地方のお寿司屋さん
「地方の
それもこんな田舎にある寿司屋に
ゲーノー人が来るなんて
まさかなと思った」
そう言って
ご主人は笑った。
ある作品の撮影で
地方ロケに行ったのだが
困ったのは夜ゴハンだった。
朝と昼はロケ弁が出たのだが
夜はバラ飯だったのだ。
(それぞれ食べてくれということ)
お弁当が出るのか
ケータリングなのか
みんなで食べに行くのか
バラ飯なのかは
その時々の
状況に寄って変わる。
「夜はバラメシか...
どこか美味しいところに行かない?
お寿司とか食べたいな」
賛成!
お店探しとか
本当に苦手なのだが
こういう時は張り切る私。
はじめて来た土地だから
探すの大変~ってなりそうだけど
まあまあ田舎なので
選択肢がそんなにない。
ホテルのフロントで教えてもらい
寿司屋(和食屋含む)
3軒くらいの中から
良さげなお店に電話してみた。
お店の方の感じも良かったので
そのまま予約をお願いした。
ホテルからはちょっと離れていたが
専属スタイリストの
アシスタントちゃんを誘って
その寿司屋までタクシーで向かった。
思っていたよりも広い店内。
カウンター席の真ん中に通してもらった。
回ってる寿司屋しか知らない
スタイリスト助手のなーちゃんに
お寿司のおいしさを知ってもらいたいと
本人は張り切って頼んでくれた。
つまみから入り
握りへ
ハイボールから
日本酒へ
たくさん食べて
私たちは楽しんだ。
とても美味しかった。
「似てるけどまさかな~と思っていたんです。
でも●●(作品名)の話をしていたので
間違いない!そう思ったときには
震えました」
目の前で握ってくれていたご主人は
そう言って驚いていた。
気づいても
そっとしておいてくれた
ご主人に感謝した。
すべてが完璧だった。
味はもちろん
接客も素晴らしかった。
このお寿司屋さんを
本人もとても気に入り
翌々日に今度は
監督を連れていきたい
と言った。
さっそく
電話してみると
満席なんです~と言われた。
困った。
電話を切ったあと
私は悩んだ。
明日には帰らなければいけないので
このお寿司屋さんに行けるのは
今日しかないのだ。
そこで
もう一度ダメ元でかけてみる。
一昨日はお世話になりました
〇〇ですが
どこでもいいので
3名入れないでしょうかぁ~涙。
蕎麦屋の店員のことを文句いいながら
私は名前を出してしまったのです。
くーーー。
お店の方は席を用意するので
ぜひ来てくださいと言ってくれた。
ありがとうございます涙。
前回と同じカウンター席に案内してもらった。
私はカウンター席じゃなくてもいいので
本当にもうどこでもいいから入れたら
お願いしたいと話していたので
カウンター席にしてくださったことに
申し訳ない気持ちになった。
監督は喜んでくれた。
二人が楽しそうだったので
私も嬉しくなり
思わず監督に
昔、監督が撮った
大好きなドラマがあって
それを私は
ハマって見ていて
髪型も主演女優さんに寄せて
カットしてもらったんです~と
そんなどうでもいい話に
監督はとても喜んでくれて
そのドラマの裏話をたくさん聞かせてくれた。
最終日に
美味しいお寿司屋さんに
監督を連れて行くことができたし
何よりも
撮りこぼしもなく
完璧なロケだったことに
満足だったが
ひとつ!
お店で名前を出してしまった私は
自己嫌悪に陥っていた~泣。
帰ってからも
気になっていたので
同業者のマネ友に
この一連の話をすると
「あるある、そんなこと普通にあるよ
どうしようもないときは名前出しちゃうよ~
だから大丈夫だよ~気にしすぎ!」
そ、そう?
「困ってる時はしょうがないよ」
マネ友の優しい言葉に救われた私。
お店を出るとき
寿司屋のご主人から
丁重に写真撮影を頼まれた。
本人はとても嬉しそうに
ご主人や奥様と一緒に
写真を撮っていた。
素敵なご主人と奥様だった。
ありがとうございました!
心から感謝の気持ちを伝えた。
機会があったらまた行きたいなぁ♡