「和泉桂」の「建築家・饗庭 蓮シリーズ」でございます。
発行順は。
「甘い滴の満ちる夜」
※これは正確には「饗庭蓮シリーズ」ではないんだけれど、作中で「饗庭」の師匠と書かれている「広瀬」の話。
「春楡館に秘める鍵」
「蘭閨館の虜囚」
となりますね。
さて、ワタシはまず最初に「蘭閨館」読みますた。
そのあと2冊は、またもやつっちぃさんにご無理申しましてお借りしたのでございます。
- 蘭閨館の虜囚 (SHYノベルス 123)/和泉 桂
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★「蘭閨館の虜囚」
「建築家・饗庭蓮」の建てた「蘭閨館」のある秋沙島にやってきた「篠田唯」。今は島の所有者「川神正宗」だけがわずかな使用人と住む秋沙島に、「唯」はなんとしても訪れなけらばならなかった。
そのためには卑怯な手段を使い、当主「川神正宗」からどんな理不尽な条件を出されても耐えるつもりだった。
「屋敷に滞在中は正宗に絶対服従」という条件に、頷いた「唯」は、しかしまさか自分の体に快楽を教えこまれ調教されることとは思っていなかった!
一方女郎のように扱われながらも、誇りを失わない「唯」に「正宗」は不可思議な感情を抱くようになるが、「唯」がそれほどまでに「蘭閨館」に拘る理由をいぶかしく思っていた。
「建築家・饗庭蓮」という人物が建てた館にまつわる物語でございます。本人「饗庭」は登場しません。
「春楡館」の方にはちらりと登場しますけどねー。
最初これ読んだ時、ふっとミステリーの「斜め屋敷の犯罪」思い出しちゃった(^^;)
- 斜め屋敷の犯罪 (講談社文庫)/島田 荘司
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さて。これねえ。調教モノなんですわ。
「唯」が、なぜその調教に甘んじているかというと、大好きだった叔父の「融」の存在がカギなわけです。
この「融」というのは「唯」の母の弟で「饗庭蓮」の研究をしてんですな。父亡き後「唯」を大変可愛がってくれたのですが、この人は「饗庭」の作品である「蘭閨館」を見るために秋沙島を訪れ、その後帰郷して病に倒れ夭折するのね。
慕っていた「融」が、まるで別人のようになり亡くなってしまったことで、「唯」の中でその原因が秋沙島の「蘭閨館」にあると思い、その真相を探りに来たわけね。
だから、どんな仕打ちを受けても「唯」は「正宗」に服従したと。
でも、服従は何とも甘美な快楽を「唯」に与えてくれるという自尊心と身体を引き裂かれるような思いを味わうわけね。
うーん。そこが調教モノのおもしろいことなんだけども。
ま。誰が本当の「蘭閨館」の虜囚か。というところはすぐに明らかになり、どことなくミステリアスな存在である「蘭閨館」というものも単なる建物となって呪縛は解けるわけなんだけどね。
「和泉桂」初心者のワタシでありますが、もうちょとひねってほしかった。
むしろ「蘭閨館」が建てられた経緯の方に興味が出るし、「川神家」の先代と「融」の調教関係のほうのがどろどろして面白そうだったなーと思っちゃったわ♪
- 春楡館に秘める鍵 (SHYノベルス)/和泉 桂
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★「春楡館に秘める鍵」
裕福な家庭に育った「梧桐明里(ごとう あかり)」は、兄の「慎司」に溺愛されて育った「嫋々としてたおやかな風情」と評される美少年である。
しかし、ある時期を境に「慎司」が自分の「明里」への愛情の激しさに疑問を抱いたことで「明里」の幸せな生活は揺るぎ始める。
兄の自分への態度が急に冷淡になってことで胸を痛める「明里」。
ついに「慎司」は、何も言わずにアメリカへと留学してしまう。
「慎司」は、時間と距離を置けば、自分の「明里」への愛情もいずれ落ち着くだろうと思っていたけれど、日本に帰り、成長しますます美しさを増した「明里」を見た瞬間、もはや自分が絶望的に「明里」を愛してしまっていることに気がつく。
しかし兄弟であり、男同士であるという二重のタブーに悩む「慎司」はますます「明里」を遠ざける。
そんな時、「明里」の出生の秘密を握ると言う男が「梧桐家」を脅迫しに現れて・・・。
えーと。これもある意味「調教モノ」かな。
溺愛の果てに、弟を強烈なブラコンに陥れちゃったお兄様の懊悩と、兄ちゃんしか見れなくなってしまった弟の懊悩でございます。
まあこのふたりには「男同士」というタブーはあんまりなくてね、実の兄弟、血の繋がりっちゅうもとに悩んでんだねえ。
まあ倫理として血の繋がりに悩むのは当然でしょう。
「男同士」ということに対するタブー感の薄さは、このへんは時代もあるかもね。
※この作品群の時代設定はすべて大正~昭和初期
まだこのあたりは「念友」という観念はあった時期でしょう。
