全日本女子サッカー選手権準決勝、観戦記 | うらじょ

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女サカ好きです。
浦和レッズレディース中心にはなりますけど
いろいろ好き勝手に書いてます。
よろしくですー


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全日本女子選手権準決勝・第1試合


新潟 2-1 ベレーザ

◆51分阪口(新潟)
*新潟の右SB口木選手が、右サイドでDFをかわしてゴール前へクロス→ゴール前で上尾野辺選手が受けて戻したボールに、阪口選手がグラウンダーのシュート→ゴール左隅に決まり先制。

◆60分川村(新潟)
*新潟、右コーナーから、上尾野辺選手がキックイン→ライナー性で巻いて入って来るボールを、ゴール前で川村選手が豪快に頭で合わせ、ゴール左へ決める。

◆78分有吉(ベレーザ)
*ベレーザの小林弥生選手が、右からロングシュート→GK大友選手が右へ弾いたところを、ゴール前左から詰め寄っていた有吉選手が拾い、ゴールへ叩き込む。


(アルビレックス新潟レディース)


--------菅沢-----上尾野辺-------


上辻-----川村-----阪口------佐伯


山本-----東山-----中村------口木

-------------大友--------------


(日テレベレーザ)

------------永里-------------


木龍------原----伊藤-----岩淵

------------中里-------------


小林海---長船---岩清水---村松

------------松林-------------



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ベレーザが序盤の攻勢から、徐々に新潟のプレッシャーに押され始め、前半中盤以降は、まったくと言っていいほどにベレーザらしいサッカーを展開できなくなったのが意外でした。

そんな状況を見るのは、浦和戦でもINAC神戸戦でもなかったこと。

アーセナル戦の後半に、パワーに圧せられ後退していた時に似ている感じがしました。


言い方は悪いのですが、新潟は愚直なまでに長身FW菅澤選手へ、ボールを奪えば手数を掛けずに縦へ縦へと放り込む。

昨年以前、浦和ならDFが2人付いて対応すれば、菅澤選手が孤立してチャンスが潰える場面が多かったのですが、菅澤選手のフィジカルの向上に加え、そのポストプレイに追随するツートップの相棒であるFW上尾野辺選手が、キープ力を発揮してボールを自在に展開できるようになったことにより、攻撃のバリエーションが豊富になった印象があります。

特に、両サイドからの攻撃の厚みが増したことにより、相手が対応に手こずる場面が多くなったのは、今大会のベレーザDFでも浦和DFでも同様に見受けました。


左MFの上辻選手は、マリーゼ時代から精度良いFKやクロスを見せていましたが、新潟に来てさらに磨きがかかった様子。

まずは前線へのターゲットであるFW菅澤選手が明確に存在し、左サイドを高く上がることができる連携を受けているからでしょうか。ゴール前を脅かすボールの供給が増しています。

上辻選手の足元の技術は宮間選手をほうふつとさせられます。(背格好も似てますし)


右MFからは佐伯選手が、もともと突破力のあるサイドからガンガン勝負する選手ですが、相手DFを凌駕して切り込んで行く場面が目立ちます。

後方から右SBの口木選手が、(もともとFWで脚力があり前線をかき回すタイプ)終始衰えの見せない運動量でバックアップし、相手のサイドを制圧、チャンスには果敢に上がって来ます。

ベレーザのFW木龍選手に食らい付き、本来の持ち味を消すDFの対応を見せていたと思います。




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10月に、埼玉県鴻巣競技場で行われた浦和ー新潟のリーグ戦。

新潟の選手たちが、競技場にバスで到着したときに、たまたま居合わせました。

バスから出て来た選手たちの多くが、浅黒く日焼けし目つき鋭く近寄りがたい感じがありました。


その時から印象にあったのが、他チームの選手より一回り大きくたくましく見受ける選手が多いことです。

菅澤選手をはじめ、MF川村選手、MF阪口選手、右DFでキャプテンの山本選手など、上背があってフィジカルの強い選手が、新潟には揃っています。

全体的にいかつい、というイメージです。


浦和はその試合で勝つことができましたが、今は新潟の好守のコンセプトがチームとしてしっかりまとまり、この選手権にかけて準備してきた様子があります。

フィジカルを活かし、プレッシャーの重みが相手にはじわじわと効いて来ます。

容易にボールを前に入れられなくなると、弱気なパスが後方で目立ち始める。そこをまた狙われる。

レッズレディースもベレーザも、優位なポゼッションできなく屈したのには、共通点が見出せました。





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細かく繋ぎダイレクトの連携を交えサイドを崩して行くことよりも、縦へ長く早く展開し、多少粗くなってもセカンドを拾えるプレスを掛け相手陣内に侵入していくサッカーが、新潟の印象です。

(細かい連携との融合形がINAC神戸のめざすところでしょうか!?)



