Nashville Skyline 1969


Side A
1. Girl From The North Country
2. Nashville Skyline Rag
3. To Be Alone With You
4. I Threw It All Away
5. Peggy Day

Side B
1. Lay, Lady, Lay
2. One More Night
3. Tell Me That It Isn't True
4. Country Pie
5. Tonight I'll Be Staying Here With You

(A-1、with Johnny Cash)



I Threw It All Away

 

 

かつてある女をこの腕に抱いた
いつまでもいっしょよ と彼女は言っていたのに
おれは酷いやつで
彼女をバカのように扱い
ぽいと捨ててしまった

 

かつてこの掌に山を持っていた
そしてよどみなく流れてやまない河をも
おれはきっと狂っていたに違いない
自分の持っているものに気づかなかったんだ
それをぽいと捨ててしまうまでは

 

愛しかない それが世界を回している
愛だ 愛のみ-----それは確実なこと
それについてあれこれ考えようと
それがなくては何も始まらない
やった人から助言を受けな

 

だからもしあんたが 精一杯の愛をくれる人を見つけたなら
心から信頼して はぐれてしまわないことだ
絶対 ほんとうに
あんたは傷つくだろう
それをぽいと捨ててしまったら


先日、読んだみうらじゅんの漫画

この漫画に繰り返し出てくる

ディランの詩


愛しかない それが世界を回している
愛だ 愛のみ-----それは確実なこと
それについてあれこれ考えようと
それがなくては何も始まらない
やった人から助言を受けな


この部分が何回も繰り返される。

僕のディランに対するイメージはと言えば

60年代初期で時間が止まっている。

風に吹かれて

北国の少女

あの辺りのディランがいつでも僕にとっては最高だ。



時代は変わるの「戦争の親玉」


そしてこの曲のメロディーと詩が今でも僕にとってのディランなのだ。




The Lonesome Death Of Hattie Carroll

 

 

ボルティモア・ホテルの社交界の集まりで
ダイアモンドの指輪をはめた指で杖を振り回し 
ウィリアム・ザンジンガーは哀れなハッティ・キャロルを殺した
警官が呼ばれ 凶器はとりあげられ
拘束の上 警察署へ運ばれ
第一級殺人罪でウィリアム・ザンジンガーは告発された
だが あらゆる恐怖を論評し 恥辱を論理づけるあなたよ
顔からハンカチをはなしなさい
いまはまだ泣くときではない

 

ウィリアム・ザンジンガー-----24歳で
600エーカーのタバコ農場を所有し
資産家の両親から援助と保護を与えられ
メリーランド州の政界と特別なつきあいのあったこの男は
自分の行為にただ肩をすくめてみせ
罵り 嘲笑い 舌を顫わせ
ものの数分で 保釈金を積んで出てきた
だが あらゆる恐怖を論評し 恥辱を論理づけるあなたよ
顔からハンカチをはなしなさい
いまはまだ泣くときではない

 

ハッティ・キャロルは調理場の女給だった
彼女は51歳で 10人の子供を産んだ
皿を運び ゴミを捨て
テーブルの主賓席に坐ったことはおろか
テーブルの客たちと言葉を交わしたこともなく
ただテーブルの上の食べ物をかたづけ
そこらじゅうの灰皿を空けていた彼女が
すべての思いやりを滅ぼすよう定められ 運命づけられ
空中をすべり 部屋に降ってきた杖で
叩きのめされ 一撃のもとに殺された
彼女はウィリアム・ザンジンガーには何もしなかったのに...
だが あらゆる恐怖を論評し 恥辱を論理づけるあなたよ
顔からハンカチをはなしなさい
いまはまだ泣くときではない

 

名誉ある法廷で 判事は
すべては公平で 裁判は平等であり
判決が糸をひかれたり言い寄られたりすることもなく
ひとたび警官に追われ捕らえられた以上は
身分が高かろうが しかるべく扱われ
法の梯子には上下の区別はないことを示すために小槌を叩き
ただ衝動的に 何の警告も
何の理由もなく殺人を犯した者をにらみつけ
処罰と遺憾のために 断固として
マントの奥から 厳かで 明確に
ウィリアム・ザンジンガーに6ヶ月の刑を宣告した
だが あらゆる恐怖を論評し 恥辱を論理づけるあなたよ
ハンカチで顔を深く被いなさい
いまこそ泣くときだから