彼と彼のささやかな無意識・16 | 黒チョコの嵐さんと大宮さん妄想書庫

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こちらは妄想書庫でございます。大変な腐りようです。足を踏み入れる方は、お気をつけくださいませ。

※BL妄想書庫です


苦手な方はお気を付けください





















「さとしは…」

「うん、俺は?」



よかった、震えが止まってきた

ぽつりと呟くような声は変わらないけど、怯えた雰囲気は少しだけ緩んでる



「…きもち…よかったの?」

「ん?」



なにが?


ニノと一緒に居るときはいつも気持ちいいよ?



「俺…準備しちゃって…」



…ああ!そう!そうだよ!ニノの涙にびっくりしてまたしても一瞬忘れてた!

準備してくれてたことに気付かなかったことは本当に申し訳ないと思ってる!

でもね



「気持ちよかった!いつも、すっごく!」



だから全然気付かなかったんだ



「…そうなの?」

「そう!もうねぇ、気持ちよくて気持ちよくて!」

「じゃあ…あの…お……のは…飽きたから…じゃない…?」

「え?」



何に飽きたって?

大切なニノの大切な声が聞こえない!



「ごめん、ちょっと向き変えよう」



足の間にある身体を反転させて、まだ涙の残るニノと正面から向かい合う



「もう一回お願いしますっ」

「…お……」



うん、折れたのは?



「…飽きたから…じゃないの?」



耳元で、前半部分は特に、囁くように言われた

他の誰が聞いているわけでもない二人だけの空間なのに

とてもデリケートなことだと受け止めて、限界まで声を落としてくれるニノ

これが愛おしいと感じる以外に何があるというのだろう

それなのに、飽きたから折れたと思わせてしまうなんて

情けなくて泣けてくる



「…大野さん?」

「うん、ごめん、あのね、あの夜、折れた夜に気付いたんだ

そんな大切なことをなんで忘れてたんだろうって思って、すごく情けなくなって、ニノの中は気持ちいいのに折れちゃった」

「…情けなくて?なに…が?」



耳元から顔を上げて、俺の目を真っ直ぐ見つめてくれるニノ

あぁ…かわいい



「いつもね、ニノが俺を受け入れてくれる場所はキラキラしてたり、うっとりしてたり、恥ずかしそうだったり、色んな表情してるんだ

それなのにあの夜は無表情だった

多分もっと前から無表情だったんだろうけど、それにも気付いてなくて」

「…表情?」

「そう、だからもうすっごくびっくりして、頭が真っ白になっちゃって、早くどうにかしないとって焦って、仕事にも集中出来なくて、それで今日は会社を…」



言いながら気付く

解すことを忘れていたけど、準備はニノがしてくれていた

それなのに、無表情だった



解してたのに、無表情



矛盾してる









大野さんが話してくれることは意外な言葉ばかりでぽかんと聞いていた

しかも、俺のそこに表情…?を見出だしていたという告白もさりげなく行われた

もちろん自分では見えない部分で、当たり前だけど目も鼻も無い

口…はあると言えばあるかもしれないけど

奥に隠れている部分をそんな風に楽しんでもらえて嬉しい

そんなところからも気持ちが伝わっていたのなら、尚のこと嬉しい



折れた理由は検討違いだった

俺はまだ飽きられていなかった

そして、会社を早退した大野さんに、大変なことは起こっていなかった



「…よかったぁ」



一気に、全部が、ほっとした

固まっていた身体から力が抜ける



「ほんとによかった…」



肩におでこを乗せる

熱い身体に全てを委ねる



この場所に、大野さんの一番近くに、俺はまだ居てもいいんだ



引っ込んでいた涙が、またほんの少しだけ出た




「あらためてだけど、俺は甘え過ぎてた、鈍感過ぎた

不安にさせてごめん、ニノ」



身体と同じ熱を持つ優しい手で、背中を撫でてくれる

残っていた誤解も不安も溶け出していく



「大野さんは甘えてないです、鈍感でもないです

準備は俺がやりたくてやってたんだから…謝らないで、大野さん」

「準備は時間短縮の為、俺を想って、でしょ?」

「…はい」

「嬉しい、ありがとう」



大野さんが慌てたり、焦ったり、驚きのあまり折れてしまったり

そういう…なんて言うのかな、俺も同時に大分散らかったし、すごく慌てたけど

一緒に暮らさないと分からない部分を、こうやって一つ一つ発見していけるのは、すごく嬉しい



「あの、確認したいことがあるんですけど」

「うん、なに?なんでも聞いて?」

「おやすみのキス、なんですけど」

「うん」

「またして欲しいなーって」

「…え?嘘、まさか」

「テンパって忘れてました?」

「してない?!してないっ!!うわああ゙ー!!ごめんっ!」

「あははっ」



そんな大野さんも、大好きだっ
















つづく