平成23年4月下旬

生検結果説明


 1人で説明を聞いてもいいという許可をようやく得て待合室で待ちました。

 明らかに、いつもの病院の待合室の状況とは違います。

 診察室に告知を受けるのだろうなと思われる方が、1組入って行かれました。とっても深刻な様子で、私も同じ立場のはずなのに、その方々をみながら辛そうだなあという思いでした。これから確実に「がん」と言われるだろう自分のことは、すっきりと受け入れていました。早く診断をつけて、治療に専念したい。落ち込んでいる場合ではない。一番大事なことは治療に向き合うこと。そんな思いです。


 いよいよ私の順番がきました。今日の先生は石灰化を見つけて精密検査と診断した先生でした。

 いきなりたくさんのことを話されます。勉強して臨んだので、内容は理解できますが、反応が鈍かったのか「この話するのは今日が初めてじゃないよね?」と言われてしまいました。

 私が一人だったので、どうやら先生は、初めての説明とは思っていなかったようです。「初めてです」という返事に、振出しに戻る感じで、おもむろに組織検査結果の紙を広げて、1つ1つ言葉の説明をしてくださいました。それは、とても丁寧でまろやかな説明でした。

 結果は非浸潤性乳管がんで、MRIで写っていたところを含め乳腺を4分の1切除することになるということでした。しかし、ここで思いもやらないことを告げられました。MRIで写っているところと、マンモグラフィで写っている石灰化の部分は場所が違うと説明されました。どちらの画像もこれまで見ていましたが、写っているのはわかっても、それが乳房のどの部分かは分かりませんでした。この瞬間まで、2つの検査で写っている場所は同じ場所だと信じ切っていました。つまり、自分が思っていた以上にがんは広がっているということです。


 さらに続けて、手術で乳房を全部取れば次の検査は必要ないが、石灰化の部分も検査(マンモトーム)を受けてほしいと言われました。正しい診断があって、正しく治療できます。正しく診断できれば、いろんな治療法が提示できるので、それだけ選択肢が増えるよと説明されました。

 自分が乳がんだろうと考えるようになって、胸がなくなるんだと考えていて、温存してほしいとか、そんな考えはほとんど頭に浮かんでこない状態でした。乳がんという説明を聞いて、この時も全摘でも構わないと考えていたので、マンモトームはしなくてもいいという気持ちでしたが、先生にこんな説明を受ければ、石灰化の部分の検査も受けたほうがいいのかなという気持ちになってきました。そして、何よりも病院選択のために時間がほしかったというのも本音です。


 この日、がんと診断されたのに自分でも驚くほど冷静でした。MRIの画像を見て、かなり悪いと思っていたので、正直とても安心しました。先生にもほっとしましたと言って帰りました。