村上龍作「半島を出よ」読了。

村上龍作品に登場する人物たちは断固・決然とした方々ばかりで
僕はいつも少し疲れてしまう。

「限りなく透明に近いブルー」
限りなく透明に近いブルー (講談社文庫 む 3-1)/村上 龍

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を読んだとき、
「この人は映画を撮ったほうがいいのではないか」と思った。

が、実際に監督を務めた多くの映画作品を作った現在においては、
僕はこの作家に何を期待すればいいのか分からずにいた。

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小説はどれも映画的。

だからと言って
映画がいいわけでもない。

そんな警戒すべき作家として認識していた村上龍。

「半島を出よ」はたまに良い評価を聞いたので、
勇気を出して読んでみた。


結果、
相変わらずだった。

中学の同級生で、恋愛偏重傾向が目に余った女友達が
珍しく正月の同級生飲み会に出席するらしいと聞いていたところ、
同級生たちと全く面識のない
エグザイル丸坊主サングラスの劣化コピー的彼氏と
腕組みして集合場所に現れたときの
圧倒的やれやれ感。

「変わってないなーーーー」

そんな気持ちになりました。


「限りなく透明に近いブルー」で
これからが楽しみ、と言われた作家は
その後、その作品を現時点まで超える、もしくは匹敵する作品を作れずにいる。

一方でテレビに出たり、雑誌に出たりして、
世間的には「成功者」というブランディングを確立している。


これからが楽しみなまま、間もなく還暦を迎えるご意見番。
今のこの人の職業は「タレント」なのだろう。

cowvow's bowwow

浅野温子と浅野ゆう子の「W浅野」が
似た評価で推移したこととは対照的に、
村上龍と村上春樹の「W村上」は
ここまで差がついたことに驚く。

実際にその差がほかでもない作品で圧倒的に見せ付けられている点には
村上龍には気の毒としか言いようがないが、
圧倒的にドメスティックに、テレビに出て、雑誌に小説でなくコラムを書き続ける
彼が「半島を出よ」で日本国民を嘲笑するあたり、
「まさか、手の込んだギャグか?」
「この皮肉な構図こそが村上龍のアート作品か?」
とすら思えてくる。

そして、はたと気付いた。


村上龍は多分、
このまま買いかぶられ続ける憎めないあんちくしょうとして、
そのキャラクターをタレント的に発散し活躍するのだ。

そのことに気付くと、
若干のやれやれ感とともに、
圧倒的免罪符「人間だもの」を突きつけられた諦めをひとしきりかみ締めたうえで、
そのタレント活動を応援したい気にもなってくる。

つくづくこの男、良いキャラしてる。


それにつけても小池栄子。
cowvow's bowwow
すげえいいヤツ!!

多分、村上龍もとてもいいヤツで、憎めないヤツで
人を集める愛すべき隣人だからなのだろう。

人を集める凡人は、もはや凡人にあらず。

村上龍よ、日本列島を出るな!しがみつけ!!

俺も頑張る!!

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