印欧祖語とは何か、現代語にどうつながるのか、知りたい人へ。 | げたにれの “日日是言語学”

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   共通スラヴ語音韻論概説
  


本 書店ですごい本を見つけました。9月30日に発行されています。


   『共通スラヴ語 音韻論 概説』

本 むずかしい書名ですが、要は、


   印欧祖語の音韻体系がどのようなものであったか
          
   そして、その音韻体系が、スラヴ祖語でどのように変化したか。


について詳細に述べたものである。言語に詳しくないヒトには

   だから?

かもしれないが、これはスゴイことなのである。


   (1) 日本語で読める類書はない。
   (2) 他の語派についても、類書はない。
          
   すなわち、印欧祖語が現代語でどうなったかについて
   具体的に述べた、日本語で初めての書物

なのである。




本 “印欧祖語” について書かれた本には、


   『印欧語比較文法』  (岩波全書) 高津春繁 (こうづ はるしげ) 著


があります。あるにはあるが、「語学が好き!」 という程度のヒトが手にとっても、最初の数十ページで、何が書いてあるのか皆目わからない、という状態におちいります。それに、この本は、岩波で品切れ中。

本 Amazon で古書を購入できるでしょうが、値段は、

   29,500円

です。2005年の重版で、もとの価格は 3,200円+税ですよ。まあ、いずれにしても、この本に何が書いてあるか、普通のヒトにはわかりません。






本 『共通スラヴ語音韻論概説』 の何がスゴイか、というと、

   普通のヒトにもわかるように書いてある

という点なのです。

本 とは言っても、言語学の基礎と、ひととおりのロシア語の知識はあったほうがわかりやすいのはモチロンです。


ナゾの人 著者は、

   原求作  (はら きゅうさく) 氏

です。上智大学の教授で、ロシア語史を専攻しておられるらしい。

本 このヒトの書く本は、

   著述が、ひじょうに具体的で、
   表現が、簡潔、明快、
   そして、ていねい

なのです。とてもわかりやすい。


本 同じく原求作氏の著作で、

   『ロシア語史講話』

も名著です。 ロシア語について 「?」 と思うようなことについて、多くのタネアカシが書かれています。



本 『共通スラヴ語音韻論概説』。近ごろ見つけた言語関係の新刊としては、最高の

   ★★★★★

を差し上げたい著作です。



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『共通スラヴ語音韻論概説』 水声社 / 原求作 著 / 4,500円+税




得意げ  also recommend
『ロシア語史講話』 水声社 / 原求作 著 / 5,000円+税



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