粘り強く前に進みFKやCKを進んで取れることで、セットプレイ時のキッカーの精度(上尾野辺、上辻)に、高さのある選手たち(菅澤、阪口、山本、川村)が大きな武器となります。


アーセナルレディースの強引さが、新潟の選手たちにも同じく映りました。

フィジカルの強い大型ボランチを据えているのも似ています。(阪口、川村)

日本の女子でも、こういうチームが出て来たのか、という感じがあります。



ただ、前線に強いFWを置いて展開していくチームというのは、私的に見て来た限りですが、早稲田大のFW大滝選手や、常盤木学園高校のFW京川選手が中心となって、縦へ前へ早くという意識が下の年代でも見受けたことです。

特に常盤木学園には、パスを綺麗に繋いでいくより果敢に攻める意識がより強く、粗さは気にしていない様子。

これからの主流となっていくのでしょうか。




ベレーザが浦和と違って後半最後まで粘りを見せたのは、MF小林弥生選手やMF原選手といったベテランや経験の豊富な選手が、奮起してチームを鼓舞するプレーを示したからだと思います。

若いチームを引っ張る伝統の強さを知っている選手たちは、苦境の時こそ力を発揮できるのはさすがです。




ベレーザのゴール裏は、悔しい敗戦でも惜しみない拍手を送り、全日本3位を表彰されていました。

どんな結果でも、相手チームにはエールの交換を欠かしません。

だから素晴らしいのです。


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準決勝第2試合、湯郷ーINAC神戸の試合前。

若い女の子たちが練習を見守っています。

去年までとはまったく違う光景となりましたー







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INAC神戸の応援には、バルーンスティック?(←で、いいんですかね!?)を持った若い子がずいぶん参加していました。

元日はさらに増えそうですね。


選手が動いて行く先へ先へと、ボールを繋いで行くINAC神戸が、序盤からゲームを圧倒していました。

相手陣内へ入れば、足元へのパスがほとんど無い、そのスピード感は前試合とは見違えました。

ダイアゴナルへ中へ入って来るタイミングに、サイドのもうひとつ外へ抜け出た斜め前に、実に良く鍛えられたコンビネーションからパスが長短織り交ぜ運ばれて行く、圧巻でした。





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試合は、前半に3-0でINAC神戸がリードして、ほぼ決した感じはありました。

ですが、湯郷の粘りというのは、そんな状況からでも発揮されていく。

以前、浦和が3-0リードから2点追い上げられ辛くも逃げ切った試合を思い起こされました。

やはり、MF宮間が中心となり、預けれられ繰り出されるボールは、INAC神戸のDFとGKの間を絶妙に突き、何度も脅かし1点返します。


FW松岡実希選手が、GKと1対1になった絶好のチャンスを大きく外さなければ、試合は湯郷が追い上げにさらに気勢を上げ緊迫したことでしょう。


時間が残り少なくなっても、FW中川選手、松岡選手、有町選手らが、前線で身体を張ってボールを受けようと必死な様子がうかがえます。あきらめません。



そのくじけない頑張る姿は、右SBとして川澄選手に何度も抜かれて終始苦戦していた壺井選手にも見受けました。

終了近く、川澄選手が4点目を決めましたが、前がかりの全体で裏を取られて川澄選手と対峙したのが壺井選手でした。

しかしあっさり交わされて、その後楽々とゴールを決められました。

追いかけた後に崩れ落ち、しばし起き上がれず落ち込んだ様子でしたが、気を取り直したようにスッと立ち上がると、残りわずかな時間にもかかわらず、それでも駆けて行きました。




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力は足りないかもしれません、

でも諦めない姿があるからこそ、女子サッカーにはさりげない感動があり興味深いのです。



今年最後の観戦に、

最高の場面を見た思いがしましたー