『サイキック・マフィア われわれ霊能力者はいかにしてイカサマを行い、大金を稼ぎ、客をレイプしていたか』(M・ラマー・キーン)目下絶版。

著者は、かつて著名な「霊媒」であった人物。

彼が、いかにして「霊媒」となり、イカサマ心霊術を行い、「業界」に入り、大金を得て、人を騙す事に耐え切れず足を洗うに至ったかの克明な記録である。

肝要な点は、以下。

「霊能力者のトリックがばれ、いままで自分が騙されていたことが明らかになると、騙されていた人々は事実を明らかにしてくれた人に感謝するのではなく、逆にその人のことを裏切り者呼ばわりし、どんなに明白な事実を突きつけられても聞く耳を持たず「騙されていない」と言い張って、より団結を深めていくのである。心理学の専門用語では、こうした状態に陥ることを「認知不協和の理論」と呼ぶようだが、簡単にいえば、一度強固なビリーバーになってしまうと、何があっても自分の信念を深める方にしか認識が働かない、ということだ。」(p223)


この世界にあまたあるカルト教とその信徒。

または、唯物、唯心、唯神、唯金・・・・または、動物愛護至上主義者や地球環境至上主義者。

我々は、麻原教祖を信じ拘置所近辺に住む信徒や再臨のイエスキリストである文鮮明を信じ壺を売りまくり合同結婚式を挙げる人々を決して笑えないのだ。

この世界は、主義=イズムだらけである。

俺には、信じるものなんてなあーーんも無いケンネという人もまたケンネイズムなのである。


イズムとは、共同幻想のことだ。

個人も家族も社会も国家もこれ無しで成立できない。


冒頭のイズムは、いわゆるスピリチュアリズムのことである。

これが、真っ赤な嘘でした。

という術者の告白も枚挙にいとまがない。


フォックス姉妹はスピリチュアリズムのきっかけを創った人物として、また偉大なる霊媒として、歴史にその名を残しているのだがこの姉妹も自らのイカサマを暴露するが信者はこれを否定するという冒頭のような現象が起きる。


これに類する話で・・・・・

1991年9月、イギリスの『トゥデイ』紙面にて、二人の老芸術家が衝撃的な告白を行った。 
イギリスの麦畑に、一夜にして現れる謎の円状痕―ミステリーサークル―は、我々の作品であり、単なる悪ふざけだった、と。記者会見当日、二人は「本物」のサークルを軽快に作成してみせた。

世論はこの年寄り2人を嘘つき呼ばわりした。


人間は、騙されたいのかもしれない。


昔、詐欺師と付き合っている女性がいた。

彼女は、詐欺師に騙されていた時代がまるで夢のようだったと麗しい目をして回想する。

彼女の両親は娘を奪還しようと必死だった。

しかし、当人は夢の中にいたいのだ。

この詐欺師と女性が別れた契機は、詐欺師が他の顧客=金ズルを探し始めたことによる。


何が本当か?などどうでもよく。

自分にとって都合が良かったり陶酔や没頭できる事に人間はのめりこみたいのだ。

貧者にとっての宝くじ。

または、パチンコその他の博打。

対象は、どうあれその心理は似てるようだ。


そいう意味では、霊界も宇宙人も当たり万馬券もおんなじじゃいか?

などと言うと乱暴だろうか?


アメリカ南部には、未だ進化論を学校で教育するのを禁止する州があったり。

そんな国の大統領がまるで進化の途上の猿のような風貌をしている。

そんな狂った国で興隆を極めるカジノ経済と呼ばれる現在の株式市場もまた・・・・

そんな我々についてマーク・トウェインは鋭い警句を数多く残しております。

「10月、株に手を出すにはもっとも危険な月だ。これ以外に危険な月は7月、1月、9月、
 4月、11月、5月、3月、6月、12月、8月、2月」


「人間の一生には,投機に手を出してはいけない時が二度ある。それができる余裕のないときと,それができるときが,すなわち それだ」


「人間は誰もかも頭がおかしいということを思い出せば、謎は消え、人の世がすっきりとわかる」

「石鹸と教育は大量殺人ほど急激な変化はないが、長い目でみればそれ以上に殺傷力がある」


とまあ。

人間て生き物は騙されたいんだか信じたいんだかわけがわからないんである。