さて、前回までは司会の技術面で重要な部分を紹介してきましたが、
今回は大喜利の根幹を成すお題について考えていきます。
お題は司会の腕の見せ所であり、センスを問われる部分でも
あります。悪いお題を出していると、回答者も観客も減っていきます。
では、どんなお題が良いお題で、どんなお題が悪いお題なのでしょうか?
そもそも大喜利とは、司会者が出題する特定の答えがないお題に対して、
回答者が面白おかしいことを言い返す遊びです。
その言い返した言葉が面白かったり、とんちが効いていて巧いものが
『正解』であり、クイズや試験のように正解は1つではありません。
なので、お題は正解が1つになるようなものであってはいけません。
また、なんでもかんでも当てはまるお題も、良いお題とは言えません。
前者を『狭いお題』、後者を『広いお題』と言ったりしますが、
狭すぎず広すぎず、ある程度の自由度があり、想像力をかきたて、
考え抜かれた回答が面白くなるお題が『良いお題』と言えるでしょう。
<悪いお題の例①>
「ガリガリ君に新しい味が発売。何味?」
ピグ寄席に通っていると、必ず出くわすお題だと思います。
ボケが出やすそうで『広いお題』に見えますが、実は『狭いお題』です。
なぜなら、味の部分でしかボケられないからです。
実際にある食べ物の味を出したところでボケとしては弱いですし、
食べ物以外で狙うにしてもせいぜい
「ママの味」「初恋の味」「歯磨き粉味」など、
誰でも思いつくレベルの回答しか出てこないでしょう。
また、単なるダジャレでしかない「アジ味」や、
稚拙極まりない「ウンコ味」等のシモネタも必ず出てくることになります。
もしこのお題を改良するとしたら…
「新発売のアイスが大不評! いったいなぜ?」
こうすることにより、味だけではなく、パッケージや商品名、形状、製法、
宣伝・販売方法等をイジれるようになり、回答の幅が広がります。
~つづく~