家の前の道は
リハビリセンター病院のお年寄りや、近所の人たちが
公園へ行く通り道になっている。
定年退職した両親は、
今までジャングルのようだった庭の手入れをするようになった。
すると、ジャングルだと思っていた庭は
この2年でそれなりに四季を彩るようになった。
母が庭の手入れをしていると
「いつも癒されています」「楽しみにしています」
そう声をかけてくる人が少なくないそうだ。
季節を感じることは
日々の楽しみと癒しになる。
今年、
彼岸へ旅立った祖母も
窓から見える花に詳しかった。
もうすぐ梅の花が咲くよ。
あの花のつぼみが赤くなったよ。
忙しく過ごす私に、休みになると教えてくれた。
これから同じ花が咲くたびに、きっと祖母の声を思い出すと思う。
家で亡くなった祖母は、家から火葬場へ向かった。
その日はずっと雨だった週のつかの間の晴れ日で、
ちょうど庭の花が満開だった。
100年生きた祖母へ花道を作ってあげられたと母は言った。