洋一は 窓から差し込む 朝の陽射しを浴びて 目覚めた。


昨夜は とてもぐっすり眠れて 心地良かった。


知らない街の 昔 ホテルだったらしい建物の 一部屋のベッドの上で 窓からの陽射しを浴びて 目覚めたのだ。


何か昨夜の夢でも思い出さないかと考えたが 何も浮かばなかった。


今日で 何日目だろう。


気づいた時には 今の生活だった。


ベッドを出て トイレを利用して 洗面をした。


普通の 日常と何ら変わらない光景。


随分と髭が伸びていた。


そう言えば 長いこと剃ってないな・・・。


髪の毛も・・・、伸びて ボサボサ頭だった。


洋一は 自分が 洋一という名前である事以外 一切の記憶がない。


何故 この街にいるのか、 何故 何も思い出せないのかさえ 分からなかった。


何よりも 長いこと 誰にも会っていない。


街には 洋一以外 人っ子一人いないのだ。


最初は 街中を 誰かいないか 随分探し回った。


最近は 諦めというか・・・、誰も この世には いないのではないかとさえ 考え始めていた。


ただ 電気も 水道も ガスも 当たり前のように 使用できることが 不思議だった。


使用できなくなった時が 命の尽きる時・・・、 最近は そう考えて始めていた。


今日も ホテルらしい 建物の 厨房にある大型冷凍庫から 保存してあるらしい 冷凍食品を 取り出して 電子レンジで調理して 食べた。


味は 結構おいしかった。


種類も 豊富だった。


冷凍庫の中の 食料品ストックの量は豊富で 洋一 一人なら 何十年間も 保つだけの 在庫はあった。


賞味期限が いつまで保つかは 別として・・・。


( 以下 次回へ )