NHK BSプレミアムで6月10日に放映された「ビートルズ旋風 初来日 熱狂の103時間」、なかなか面白かったですね。

「プロモーター」、「密着カメラマン」、「警備責任者」、「あの日の観客」の4つの視点から来日当時を振り返る構成です。

中でも、「プロモーター」と「警備責任者」のそれぞれの証言はお互いの立場や思惑の違いを浮き彫りにしていて非常に見ごたえのある内容でした。

当時彼らがいた場所と現在の同じポイントとの対比があったのも良かったですね。


個人的に最も興味深かったのが、日本にビートルズを紹介した張本人ともいえる高嶋弘之の回想。

日本でビートルズのレコードをリリースするに至った経緯やちょっと風変わりな邦題の秘密など、本人の言葉で語られると非常に重みを感じます。

番組内ではサラッと「抱きしめたい」が日本でのデビュー曲だと紹介されていましたが、当初「Please Please Me」で行く予定が急きょ変更された経緯などにも触れて欲しかったところ。

実際のところはどちらが先にリリースされたのかいまだに決着がついていない部分もあるので、そのあたりまで掘り下げてもらえるとさらに良かったのではないかと。

氏の自室にカメラが入っていましたが、当時のビートルズのアルバムの数々がズラリと・・・!


また、当時観客として公演を見ていた著名人の回想もハイライトの一つでした。

純粋なコンサートの感想としては宇崎竜童氏が、「女性ファンの歓声が凄くて、ビートルズの演奏はあまり聴こえなかった」という内容の証言をしていたのが印象に残っています。

これに関しては「非常に静かで、演奏が良く聴こえた」という正反対の証言もあるため、複数の証言を検証して真相を追究するという構成にしても良かったのではないかと。

チケットの座席番号から当時の客席の位置をプロットする演出があっただけに、それをこういう形でも活用してほしかったですね。


懸念していたような”ありがち特集”に終わらず、全体的には良い番組だったと思います。

個々の視点が興味深いだけに、シリーズものとしてそれぞれをもっと深入りした形で番組にしても良かったかもしれません。

6月16日(火)の23:45から再放送があるそうなので、見逃したという方は是非!