日本には素晴らしい伝統の技があります。
割れた器が再び使えるようになり、さらに芸術性までアップするという。
それが金継ぎなのです。
こんばんは。
野引香里です。
お気に入りのお皿を割りました。
いまさぁ、自分の名前の『の』って打とうとしたら予測変換で一番に『ノーパン』って出て焦った。
はて、ラインとかでノーパンについて熱く語った覚えはないのだけれど…。
どうしてでしょうね。
紳士ドーナツとか春の風物詩であるパン祭りなどで手に入れた(どうでもいい)カップやお皿はとっても丈夫で長持ち。
今回だって紳士ドーナツの(どうでもいい)カップを洗っていたら(←どうでもいいとか言いつつ使っている)泡で手が滑って、(どうでもいい)カップが大切な(どうでもよくない)お皿の上に不時着し、(どうでもよくない)お皿が大惨事。
(どうでもいい)カップがどうにかなればよかったのに!!
※以上、秋の( )祭り
で、どこかの匠に金継ぎをしてもらおうとネット検索したわけです。
するとね、通常なら数ヶ月かかる仕上がりが、簡易的な金継ぎならその日のうちに完成させられる金継ぎ教室を催しているブックカフェを発見。
荻窪の6次元さんです。
名前は知ってたけど、お店には行ったことなかったの。
で、さっそく電話予約。
気のせいか電話を受けたかたがとても嬉しそうで、金継ぎへの並々ならぬ愛を感じたよ。
直したいお皿は1枚です、と告げたら、もっと持ってきてくださいせっかくなので。
と言われ、無いと思いますがかき集めてきます、と返答したものの合計3枚みつかった。
そのうち1枚は爪楊枝の先ほどの欠けだ。
うっかりするとどこが欠けているのか見失うほど。
それらをプチプチでぐるぐる巻きにし、いざ6次元へ出陣。
なんと金継ぎカフェには10名もいらしたよ。
金継ぎがはやってるの?
それともお皿を割るのがはやってるの?
その横のテーブルでは20人以上の編集者やライターさんが集い、海外から帰国されている編集者さんへの質問イベントで店内ぎゅうぎゅう。
いまわたしたちがいるのは3次元だから狭さを感じるのであって、6次元ともなるとどうなるんだろう、などと考えたのはほんの一瞬。
でも無言で作業をしていると編集者さんのお話がどうしても耳に入ってきて、知っているお名前が挙がるとついつい手がおろそかに。
そうしてガタガタに接着された代物がこちらです。
テープで見えないけど接着剤がグイグイはみ出しています。
乾いたら隙間にパテを埋め込み、そのあと金色を塗ります。
乾き待ちの間に金継ぎに関するお話を聞きました。
金継ぎを施した器のほうが価値があるとされ、高級料亭では常連客にのみ出される、
金継ぎした器に名付けをする、
壊れていない器をわざと割って芸術性を高めるために金継ぎする、など。
えええええーーーー!?
物を大切にする文化はどこ行ったよ!
だったら金継ぎが必要そうな目尻を持った熟女だって芸術品として愛でてくれよ!!
さ、完成品たち。
これはお鍋の取り皿です。
割れではなくえぐるように削れたので、パテで埋めてみたしたところ、埋めすぎてふっくら。
茶福豆みたいな形になり、金福豆と(いま)名づけました。
こちらは爪楊枝の先ほどの欠けを銀で修復。
吾輩に名前はまだない。
直す意味があったのかどうかは深く考えないことにした。
こちらは因州中井窯のお気に入りのお皿。
鳥取の窯です。
名前は三股。
見たいでしょ?
三股の裏。
この技術さえ覚えたら、いつなんどき三股が割れて六股になっても安心です。
そしておもむろにブログを終わります。