女性の卵巣の卵胞発育や
排卵の制御やその微妙なコントロールは
卵巣自体が行っているのではなく
下垂体といって頭部の脳の
下のほうにあります。
下に下がっているので
下垂体といいます。
この下垂体の前葉から分泌される
ホルモンは沢山あります。
ACTH (副腎皮t color="#FF0000">ACTH (副腎皮質刺激ホルモン,adrenocorticotropic hormone)
GH (成長ホルモン,growth hormone)
TSH (甲状腺刺激ホルモン,thyroid stimulating hormone)
PRL (プロラクチン,prolactin)
LH (黄体形成ホルモン,luteinizing hormone)
FSH (卵胞刺激ホルモン,follicle-stimulating hormone )
産婦人科で大切なのは下の3種類です。
この中のプロラクチンは乳汁分泌ホルモンで
産後の母乳のために必要なホルモンです。
FSHは卵胞刺激ホルモンで
卵巣内の卵胞の発育を刺激して
成熟させます。
一定の大きさになった卵胞内の
卵子は排卵を待ちますが、
このとき、下垂体から分泌され
排卵をさせるホルモンが
LHというホルモンです。
排卵すると抜け殻の卵胞は
黄体化し、黄体ホルモンを
分泌するようになるのです。
排卵させる=黄体化することなのです。
だから、LHは排卵させるホルモン
すなわち、黄体化ホルモンといわれるのです。
FSH、LH、TSHなどのホルモンは
蛋白と糖鎖からできたホルモンですが
どのホルモンも
二つの部分から(サブユニット)からなります。
二つをアルファーとベータ(α、β)といいます。
このαは実はみんな一緒です。
βが違うのでそれぞれの個性がでます。
産婦人科なので下半身が違うと覚えます。
αは共通、βは異なっている。hCGとLHのβは80%共通。
ここでhCGの登場です。
hCGは妊娠の初期の胎盤から
分泌されるホルモンですが、
このhCGは黄体の保持を促進し、
その黄体のプロゲステロンを分泌させます。
プロゲステロンは子宮内膜を肥厚させ
胎児の成長を助けます。
この作用は胎盤形成まで
続き、妊娠を応援します。
つまり卵巣の黄体の
活性化という作用では
LHに近いのである。
実際このホルモンも
二つのユニットからなり
αは一緒、βもLHのものに
80%も一緒なのである。
作用が似ている以外に
hCGが優れている点は
作用時間が長いのである。
LHは生物学的半減期が
2時間なのに比べて、
hCGの作用は20時間近く
作用が継続するのである。
これは都合がいい。
少しぐらい卵胞発育が遅くても
20時間の余裕がある。
LHは弱い、2時間以上たつと
作用はしない。
自然は卵巣からのフィードバックが
正確に働くが、治療はそうもいかない。
昼に外来に来ても
よる排卵するかも知れない。
こんな時に便利なのです、hCGは。
妊娠の尿中に大量に分泌される
hCGを精製したものを使用している。
狂牛病でもうヒトの尿由来のものは
使用できなるのもそう遠くはない。
さて、hCGはLHとαは一緒だから
βを区別する、しかも、80%が同じだから
区別する部位は限られてくる。
以前はかなり難しかった。
いまは正確なものが安価で
使用されている。
いい時代です。
普通αとβは一緒にひっついて
存在する。hCGβが単独に
存在するときがある。
癌の時や、子宮外妊娠や
胞状奇胎の時である。
こうゆう絨毛組織に問題がある
疾患のフォローには単独のhCGβを
測定する。
最近は血中ではなく(痛いからね)
尿中のhCGβの代謝産物である
hCG-cfなるものが測定できるようになった。
妊娠の検査に使用するのではなく
産婦人科の悪性腫瘍で
hCGやhCGβを産生する悪いやつの
フォローや治療評価に使う。
たとえば、
胞状奇胎、
絨毛癌、
異所性絨毛上皮腫、
睾丸腫瘍、
その他のHCG産生腫瘍(卵巣癌、膵癌)など