インフルエンザ菌b型ワクチンも公費に! | マーブル先生奮闘記

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マーブル先生の独り言。2024年1月1日の能登半島地震後の復興をお祈り申し上げますとともに、被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。

2007年1月にインフルエンザ菌b型ワクチンが製造承認された。
インフルエンザ菌は、ヒト上気道に常在するグラム陰性桿菌であり、
莢膜の有無と抗原性により分類されるが、中でもインフルエンザb型(Hib)が
最も病原性が高く、乳幼児の細菌性髄膜炎の原因菌として問題となる。
冬に流行するインフルエンザは、インフルエンザウイルスによる
ウイルス感染症であり、インフルエンザ菌はこれの病原微生物ではない。


Hib感染による乳幼児の細菌性髄膜炎は、診断や治療が
難しいためワクチンの必要性が議論され、1980年代後半には
欧米を中心に予防効果が高いHibワクチンが導入された。
米国では、このワクチンによる定期予防接種の導入により、
Hib罹患率が100分の1にまで減少した。


さらに1998年、世界保健機関(WHO)がHibワクチンの
乳児への定期接種を推奨する声明を出したことから、
現在では世界100カ国以上で使用されるようになり、
世界的に見ればHib感染症はまれな疾患となっている。


しかし、日本では承認されておらず、2003年に承認申請が行われたが、
3年以上も承認されないままだった。日本における細菌性髄膜炎の
罹患率が欧米の数分の1程度と低く、Hibワクチンの必要性に
社会的に広まらなかったことが一因とされている。


現実には、日本でも毎年、5歳未満の人口10万人当たり
少なくとも7人がHib感染による細菌性髄膜炎に罹患し、
Hibによる細菌性髄膜炎は予後が悪く、罹患児の5%が
死亡し、25%に聴覚障害やてんかんなどの後遺症が生じる。
さらに最近は、Hibの薬剤耐性化が急速に進み、
Hib感染症がさらに難治化する傾向にある。
こうした実情を踏まえ、日本小児科学会は2005年6月、
厚生労働省に対して要望書を提出し早期承認を求めていた。


同ワクチンは当面は「任意接種」となることから、患者の費用負担が
大きいこと(通常は4回接種で3万円程度)が課題になると考えられる。
Hibワクチンは、小児に大きな利益があることは確実であり、
早急に費用負担軽減などの対策を講じるべきであろう。

とにかく早く公費負担に!