兄ちゃんは無意識に、可愛い可愛い弟を自分しか愛せないように導いてますのう。
気の長い調教ですわ。( ´艸`)
そんでもってふっとそんな可愛い弟の、肉の魅力に気がついちゃった時!兄ちゃんめっさウロタエマス。
もー、ちょっとそれも人並みに遊んでるわりには兄ちゃんもウブいわねーなんて思っちゃうワタシなんですがねー(^^;)
で、これも「饗庭蓮」のシリーズなんで、「饗庭」の建築物が出てきますが、それは「梧桐家」の別荘「春楡館」でございます。
ここは兄弟の思い出の館でもあり、「饗庭」のなんとも粋な仕掛けのある館なんすねえ。
「蘭閨館」には特別な仕掛けみたいなものはなく、あれは娼館だったということなんですがの。
まあそんなわけで、うぶな弟は兄ちゃんに開花させられましたと、そういう話なんでございます。
ふたりには結局血の繋がりのなかったわけなので、それがクリアになったらどんどん恋心は加速しちゃうんだねえ。
そしてロマンティックな初夜を迎えましたという、とっても可愛い話でもありました。
- 甘い雫の満ちる夜 (SHYノベルス)/和泉 桂
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★「甘い滴の満ちる夜」
貧しい寒村から働きに来た「千里」は、女衒に騙されて男娼として陰間茶屋に売られそうになるところを必死で逃げだす。
危ないところを助けてくれたのは裕福な伯爵家の次男「広瀬秋成」。人間不信に陥った「千里」は、助けてくれた恩人「広瀬」のシニカルな態度に反発し、売り言葉に買い言葉で、「広瀬」の館で愛人として暮らすことになってしまう。
愛人として主人を喜ばせるように、性に未熟な「千里」は「広瀬」に夜ごと快楽を教え込まれて・・・
これも調教モノです(^^;)
これには「饗庭蓮」(建物も)は登場しませんが、のちに師匠すじとなる「広瀬」が登場。
「和泉桂」はこのあたりの時代が大好きらしく、あの「清澗寺伯爵」の名前も出てくるし、「春楡館・蘭閨館」にもおなじ名字の人物たちが登場します。登場人物が微妙にリンクしているということなのですね。
さて。
この3作に共通するのは、「受」がすべて性的に未成熟な少年乃至青年というところです。
※「千里」は15歳!!∑ヾ( ̄0 ̄;ノ
それを、経済的にも裕福で社会的にも地位のある年上の人物が、目覚めさせるというパターンになっております。
「受」の年齢も比較的若く、性格的にもどちらの性別にも寄り添わない非常にユニセックスな存在になってますねえ。
そして「攻」は見ようによっては傲慢で冷淡です。
ここが今回この3作のポイントです。
と、いってもこういう図式はBLの王道でもありますがの。
おもしろいなあって思うのは、性的に未成熟な「受」を愛するがあまり、年上のまあ、分別があるでありましょう「攻」が、恋愛経験としても性的経験としても「受」にまったく選択するチャンスを与えず、頭から支配しようとしているところなんですね。
これは「源氏物語」の「若紫」が、「源氏」の望むように育てられてしまった悲劇に非常に似通っているようにも思えるんですねえ。
ワタシはあれは大変「若紫」が気の毒だったと思うんですよ。
だって世界はこんなに広いのに、たったひとりの人間しか見ないように誘導されてしまった人生は、いったいそれは本当の自分の人生であるのか?って疑問のなのよ。
それって誰でも一度くらい考えたことないですかねえ?
で、ワタシはこういう作品を読むたびにそんな感想を抱くんですけども、多くの女性読者はこういう作品を支持します。
ということは、女性に中に、頭から支配されたいという願望がどこかにチラリとあるということですかねえ?
自分を振り返って考えてみるに、そういうところは確かにあるかも知れんとも思うんですねえ。
でもよーく考えてみると。
社会的に成功した年上の、しかも美しい青年が自分を支配したがっているというのは非常に快感でありますからね。
そういう男を夢中にさせる己というのもに快感を感じると言うことでしょうか?
つまり、支配される振りをして、相手を支配する。
主導権は実は支配されているほうにあると。
そういうカラクリなんでしょうかねえ?(;^_^A
たしかに「若紫」が亡くなった後の「源氏」は非常に哀れです。
※あんま記憶にないけど(^^;)
この3作も、結ばれたカプたちはきっと「受」が先に亡くなった場合、「攻」は立ち直れないくらいのダメージを受けることになるでしょう。
「攻」は、「受」を頭から支配したと思っているけれど、真実支配されているのは「攻」でありましょう。
と、そういう風にワタシは読じゃってんですけど、それが、女子読者の支持の理由かなと?(^^;)
こういうタイプの作品を読むと、何年後かの続編を読みたいなあとつくづく思うワタシであります。
まあ。書き下ろしとなった場合は大概あまあまになるんですけどね♪