おはようございます、南塚納慧です。

 
私にとって、師匠も先輩も、あまりに雲の上過ぎて、話しかけることもできない存在でした。
 
師匠は気さくに話し掛けてくれていたけど、ひたすら緊張していたのを覚えています。
照れくさいというのもありました。
 
そんな師匠や先輩に対する私のコミュニケーションの取り方は、ひたすら稽古に参加することでした。
 
師匠がチャンスをたくさん与えてくれていたこと、今思い返せば本当に恵まれていたと思うのですが、(その時は特別なことだとは若かりし私には理解できていなかったけれど、)私はただただ「もっと踊れるようになりたい」という一心で食らいついていました。
 
年に何回も大きな舞台があった当時は、特殊な時期だったと思います。
毎週末が振付だったり舞台稽古だったりという生活でした。
 
それに加えて、舞台稽古が増えれば増えるほど、通常のお稽古にも必死で出ました。
 
当時の私は、振付は一回見たらほとんど覚えられたし、普通にお稽古をしていても他の研究生よりもお稽古時間が長い方だったけど、それでも足らないと思い、休んでもいいのにと言われても休まず、一番に稽古場に入って1人で黙々と走りウォームアップし、先輩方が来るのを今か今かと待って、一緒に踊ってもらって練習しました。
 
それらは誰にも見られていないと思っていました。
1人で稽古場にいる時は本当に1人のつもりだったから。
 
でも、その場を見ていたのか?その結果を見てなのか?…どちらかはわからないけど、先生方は私の努力をわかってくれていました。
 
だから、更にチャンスをもらえて、もっともっととなったのです。
 
私が稽古場で言葉を発することはほとんどありませんでした。
そんな雰囲気でもなかったし、自分の考えなんかよりも先輩や先生の話を聞きたかったし、何も見逃したり聞き逃したりしたくなかったからだろうと思います。
 
それでも私は、先輩や先生にしっかり印象を与えていたようです。
言わなくても、どれだけ踊りたいか踊りが好きか舞台に立ちたいかを伝え、それに対しても言葉でなく、踊る機会として返して頂きました。
 
もちろん舞台に立つことは優しいことではなく、特に金銭面は苦しく、大学生になってからはアルバイト代は全てそちらへ注ぎ込み、足らない分は親に頭を下げ、なんとかやっていきました。
(江口は決して出演料やチケットノルマを言わなかったのですが、それでも回数が多かったので大変でした。)
 
舞踊団に入る前の養成所に入る前から、芸能の世界に身を置くなら、親に頼ってはいけないと、実家にいるにも関わらず、高校生の時から自分でお弁当を作り、大学生になると稽古か勉強か、そしてバイトかボランティアかという生活でした。
所謂コンパの類も存在すら認識したことがありませんでした(笑)
 
もちろん、親はそれでも助けてくれていました。
舞踊団に顔を出すこともしなかったけど、まあまあ普通でない生活をしていた私に「やめたら」ということもなければ「頑張ってるね」ということもなく、否定も肯定もしないという態度で見守っていてくれたのが一番の支えでしたから。
 
親が無関心でも過干渉でも、続けられなかっただろうと思います。
私と親とのコミュニケーションでうまくいっていたのはこのことくらいかもしれないですけど、一番のコミュニケーションの取り方でした。
 
 
これらはもう、20年とかもっとかなという前の時代のお話だから、今は流行らないのかもしれません。
 
でも多分、変わらないことのように思います。
 
 
「あなたたちの立つ舞台は発表会ではない!なぜなら観に来られる方からチケット代を頂いているからだ。チケット代を払ってもらって踊るのだから、あなたたちは違うと言っても、踊っている時はプロとしての意識を持たないといけない」
 
こう師匠に言われてから、私は学生の時も社会人の時も、自分はセミプロのダンサーなのだと思うようになりました。
チケット代が自分の懐に入ってくることなんてなかったけれど、チケット代を払って観に来てくださる方に失礼のない踊りをしなければ、と思ってきました。
 
 
これも、なかなか、今言うのは難しいことだろうと思います。
 
私の友人たちでさえ今の舞台は「発表会」と言うし、昔ほどの金額のチケットはないから。
(当時はA席S席BOX席など数千円から1万円を超える席もありましたので。。それはさすがに発表会とは言われませんでした。)
 
それでも、チケット代を払って観に来てくださる方々は大切なお客様です。
発表会と言われようとも、私は最善を尽くす必要があります。
 
 
生徒さんにこれらのことを押し付ける気は全くないし、くどくどいう事もしません。
言わなくともそれを見せること・示すことが、私がプロの舞踊家であり、それ故のコミュニケーションであると信じているからです。
 
それが受けるかそっぽ向かれるかはわからないけれど。
信じて活動し続けていきたいと思っています。
 
 
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