昨日職場に行くと月曜日に以下のメールが届いてました。


『のほほん工房・田中さま

ご無沙汰しています。共同通信の多比良です。取材の際は大変お世話になりました。その後、お変わりありませんか?

ご連絡が遅くなりましたが、「Happy Life」の記事を本日夕刊用に全国の加盟新聞社に送信しました。掲載紙が手元に届き次第、あらためて郵送させて頂きます。

今回は共同通信という媒体の悩ましさを実感しました。少し脇道にそれますが、ご報告させてください。


各新聞社の紙面には限りがあるため、その日のニュースの量で共同通信の配信記事の掲載率が変わるのが現状です。ハッピーライフの原稿は当初GW用に記事を書き、スタンバイしていましたが、GW中は思いのほか全国でニュースが多かったため、より多くの新聞に掲載してもらうよう、私が上京した後も、デスクがニュースが少ない日を狙い、出稿するタイミングをはかっていました。

本日(28日)は夕刊のニュースが極めて少ないということで昨日出稿が決定。

「これは田中さんのところに、たくさん掲載紙を送れるぞ」とほくそ笑んでいたのですが、なんと夕刊締め切り直前に「松岡農相の自殺」が発生。「ZARDのボーカル死去」も飛び込んできて…。都内紙の社会面は一杯な状況でした。

いつ 何が起こるか、本当に分からないとは言え、「せっかくこの日まで待ったのに、 なんでこんなに色々起こるんだよー」とこぼしている状態です。

取り急ぎ、ご報告まで。

またご連絡します。今後とも何卒よろしくお願いします。』


口の悪い人々に「マスゴミ」などと呼ばれる業界にもこのような誠実な人がいるのだという意味で紹介させてもらいます。

共同通信の多比良さんは、浦河べてるを半年間に渡り取材をしました。


吹けば飛ぶような零細福祉施設の報道にここまで対応して下さったことに深く感謝いたします。


自殺と自殺報道に関しては以前にも調べた事があって。

ハッピーライフでも取り上げました。


「松岡農相の自殺」「ZARDのボーカル死去」

現状の日本であれば、これらがニュースにならないわけもなく・・・・よって零細福祉施設の心温まる記事は吹き飛んだわけであります。


自殺するも自由。

それを報道するのも自由。

というのが僕の基本的なスタンス。


テレビはほとんど見ない。

知ってる人が何人も死んでいく様を見つつ

いつのまにかそんな風に思うようになりました。


自殺報道がかえって自殺の連鎖反応(群発自殺)を呼ぶ。

これらは、先進国で証明済みのことなのですね。

日本で言うと練炭自殺ブームやネット心中ブームなどの方法論と連鎖反応は、誰もが感じているこの国ならではの現象だと思います。


「新聞が発明されてから日に一度自殺を考えるようになった。」と書いたのはドストエフスキーでしたか?


世界保健機構(WHO)は、「群発自殺」を防ぐための報道のガイドラインを示しています。

WHOは自殺報道について次の原則を挙げております。


写真や遺書を公表しない

自殺の方法について詳細に報道しない

原因を単純化して報じない

自殺を美化したりセンセーショナルに報じない

宗教的・文化的な固定観念を用いない

自殺を責めない


民主党の山本孝史参議院議員は、06年11月2日の参議院厚生労働委員会で、WHOのガイドラインを踏まえたうえで、マスコミの自殺報道について次のように述べております。

『「だれが責任者なんだという、教育委員会が悪いのか、学校の先生が悪いのかという形(の報道)は何も生み出さない。結局その死ぬという手段があるんだということを子供たちに教えてしまっているだけの話になる。それは非常にまずい。「原因を単純化して報じない」を守っていない、ということだ。』


文部科学省の児童生徒課は、マスコミの自殺報道と自殺の連鎖について次のように述べる。

「メディアが子供に与える影響は大きいと思われる。しかし、表現の自由も尊重しなくてはいけない。メディア側が子供に与える影響を考慮する必要がある。」


オーストリアにおける自殺予防につながるマスコミ報道の実践報告というのがあります。

地下鉄で自殺した人々に対しメディアが大々的に報道しました。

数年間は、ウィーンの地下鉄で自殺する人が急増しました。(1984-87)

オーストリア自殺予防協会がガイドラインを作成しました。(1987)

メディアによる自殺報道のコントロールを行いました。

結果として。

地下鉄自殺減少(1987後半~)

総自殺率低下(1987後半~)


とまあ、そんなことがあったのですね。

報道の自由は守られるべきだと思います。

そして報道する側の責任もまた重大だと思います。

この辺の事象は、自殺対策支援センターに詳しく掲載されております。


http://www.lifelink.or.jp/hp/jisatsuhoudou.html


おそらくこの国には素晴らしいニュースが沢山あると思います。

頑張っている人も沢山います。

誠実に生きている人もまた・・・・・

明るいニュースも沢山流したらなあ・・・などと思います。