柳 美里 『命』
- 著者: 柳 美里
- タイトル: 命
ディープな題名です。
自伝ノンフィクションである本書の中身も、こってりと濃厚です。
恋愛、出産、仕事、病気、死別――。
誰もが経験する出来事も、著者には、より一層の劇的事件となるのです。
それもこれも、自意識過剰のなせる業でしょう。
他者への執拗な攻撃性と、常におびえた小動物のような臆病さ。
安易に人を寄せ付けない気高さと、誰かに全身全霊で、寄りかからずにはいられない病的ともいえる依存性。
あざといまでに誇張された多面性と、感情の振り幅の大きさが、柳美里の魅力です。
彼女の小説よりも、彼女自身が、一個の作品のようです。
ですが、実際に、この方か゛自分の周囲にいたら、さぞ大変だろうなと思います。
ヘタレ者の私は、真っ先に逃げ出しそうです。
そこで、柳美里の編集担当者の皆さん。
あんたらは、エライ!
切れ味: 可