3月18日 埼玉 18時30分  大宮 風

今日は。。。

ブログ仲間にしてレコード好きの仲間のLET-THE-SUNSHINEさんがご購入されたガイドブック。我が家でボロボロになった同じガイドブックを久々に取り出してみました。
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U.S. BLACK DISK GUIDE

アメリカのソウルミュージックのガイドブックです。
初版はジャケが違います。
そして我が家のは、もうカバーが取れて破れて何処へ。。。
書き込み、ラインマーカーの消込も各所に。。。。
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ブラックミュージックを訊き始めたのは80年初頭。本格的に聴き始めたのは85年頃から。87年になるとロック系のレコードは全くに近いぐらいの感じで釣り上げしなくなります。そして88年に初渡米。。。釣って釣っての恐ろしい事になるのです(笑)。
このガイドブックの初版は図書館で借りて渡米に持参。このセカンドプレス(再発時に改訂と情報も追加されたはずです)を手に入れたのは確か溝ノ口の文教堂。94年頃。何故覚えているかって?就職の面接に文教堂に行ったから。その帰りに買ったのさ。採用は不合格。色々自分に問題があっての不採用でしたが決定的だったのは喫煙。面接官の雰囲気がこの質問の後で変わったからね。
このガイドブックの前にはさほどまともなガイドブックは無かったと思っていましたが、勘違い。。。そうそう、コレがあったのです。
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レコード・コレクターズ増刊 SOUL & FUNK

背表紙を見たら85年の出版。
このガイドブックの方がUS BLACK DISK GUIDEよりも先に出版され、この本を通学時に読み込んで自分の中にソウルミュージック外史みたいなモノを築き上げた事を思い出しました。ただガイドブックとして物足りなくてありきたり。聴きたい作品の情報と言う点ではUS BLACK DISK GUIDEには及びません。

94年暮れに音楽ギョーカイ入りするのですが、オイラの会社にはロックやジャズにJ-POPにアイドルやアニメの大家みたいな重鎮はそれなりにいるのにソウルには居なかったせいもあってヤバイのが来たと思われていたよ、、、と何年かして言われた事があります。背景にはブラックミュージックを系統だてた書物がまだまだ不足していたのと、現場ではガイドブック頼みで実際に聴き込んで更にレコード等までそれなりに持っている者が95年ぐらいでは相対的に少なかった事情があります。だから直ぐに社内でソウルならオイラみたいな地位?になってしまう珍事が中途採用の新人に起きたのだと思います。

これに限らずですが、ガイドブックはガイドブック。。。
ソウルには鈴木氏など大家はいます。ロックにもいます。ジャズにも、ブラジル音楽にも。。。彼らはジャンルの壁を作って王になる。だから、その壁に近いモノを跳ね付ける。オイラの感性はスタカン系のノンジャンル思考=嗜好=志向。
各ジャンルの王様は80年代中期以降のレアグルーヴ、日本なら90年代のフリーソウルなどによって地位を奪われますが、自然の流れ。

王様たちが論じて抹殺した音楽があります。
60年代はビートルズの時代なのか。
ブルーノートのロスアンゼルス期は聴くに値しないのか。
シンガーソングライター評価は白人に限定されたものなのか。
AORはソウルミュージックに値しないのか。
J-POPは洋楽以下なのか。洋楽はJ-POPの軍門に下ったのか。
レゲエは夏ジャンルの音楽なのか。
etc

王様が迫害したミュージシャンこそ、実はジャンルの壁を越す翼を持った音楽を送り出しているってのがオイラの思い。

ジャジー、フォーキー、ブルージィ。。。
『ー』は翼なのさ。

今夕紹介する作品は、コレ。

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TERRY CALLIER / I JUST CAN'T HELP MYSELF
1974年作
NEW SOUL / FOLKY /MELLOW / FREE SOUL
ディスクユニオン渋谷店にて 
5800円
2000年7月1日

テリー・キャリアー
1945年米シカゴ生まれの希代のソウル系シンガー・ソングライター。2012年逝去。
唯一無二の声とジャズ、カントリー、ソウル、ゴスペル、ブルーズなどをブレンドした都会的で繊細で洗練された独特のコード進行。世界を虜にした、このテリー・キャリアー音楽の最大の難敵はジャンル括りが出来なかった事でした。レア・グルーヴなんて便利な言葉がなかった70年代では、セールス的には致命的な要因でもありました。ただ80年代には半ば引退にまで追い込まれたテリーを救ったのも、この多種多様な音楽ブレンド故の事になるのです。レアグルーヴによって80年代後半に見つけられたテリー・キャリアーと言う鉱脈。DJ諸氏が追い、レコード好きも追い、ソウル好きも追う。3つ巴の追い掛け。自分もその一人でした。

この作品で、
夕暮れメロウと言えば、コレ。

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ALLEY-WIND SONG

フォーキーメロウ。。。

フォーキーで適度にジャジー。
ブルージィなヴォーカルで適度にソウル。

このレコード。
70年代ならレコ屋でどこに置かれていたのでしょうか。
ジャケの顔を見てソウルですか。
アルバム聴いてロック・ポップにしますか、詳細ジャンルまで用意してる店ならシンガー・ソングライターに置きますか。
取り扱う店も何処に置くのが正しいのか、買いに来たたヒトもどこを探すのが良いのか。。。。そもそも、レコード会社は何と言って売り出していたのか。。。。

レアグルーヴなんて便利な言葉がない時代、
そのジャンルの大家によってジャズな要素、シンガーソングライターの要素が強過ぎてマイナス評価され抹殺された代表格、それがテリー・キャリアーでした。

上に挙げた2冊のガイドブックには登場しません。
ソウルじゃないと判断されたからです。

強風が吹きつけた首都圏。
オイラはお休み。
ジャンルなんて路地、ALLEYさ。
吹き溜まりに吹き込んだ風で吹き飛ばしてしまえ、その権威も、頑なな感性も。

ALLEY-WIND SONG

それでは。。。