前回の続きです。


過去の内容は

おめでとうございます 妊娠です・・・ 01


おめでとうございます 妊娠です・・・ 02


おめでとうございます 妊娠です・・・ 03


おめでとうございます 妊娠です・・・ 04


おめでとうございます 妊娠です・・・ 05


おめでとうございます 妊娠です・・・ 06


おめでとうございます 妊娠です・・・ 07

で お読み下さい。



ちょっと前までは 将来の 理事長夫人に なる人として 丁重に 接していた 看護師長の 言動と 態度で エリには 今の自分が置かれた状況は 充分に 理解できた。



( つまり 辞めろってこと?  何のために?  私が 何をしたの?  辞めるの必要があるのは 他の人達でしょう? でも なんで 病院中の 噂になっているのかしら?  奥田?  嶋田?  裕介?  それとも 他の誰か?? )



エリが 色々と考えている間  看護師長は  詰め所の奥の休憩室に入り  自分の病院内用のPHS電話で いろんな所へ  電話を かけまくって 何かを 確認しているようだった。



看護部長室へ 向かうと思っていたエリだが 看護師長が エリを連れて 向かったのは 理事長室だった。


「 6A 看護師長 中丸です。 ○○さんと 一緒に参りました。 宜しいでしょうか? 」


重厚で 豪華な 理事長室の ドアを 開けて 中を見渡したエリの目に映ったのは 理事長、 院長、 事務部長、 看護部長、 事務No2の人事部長、 事務課長、 そして 顧問弁護士だろうか 金のバッジをつけた 見たことのない人物の 総計 7人が 豪華な応接セットと 急遽用意しただろう椅子に 腰掛けていた。


広い 理事長室も さすがに これだけの人数と メンバーが 揃っていると 異様な光景だ。


一(いち)看護師の 処遇に関する話で これだけのメンバーが 一堂に会することは 滅多に ないだろう。


エリは 看護師長のマネをして 丁寧に 頭を下げて 恐る恐る 看護師長と 二人で 理事長室に入っていった。



全員で 9 人の エリ以外 年配の 人間が・・・ というより 病院の中枢の人間が 一堂に会しているのだ。  


一種 異様な光景だった。


エリ 一人に対して 8 人の 人間が 対する状況だった。


エリと 看護師長は 入り口付近に置かれた 椅子に 少し離れて 座らされた。


( まるで 公開処刑ね、 これじゃあ。  隣の 看護師長も アッチ側だろうから 1 対 8 の 戦い? でも これだけの顔ぶれが 揃うなんて・・・。 私も 随分と 偉くなったものね・・・。 )


この状況下でも 逆に エリは 既に すっかり 開き直っていた。


なぜか 心も 平常心で 非常に 落ちついて、一堂を 見渡していた。


自分は 何一つ 間違ったことはしていない その信念が エリには あったからだろう。


気まずい静けさの中 看護部長が 一枚の紙を 静かに読み上げた。


「 ○○さん。  あなたには 諭旨退職(ゆし たいしょく)して頂きます。  本来ならば 懲戒解雇か 諭旨解雇(ゆし かいこ)なのですが あなたの将来 反省具合を 考慮して、 諭旨退職ってことで あなたが 自主的に 退職して頂くことにしました。  それでも かわいそうなので あなたが こちらの言うことを 全て聞いて頂き 強く希望されるなら 自己都合退職ということに してあげても構いませんよ。  それは ここにおられる 理事長と 院長の あなたに対する 寛大な 処遇です。   法律的な 問題は ここにおられる 顧問弁護士の 有田先生に お任せしてあります。  何か 質問は ありますか?   と言うよりは これは 決定事項です。  分かりますか? 」


非常に 威圧的な 態度で 病院側の 勝手な都合を 告げているだけだった。


( 看護部長も やっぱり カスね・・・、 これだけの バックがいるから 堂々としているけど、 自分一人では 何も出来ないでしょう??  それに 隣の 看護師長、 下向いたまま。 顔を上げなさいよ。 何が あなたの味方よ。 何も 助けてくれないわけ?  まあ、 そんなレベルの 人間でしょうけどね。 私が 退職??  諭旨退職を 自主退職に してあげる?? 随分と ナメてくれてるわね、 このバカどもが・・・。 さてと 反撃開始しましょうか。 )


エリは 非常に 冷静に 反撃を 開始した。


エリの 元々の 生まれ持った強さに お腹の赤ちゃんを守るという 母性の 強さが 加わったのだろうか?


「 あのー、 いいですか?  解雇とか 退職とか 言ってますけど、 私は 辞めるつもりは  全く ありませんけど・・・。  どうして 被害者が 仕事を 辞めなくちゃ いけないんですか? 」

エリの言葉に 一堂の面々に 軽いどよめきが 起きた。


人事部長が 声を 荒げて 怒鳴り声に近い声で 言い放った。


「 被害者?  君は 何を 言っているんだ?  君の件で 病院が どれだけ 迷惑を 被ったと思っているんだ?  変な噂が 広まって 病院の名誉に 傷がついたんだぞ。  慰謝料 いや 損害賠償を もらっても いいくらいなんだぞ。 君の 席(籍)は もうない、 この病院にはね。 」


人事部長は いつもこのやり方 つまり 威圧的な 言い方と 言葉で 脅して 何人もの 人のクビを 切ってきたのだろう。


エリは 負けていなかった。 そして 人事部長と違って 非常に冷静に 語り始めた。


「 損害賠償ですか?  そこに 弁護士さんも おられるので 皆さんに お聞きしますが、 私は そこにおられる 理事長の ご子息の 副院長に 長期間 パワハラ セクハラ の 被害を 受けてきたのです。  そして 最後には 力ずくで 犯されました。  それで 妊娠をして しまいました。  妊娠が分かったその後 急に 奥田先生は 私から 逃げ回っています。  それから みなさんは 整形外科の 嶋田先生の事も ご存じかも知れませんが・・・。  私は 嶋田先生にも 無理やり 犯されました。  しかも その現場を 撮影までされて それで 脅されて 何回か 関係を 持ちました。  他の 看護師にも 被害者は 多いと思います。 近々 この二件に関して 警察に 被害届を 提出する予定です。 もちろん ちゃんとした証拠も 揃っています。 」



エリの 予想外の 発言内容に 一堂の人々は 互いに顔を見合って 前よりも大きな どよめきが 起きた。


( 以下  次回へ )