いきなり超豪華クライマックス『法華経』
原始大乗経典も読まねば始まらぬ計画の続きとして、
今度は『法華経』を手に取りました。
天台宗、日蓮宗、そして創価学会!などなど、
日本人が一番親しんでいるはずの法華経ですが、
私はいままで、ちゃんと読んでいなかったのです。
全3巻ある岩波新書の、1巻の冒頭「序品」を読んで、
もうね、腰が抜けましたよ。
映画の最初に、いきなりクライマックス、大団円が
やってきたような、このゴージャス感は何なんだ?
(以下、法華経「序品」より)
「あるとき、世尊(お釈迦さま)は王舎城の霊鷲山に滞在して、
1200人の僧と一緒にいた。」
(このあと、その場にいた神々の名が、延々と続く)
「また、神々の帝王シャクラ=帝釈も、従者の天子衆2万人と一緒にいた。」
「四天王も従者の天子衆3万人もその場にいた。」
と、どんどん聴衆が増えていき、
「また八大竜王も、幾千万億の従者の竜たちもいた」
「四キンナラ王も、幾千万億の従者キンナラたちもいた」と、
「その座にいた」ものが、途方もない数に増えていきます。
霊鷲山は、いったいどれだけ広いのだ?
千万億とは、何人のことなのだ?
その超超大観衆を前に、お釈迦さまは瞑想に入ります。
「世尊が瞑想に入るや否や、マーンダーラヴァ花、
マハーマーンダーラヴァ花、マンジューシャカ花、
マハーマンジューシャカ花など天上の花の大雨が降り注ぎ」ます。
と思ったら、今度はなんと大地震です!
「仏国土の全土は6種に地震を起こして、上下四方に動揺し、
激しく振動した」。
と思ったら、今度はレーザー光線です!
「そのとき、世尊は両眉の間にある百豪の間から、一条の光を放った。
その光は、東方に於いて、1万8千の仏国土に広がった」
「すべての国土は、一瞬の間に、金色に輝きわたった」
お布施もキンキンラキンで過剰です。
「ある者たちは、財貨・黄金・銀・金貨、さらには真珠と宝玉を贈り、
また、螺貝・水晶・珊瑚、また男女の奴隷、馬・羊を贈る」
「ある人々は、欄干があって花のどうばんで飾られた4頭立ての車を贈り、
(中略)ある人々は、自分の息子や娘たちを、愛する妻・自身の肉さえも贈る。
(中略)請われるままに、手と足さえも贈る。」
そこに、巨大な七宝づくりの仏塔が出現し、
飾られた幾千万の鈴が風に鳴り、花と香りと音楽のなかに、
無数億万の人間・神・菩薩らが集います。
以上のような描写が、『法華経』の冒頭で矢継ぎ早に出てくるのです。
最後の最後ならわかりますが、いきなりクライマックスです。
仏経とは、普通、ありがたくてしみじみするもの、
というイメージで読み始めますよね?
ところが、お寺を山門を入ると、いきなり中で
リオのカーニバルをやっていたような、このインパクト。
大乗仏典でも、「般若経」とは大違いです。
なぜいきなり大団円なのか? 続きは近いうちに。
日蓮宗霊場「能勢妙見山」(大阪)の礼拝堂。