なかなか気軽に書き綴ろうと思っていても、そうできないのだが、そうしないと時宜を逸してしまう。
さてもう過ぎてしまったが、2月7日は北方領土の日だ。
私は左翼的色彩の強い民主党に積極的な部分で期待していることは少ないが、かといって、自民党のままでよかったかというと、それも違う。小泉さん、安部さん、麻生さん、すくなくとも保守層からそれなりに支持されていた首相が続いたのに、力強い日本になる芽がでてきたかというと、残念ながらそうならなかった。もっと根本的な部分から自律的な変動が生じないとどうにもならないと感じていた。
その文脈でいうと既存のもの対する破壊力の強い小澤さんには、一度更地にするという観点でそれなりに期待はしているのだが、現在はその局面ではないようだ。私の小澤さんに対する思いは(というか小澤さんだけではなく大抵のものだが)、是々非々である。少なくとも天皇陛下に対する畏れの少なさについては支持できない。
小澤さんに関してはまたにして、ともかくまあ鳩山さんのぬるさはなんともいい難いし、その後の管、仙石内閣に関しての尖閣の顛末についてもいまさら私が言うまでもないが、独立国としての体をなしていない。
そして、その気概のない、だらしない対応後、ロシアが北方領土に対する足場を一挙に強めてきている。
私は国際関係などに関してさほど造詣が深いわけではないが、こんどのロシアの行動など、ここまで単純なものなのか、こんな簡単なことだったのか、と思うほど、シンプルな状況展開であった。
考えてみればソ連にしてもロシアにしても軍事大国で傍若無人で日本のことなど歯牙にもかけていないっていうような印象があった。北方領土に関しても、とてもまともに取り上げているような印象はなかった。だから今回ロシア大統領や政府高官が訪れたって事が問題になっているのを聞いて、率直に思った印象は「へえ、いままでそんなこと全然なかったんだ。ひょっとして遠慮してたの?」というものだった。
つまり、今回、民主党に政権が移るまでは、いままで歯牙にもかけていないようで、実は北方領土に関して多少の後ろめたいというか、すくなくとも大威張りでではないという思いとか、あるいはそんな思いがなかったにせよ、これ以上踏み込むとさすがの日本も黙っていないんじゃないかという怖れがあったということなのだ。
それか今回の尖閣の顛末で、こりゃ、チョロそうだ。いままでちょっと遠慮してたけど、ここで一挙に踏み込むチャンスだって思ったのは間違いない。未だにこんな簡単な力学で動いていたのだ。そして国際関係とはすごく複雑な方程式をから成り立っていると聞かされてきたことが(もちろん実際にはそうなのであろうが)、その根底は単純な力学関係だということが素人でもはっきり見えた局面であった。
考えてみれば自民党時代だって、こういうトラブルがあっても実質的に何ができたって考えると心もとない。下手をすると民主と大差ない結果になったかもしれない。それでも、外国から見ると一応そこまで踏み込めないというわずかな怖れがまだあったということかもしれない。また日米の距離感ももちろん大きいであろう。
かつて我が国が日露戦争で辛勝したとき、我が国は多くの非西欧諸国の希望となった。そしてそれが独立にむけた精神的支柱のひとつになったはずだ。今回、日中においてその逆が起こり、ロシアがその逆の最初の受益者になりそうなのは、なんとも皮肉な意趣返しだ。
本日、前原大臣が日露外相会談に臨むそうだが、いつものように途中で腰砕けにならないよう、毅然としてがんばってきてほしいものだ。
そしで、今回、このように国際関係が単純な力学で動いていることが垣間見えたわけだが、その交渉に当たる担当者も実は単純な力学で力を発揮できるのであろうと思う。つまりだ、お金の問題なら経済力だが、領土のとったとらないは軍事力である。そういうものがバックにひかえているだけで、交渉者はどれだけ心丈夫に交渉ができることか。別に実際には何もしなくたって、あるだけで十分、力になるのである。そのような原理は個人でも国家でも変わらない。我が国の早急な軍事力強化を求める。
よろしくお願いいたします。