ゾロ、いやジェネリックと先行品。 | マーブル先生奮闘記

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マーブル先生の独り言。2024年1月1日の能登半島地震後の復興をお祈り申し上げますとともに、被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。




昭和大医学部薬理学の内田英二教授は17日、東京都内で開かれた国際治療談話会例会
で講演し、後発医薬品の普及と、業界の信頼性確保などの8項目にわたって提言した。
内田教授は、「後発品は新薬と同じ有効成分で効能・効果、用法・用量が同一」「品質の違いはない」などと説明しているが、必ずしもそうとは言い切れないと指摘。「先発医薬品と同じ薬であるという誤った認識を是正する必要がある」と述べ、適正な情報を隠さず社会に提供すべきだと主張した。また、「わたしが調べた限り先発品の適応症がない後発品が40種類以上ある」と問題視。ロキソプロフェンナトリウムの後発品のうち3品目は、添付文書に記載された薬物動態パラメーターが全く同じだったことを指摘し、「臨床薬理学的にみて、そんなことはあり得ない」と疑義を示した。その上で、申請時に提出する溶出試験、生物学的同等性試験の薬物濃度測定は、GLP対応の第三者外部機関で行い、データの信頼性・透明性を確保することを提案し、市販後は、公的機関が申請時データに基づき、定期的に品質保証を行うよう求めた。
同日は、東京慈恵会医科大内科学・臨床検査医学の大西明弘助教授も講演した。後発品処方を原則とし、例外的に先発品を使用する処方せん様式への見直しが浮上していることについて、「変更すると臨床現場が混乱する」と否定的な見方を示した。

昔は後発品のことをゾロといった。最近はジェネリック医薬品という
かっこいい名前に変わっている。問題は内田教授が指摘するように
1) 先発品の適応症のすべてがない後発品が多い。
2) 特許フリーのため正確な臨床データがない

などの問題点があり、これ以外にも基材が異なり、作用する時間が
異なる可能性もある。また、総じてデータに信頼性や透明性が
ないことは以前から指摘されていた。


国は以前から医療費の限りない膨張のために
ことあるごとに、このゾロを使用することを進めてきた。

ゾロとは、新薬の特許権が切れた後に、他の製薬会社から
販売される後発品のことで、製薬会社は「ジェネリック医薬品」と
名を変えていう。先行品の特許権が切れた後(20年ぐらい)に
「ぞろぞろ」と各社から販売が開始されるからこの名前が付いた。

先行品の特許権が存在していた時期は、その先行医薬品を
特許権者以外が製造・販売すると特許権侵害となる。

特許権者にお願いして、実施許諾してもらおうとすると
かなり、いや莫大な実施料を請求され、薬の利益どころではない。

そこで時間の経過を待って、特許権が切れれば、
同じ内容の似たもの医薬品を製造・販売しても
特許権侵害にはらないし、莫大な実施料も
支払う必要はない。

この結果、よく売れた、よく効いた、先行医薬品は人気者で、
まねされやすい。人気者は特許が切れた後に
他の多くの製薬会社から同じ成分の医薬品(つまりゾロ)が
次々と販売されることになる。少しぐらい違ってもかまわない。
とにかく出して、出して、売れなければ、止めればいい。
所詮、元手がかかっていないのだから。

一般的に製薬会社の新薬開発には膨大な費用がかかる。
(数百億円以上のことも多い)
アイデアから始まり、薬の作用のデザインを考え、何種類かの
試作品を作り、動物実験を経て臨床試験を行う。
ここまでくるのに多くの試作品は消えていく。
時間もかかり、国の承認を得るために大変な労力(臨床試験)が
必要となり、しかも開発した新薬が全て販売できるわけではない。

動物に効いても人に同じ効果があるという保障はない。
動物に副作用が出なくても、人で副作用が出ることは
多くの薬でよくみることだ。

臨床試験をして「効果がない」,「危険性がある」ということになれば
販売できない。すべてパーになる。フェーズ1からフェーズ4までを
すべてクリアーする薬は、開発段階の何万分の1なのだ。

販売して利益を得られなければ開発費の分だけ大赤字となる。
だから、価格をかなり高く設定しないと、儲からないし、割が合わない。

一方、ゾロの場合、新薬開発に比べれば開発費用がかからない。
一度認められた作用なのだから、国の認可なども楽なので、
販売価格を安くすることができるのは当たり前。

開発した製薬会社もしょうがないのと、十分儲けたので、
ゾロに対抗して販売価格を下げざるを得ない。
したがって、一般に特許権が切れた後は、
その先行品はゾロほどではないものの、かなり安くなる。

全く同じ成分でなくても、同系統の成分をつかって
同じような効果が得るような医薬品のこともゾロと呼ぶ。

でも考えて欲しい、本当に同じなのかは何の保証もない。
先に書いたように、まったく同じ臨床データを平気で添付文書の
掲載している例はかなりある。

成分が同じでも、製造方法が同一かは不明である。
また、成分を載せている基材が異なれば融解時間が異なったりする。
胃で働かなければならない薬が腸まで溶けないことはよくある。

ゾロがすべて悪いわけではない、ゾロのほうが効くこともある。
ただ、薬の使用は高橋秀樹さんがいうほど簡単ではない。

思い出して欲しい。
昔、「この薬を出す医者は危ない」と
ゾロをだす医師をダメな医師と
書いた本があった。
当時はゾロのほうにより薬価差益があり、
薬で儲けている医師はゾロを使っていると
言われた時代だった。


医師が出す薬でダメな医師と言っていた
人が今度は国の方針に合わせて、
ゾロを賛美する。

この分野でもメディアはゾロ、いやジェネリック、
ネットは先行品となるかもしれない。