやっているのかわからなくなってしまう。


先日も書いたように、不良を減らす、という目標を立てれば、どの不良が多いかを調べ、その不良を減らす努力をすればいいだけなのだ。


普通の工学的アプローチと言えるが、それが農業界で話されていないのである。


まず、改善したいことを明確にしどれから手を付けるかを考え、最初の目標を定める。それがクリアしたら取り組む。ということの繰り返しのほうが良い。


今の栽培技術改善の方法は、研究ばかりで開発がないのである。

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