県企業局、団地整備 消費税を過大還付 国に4800万円納付 静岡 | 脱税・申告漏れ日記

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大阪の若手税理士が巷に流れる脱税・申告漏れ報道の裏側を分かりやすく解説します!

『県企業局、団地整備 消費税を過大還付 国に4800万円納付 静岡』
http://sankei.jp.msn.com/region/news/110421/szk11042101500001-n1.htm
MSN産経ニュース 2011.4.21 01:49

『県:消費税を過剰還付 国に4800万円返納へ /静岡』
http://mainichi.jp/area/shizuoka/news/20110421ddlk22010260000c.html
毎日新聞 2011年4月21日 地方版


消費税の過大還付を指摘され修正申告した事案
・名古屋国税局に消費税の過大還付を指摘され修正申告に応じたのは静岡県の県企業局
・2006年度、県企業局が湖西市から約6億1000万円で工業団地事業を受託。
・2007~2009年度、工事などにかかる費用約17億円を民間業者に支払い。
・2年間で5400万円の消費税の還付申告。
・名古屋国税局が2007~2009年度分を対象に行った税務調査で還付金額が過大になっているとの指摘。
・4月20日 県が国に修正申告し、過大に還付を受けていた4028万円を国に納付
・加算税など769万円は今後納付予定。


消費税は土地売却益には非課税だが、道路や河川の工事には課税される。
県企業局の説明では、公共事業の課税部分と非課税部分の解釈に国と県の間で見解の相違があったという。


この造成工事が対象かと。
<関連記事>
【静岡】湖西・西笠子工業団地の造成完了 7社に分譲(6/7)
http://www.kentsu.co.jp/shizuoka/news/p02896.html
建設業界ニュース静岡版(2010/6/7)

オーダーメード(進出企業事前確定)方式による事業で、県が造成した後の用地を予め定められていた進出企業に譲渡し、進出企業がその用地に工場等の建設を行うという流れのようです。


まず消費税法における非課税取引ですが、

(消費税法別表第一第一号)
土地(土地の上に存する権利を含む。)の譲渡及び貸付け(一時的に使用させる場合その他の政令で定める場合を除く。)

とあり、消費税の課税の対象となる「資産の譲渡」、「資産の貸付」、「役務の提供」のうち「資産の譲渡」と「資産の貸付」が非課税となっています。
つまり、土地に対する「役務の提供」は非課税から除かれ課税取引となっています。

土地に対する「役務の提供」とは具体的に造成工事であったり、不動産鑑定士が行う鑑定業務、不動産会社が行う仲介業務などとされています。

したがって、普通に考えると県が施行業者に支払う造成費用には消費税が課税され(課税仕入れ)、その後造成用地を進出企業に売却する行為は非課税(非課税売上げ)となります。


通常、消費税の計算は「預った消費税-支払った消費税=納付税額」で計算を行います。
しかし、売上が非課税の場合、預った消費税は0円ですがそれにひも付く(貢献する)支払った消費税は控除することが(差し引くことが)できません(消費税法第30条第2項 ※)。

今回の事案は、上記のような非課税売上にひも付く控除できない消費税を控除できるものとして計算してしまったことが原因です。


国は、約17億円のうち、課税できる支払い額は売却する土地を整備するためにかかった分を除くため約9億円だと指摘。

大体こんな感じだったのでは。
(計算例)
収入
(課税)6億1000万円(消費税約3000万円)
(非課税)6億円(消費税0円)
(課税売上割合))6億1000万円÷(6億1000万円+6億円)=50.4132・・・・%

支払
(課税)17億円(消費税約8000万円)

<当初申告>
1)約3000万円-約8000万円=△5000万円
<修正内容>
2)約3000万円-(約8000万円×50.4132・・・・%)=△約1000万円
<差引>
2)-1)=4000万円(還付過大)

受託料の方が課税されていたため、土地の売却が非課税だったのに気が付かなかったのでしょうか?
であれば、見解の相違というより明らかに計算ミス。


しかし、これにはびっくり

同局は「当初の段階で税務当局に相談すればよかった。県に反省すべき点はあった」とし、再発防止策のため税理士と顧問契約を結んだ。

えっ!?

県の職員さんが申告書作ってたのか・・。
ある意味すごいな。


※非課税売上と(輸出)免税売上との違いは、預った消費税0円は同じでもそれにひも付く(貢献する)支払った消費税を控除することができる点。

<関連記事>
消費税非課税のまやかし


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