消費者に正しい情報を発信せよ!!! | あなたも農業コンサルタントになれる

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  わけではない / by 岡本信一






最近、色々考えて、ひとつわかったことがある。


私自身のこのところの主張は、意外にも慣行栽培の方だけではなく、多くの有機栽培の方にも賛同をいただけたのだ。これは、どういうことかというと私が主張しているようなことは、みなさん薄々気がついていたということだ。


それでも何かモヤモヤしていたのだが、根本的な原因がわかってきたような気がする。


実名を上げて申し訳ないのだが、「奇跡のりんご」の木村秋則さんだ。別に木村さんが悪いということではなく、「奇跡のりんご」が本物でほかは偽物というような誤解が消費者に広範に広がったことが問題なのだ。


そのことにより、農薬や化学肥料に対する過剰な忌避感が生まれ、消費者の方から一般に流通する農産物に対する不信感ができあがった。さらに、それに便乗するマスコミ、有名人、その他のメディア、一部の業者がまったく実情と違う話を触れ回っている。


つまり「奇跡のりんご」を信じ或いは利用している多くの人が、誤解を広げているのだ。実情を理解していない人が、更に多くの人に伝えるという悪循環に陥っている。




私がFood Watch Japan の連載を始めた理由は、多くの人の誤解を解き、本当の農産物の姿を知ってもらうためだ。


今後も引き続き書いてゆくが、ここまで書いてきたのは、


1.農薬にたいして危険を感じるべきであるのは、農家だ。また、考えるべきは環境負荷だ。消費者が食べて危険というレベルではもはや農薬問題はほとんど存在していない。しかし、環境への影響や農薬を散布する人の健康のために少しでも農薬の削減を図るべき。


2.○○農法と有機栽培と慣行栽培の垣根は、実は低く殆どない。作物の出来は、栽培方法よりも個々の圃場・個人差のほうが大きい。(これは主にブログでだが、今後連載の中でも詳しく触れる)ブランド化のために○○農法とか有機栽培を標榜するのは無理がある。有機栽培は、現在ブランドであり、有機栽培の方こそが間違った情報は消費者に対しても正してゆくべきだ。それが今後の有機栽培のブランドを維持し続ける本当の方法だと思う。消費者の勘違いや間違いに乗じるべきではない。


3.「安全です」などという過信は、ありえない。いつも危険の回避をすべく努力をすべき。危険はいつどこにでもある。安全など存在しない。食品に携わる以上「知りませんでした」は許されない。安全ということに真摯に立ち向かい考えるべき。


4.天然・自然資材は、安全とはいえない。天然資材だから、安全というのは幻想であり、本当の意味で農産物の安全に留意すべきだ。




これまで常識だと思っていたようなことは、総て勘違いと言えるが、農家の方もそれを明確に理解していなかったために、何を言われても反論ができなかったといえる。


農産物を生産している人は、自らの農産物に対して夢や理念だけではなく、消費者やバイヤーが質問してきた場合に正しい情報を伝える「義務」がある。


例を挙げる。


皆さんが買い物に行った時に、店の人がしどろもどろに答えて後で調べたら間違いだったと知ったら、どう感じるだろうか。その店員及び店を信用することはないだろう。


どこかの工場に見学に行って、工場の人がしどろもどろに答えてあとで調べたら、でたらめだった。貴方はその工場に対してどのような印象を抱くだろうか。


それと同じで消費者やバイヤーが農薬などさまざまなことに対して不安を感じているならば、正しい情報を伝えるべきだ。


これは、慣行栽培の方だけではなく、むしろ有機栽培の方が積極的に行うべきだ。理由は、以下のとおりだ。


私は、有機栽培は、この先伸びると思う。場合によっては、一般的なスーパーの殆どで慣行栽培と有機栽培が並列に並ぶということになるかもしれない。理由は、先にあげた消費者サイドの勘違いのためだ。


しかし、市場が大きくなれば出る杭は打たれる。栄養価の問題、農薬の消費者への安全性の問題、化学肥料の問題の無さなど、本当のことが知れた時「有機栽培」というブランドは、地に落ちてしまうだろう。復活は不可能だ。


消費者の勘違いに乗じて、高い農産物を買わされていた「詐欺」だと感じる人も出てくるだろう。


消費者が知らないということに甘んじて、本当のことを教えないなどというのは、許されないし、後に信用を失う。




誠実に正確な情報を伝えよう。


生産現場の人間が正しい情報を発信できなくて、誰が発信できるというのだ。消費者サイドの誤った情報に振り回されているようでは、話にならない。




消費者に正しい情報を発信せよ!!!


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