空いろの花


青いお空の色してる、
小さい花よ、よくおきき。

むかし、ここらに黒い瞳(め)の、
かわいい女の子があって、
さっきわたしのしてたよに、
いつもお空をみていたの。

一日青ぞらうつるので、
おめめはいつか、空いろの、
小さな花になっちゃって、
いまもお空をみているの。

花よ、わたしのおはなしが、
もしもちがっていないなら、
おまえはえらいはかせより、
ほんとの空を知っていよ。

いつもわたしが空をみて、
たくさん、たくさん、考えて、
ひとつもほんとは知らぬこと、
みんなみていよ、知っていよ。

えらいお花はだァまって、
じっとお空をみつめてる。
空にそまった青い瞳(め)で、
いまも、あきずにみつめてる。



お花だったら


もしもわたしがお花なら、
とてもいい子になれるだろ。

ものが言えなきゃ、あるけなきゃ、
なんでおいたをするものか。

だけど、だれかがやって来て、
いやな花だといったなら、
すぐにおこってしぼむだろ。

もしもお花になったって、
やっぱしいい子にゃなれまいな、
お花のようにはなれまいな。


見えないもの


ねんねした間になにがある。

うすももいろの花びらが、
お床(とこ)の上にふりつもり、
お目めさませば、ふと消える。

だれもみたものないけれど、
だれがうそだといいましょう。
まばたきするまに何がある。

白い天馬がはねのべて、
白羽の矢よりもまだ早く、
青いお空をすぎてゆく。

だれもみたものないけれど、
だれがうそだといえましょう。



金子みすずの詩と我が家の庭に咲く花々・・・・メルヘンだなあ・・・・