大沢在昌 『毒猿――新宿鮫Ⅱ』
- 大沢 在昌
- 毒猿―新宿鮫〈2〉
『新宿鮫 』の一作目に続いて、第二弾『毒猿』を再読。
ド派手度およびに面白度は、シリーズ中で随一。
その最大の要因は、鮫島警部が追う台湾人の殺し屋、通称「毒猿」の圧倒的な存在感だ。
台湾の特殊部隊の元精鋭隊員にして、暗殺を請け負う一匹狼の殺し屋。
殺人現場に、木彫りの猿面を置いていくことから、「毒猿」と名づけられている。
その「毒猿」が、ある目的をもって、密かに新宿の街に潜伏――。
感情を見せず、ほとんど喋らない寡黙にして、ストイックな殺し屋「毒猿」のキャラクターは、とても魅力的だ。
敵役であるにも関わらず、完全に主人公の鮫島を喰ってしまっている。
まあ、そういう風に、著者が意図したのでもあろうが、それが見事に効を奏している。
この作品を頂点にして、それ以後のシリーズ作品は、一定の質を保っているとはいえ、次第にテンションが低下している。
これも、シリーズ化につきもののマンネリズムの宿業であるから仕方がないともいえるのだが。
切れ味: 良
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