昨日観たTV | のりの音楽と日常の日記♪

のりの音楽と日常の日記♪

無類の音楽好き♪ 
そして心理カウンセラーも
しているという変わり者独身オヤジの独り言

いつもの通り、何気なく付けていたTV。
TVに背を向けて、PCに向かっていた時、
少し荒削りなギターの弾き語りの音が…
目を向けると、ストリートで一人、ギターをかき鳴らしながら
唄っている青年。
そこに、同じ年くらいの女性が青年に一片のメモを渡す。
「唄を手話で表現しても良いですか?」

そこからはもう、目が離せなくなっていました。
彼女は聴覚障害者。
飛行機のエンジン音が、すぐそばまで行ってかすかに
聞こえるくらいと言いますから、日常生活では全く
「音」は聞こえていない。
彼女のお母さんは、彼女に相手の口元を見て
話している事を分からせる特訓を施したそうで、
何とか彼女は、読唇術を身に付ける。

幼い頃の彼女の夢は、
松田聖子のような「歌姫」になること。
でも彼女の中には、「音」とか「音楽」という
概念そのものが存在しない。
当然、音程や音階など、理解出来るわけも無い。

そんな彼女が大人になり、その青年と出会い、
一緒にストリートに立つ。
彼が唄い、彼女は手話を交えた「サインボーカル」という
振り付けというか、ダンスで、唄の世界を綴る。
ここに「アツキヨ」が誕生する…

やがて彼は、彼女が「唄う」唄を作る。
そして彼女は、唄を唄ってみようと決意する。
想像してみてください。
皆さんがカラオケなどで唄う時、その唄のメロディ、
音程をどのように取っているのか…
カラオケの伴奏を耳で聴いて、自分の唄う声を
耳で聴いて、音程のズレを修正して唄っているはずです。
しかし彼女には、ギターの音も、自分の声も聞こえない。
当然、自分が唄っている唄がどんな風に聞こえているのかなど、
分かるはずもない。
そこから二人の想像を絶する努力が始まる…

その曲が唄えるようになるまでに、7年かかりました。
7年ですよ!?
一つの曲を仕上げるのに7年。
いや、それよりも、難聴というハンディを克服して
唄を唄おうとする彼女の姿勢と、それを応援し、
彼女を信じてギターを弾き続ける彼。
出来上がった唄の中で彼女は、見事に自分の声で唄を唄っています。
確かに、お世辞にも上手いとは言えないかも知れません。
けど、あの唄声以上に説得力があったり、
心を動かされるメロディも無いと思いました。

こう書いてしまうと、非常に簡単そうに見えてしまいますけど、
例えば私が生れつき耳が聞こえなかったとして、
果たして音楽に興味を持っただろうか…
ましてや、唄を唄いたいなどと、考えただろうか…
恐らくそう思ったとしても、次の瞬間、自分には無理、と
諦めていたと思います。
けど彼女は諦めなかった。
自分の中に無い「音」というものを探しながら、
本当に暗闇の中を手さぐりで進むように、
一つ一つの課題を時間をかけてクリアしていったんだろうと
想像します。
いや、私の想像など絶するほどの苦悩が、彼女にも、
彼にもあったんだろうと思います。
何が二人を支えてきたのか…
信じあう心だったり、あきらめないという
強さだったのかも知れません…

今でも彼らはストリートに立ち、唄を唄い続けています。
全国各地で、チャリティコンサートも開かれているそうです。
「健常者も障害者も、子供もお年寄りも楽しめる音楽」
彼らの目指す音楽だそうです。
一度私も、生の唄を聴きに行こうと思いました。