7月13日に、長崎県議会が決議した人権委員会設置反対決議の意見書の全文がわかりましたので、紹介します。
この意見書は、表題に、「反対」を明記しています。
議会の決議などでは、「慎重審議」などの文言を使用して意味をぼかし、穏当な雰囲気にする傾向がありますが、今回の県議会の意見書は、そうした妥協的姿勢を排し、県議会としての意思を明確に示したものと言えます。
そのため、全会一致ではなく、賛成多数での決議となりました。
拙速な人権救済機関の設置を目的とする法律の制定に反対する意見書
法務省は、新たな人権救済機関の設置等を目的とした法案提出に向けて、昨年8月には、「新たな人権救済機関の設置等に関する基本方針」を、その後の昨年12月には「人権委員会の設置等に関する検討中の法案の概要」を公表するなど準備作業が進められている。
不当な差別や虐待などからの救済を目的に、新たな人権救済機関をつくるという同種の法案は過去にも検討されたが、成立には至らなかった経緯がある。
また、法案の概要公表からかなりの日時を経過したものの、法案提出のための閣議決定もなされていない状況である。
こうしたことから、人権救済機関(人権委員会)を国家行政組織法の三条委員会とすることや人権擁護委員の資格要件、人権侵害の定義が不明確であることなど、まだまだ議論を尽くす必要のある点が存在しているものと思われる。
よって、国におかれては、十分な国民的議論を経ないまま拙速に新たな人権救済機関の設置を目的とする法律を制定されないよう強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成24年7月13日
長 崎 県 議 会