東浩紀「クォンタム・ファミリーズ」が本日18日、発売された。

発売前夜から店頭に並べているフライングぎみの書店にて
本を手に入れた方々を中心に、
一時、twitterでも祭りが起こった。

ハッシュタグは #QF (リンクはこちら

cowvow's bowwow


まあ、よくあることだと、
横目でチラ見していたところ、
気になる展開が発生。


購入者の一人が、
リアルタイムで読書感想を呟き始めた。

ID : tricken (リンクはこちら

cowvow's bowwow

ページと行を指定したリアルタイムでの驚きや伏線ヨミに
新しい読書感想文の形態をみた。

そして何よりも、
周到にネタバレを回避しつつ綴られる率直な感想は
それに触れる人たちに圧倒的なインパクトを持って
読みたくなるニーズを刺激することに驚いた。


正直、東浩紀の小説の仕事には
ピンとこなかった僕自身(すいません)も、
いま、とても読んでみたくなった。

で、この気持ちを

「いや、多分今日買う。」

と決心させたのがこの後の展開。


驚くべきことに
このリアルタイム感想文に対し、
あろうことか作者である東浩紀本人が
リアルタイムでリプライを返し始めた。

東浩紀氏ID : hazuma (リンクはこちら

$cowvow's bowwow

まるで、読者の後ろに作者もいて、
一緒に読み進めている臨場感がこちらにも伝わってくる。



そして、この記述の全ては
自分で消さない限りtwitter上に残るので、
これから読む人たちにとっても
一度読み終わった後に照らし合わせることで
また新しい読書体験を生みもする。



かつて松浦寿輝は「エッフェル塔試論」で

「新しい技術はその技術享受者に新しい視点を提供し、
 新しい視点は人類に新しい発想を提供する」

と述べている。

初めてエッフェル塔の展望台までエレベーターで昇った当時の人々が、
気軽に、都会を俯瞰する視線を獲得したことで、
その眺めに多くの体験者が驚嘆したと同時に、
パリについて、また都市というものについて
新しい発想
(「あ、パリって○○色の屋根の家が多いんだ、我が家は次は他の色にしよう」や
 「都会ってごみごみして見えるなあ、もっと緑があったほうがいいなあ」など)
をもたらしたことが想像される。

エッフェル塔が賛否両論、話題沸騰で1889年パリ万博で世界デビューしたことは、
俯瞰する視点という点で、
Google mapが同じく賛否両論、話題沸騰で2007年にインターネットで世界デビューしたこと
を思い起こさせもする。

エッフェル塔試論 (ちくま学芸文庫)/松浦 寿輝

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エッフェル塔を実現した
鉄骨という資材を用いた当時最新の建築技術。

今回の現象を生んだ
インターネットというインフラを用いたtwitterという技術。


本とtwitterを使った、
新しいメディア体験が僕らに新しい視点、新しい発想をもたらしている。

クォンタム・ファミリーズ/東 浩紀

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