先週、とある会社の人事担当者の方から相談を受けました。

 今年度末の行われた労基署の監査において、未払い残業代を指摘されたそうです。社員が使っているパソコンの使用履歴と残業代の帳簿との照合により発覚したそうです。残業代の他にも管理監督者の夜勤も指摘されたそうです。

 結局、未払い残業代及び管理監督者の夜勤の清算については、約半年分を支払うことで決着したそうですが、それを今年の4月~6月の給与で清算したそうです。

 7月初旬の算定基礎届作成中に、従前の等級と改訂後の等級との差が2等級以上(最高で4等級)あった方がいて、さらに、4月に固定的賃金に変動があった人で2等級以上変動があった人については、7月の月額変更届に出てきたそうです。この状況にその方はあわててしまったみたいです。。

 この未払い残業代は本来は発生時期に適切に支払うべきものであることから、今回の算定基礎届や月額変更届に算入する必要はない、とアドバイスしました。

 原因としては、未払い残業代を入力する際に、通常の残業代として入力されていたため、4月~6月の支給額に反映されてしまい、そのまま処理されてしまったようです。

 もちろん、所得税と雇用保険の計算については、実際に支払った月で算入して良いことは、このままで大丈夫であることを言いました。


 対象者がそれなりに多かったので、修正作業に手間取ったようですが、標準報酬月額が無駄にあがらなかったことでホッとされたようです。既に退職者した方については、清算とともに源泉徴収票の修正発行もありますから面倒な話です。

 こんなことで、標準報酬月額がいちいちあがっていては、本人の保険料も上がるし、会社負担分も上がってしまいますし、会社としては残業代を清算するだけで大変な負担ですからね。まあ、ちゃんと適切に残業代を払っておけばこんな後手後手なことをせずに済むわけですから・・・。この会社、たびたびこういう指摘を受けるそうで、受けた時から一定期間はきちんとやるそうですが、それを過ぎるとその反省も忘れてまたやってしまうようです。

 そもそも残業代を抑制する働き方をアドバイスできれば、社会保険労務士としてやりがいをさらに感じられるところですね。まずは、経営者の姿勢にメスを入れたいところですが・・・。

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