NH通信 -日々漸新-

騒音問題総合研究所代表 橋本典久のブログです。
ホームページは、http://nh-noiselabo.comです。


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 東京の教育雑誌社からインタビューの依頼が入り、たまたま別件で筑波へ出かける用事もあったので、これらを併せて東京へ出張することとした。インタビューと筑波での仕事は一日で終わる予定で、翌日はそのまま八戸に戻るつもりであったが、ふと思い出した事案があり、東京地裁で近隣騒音訴訟の資料調査も追加することとし、電話で裁判資料の有無を東京地裁の資料室へ確認した。民事裁判の裁判資料は、所管の裁判所に判決後5年間保存されることになっているが、東京の場合には、裁判資料が別の保管場所にあるため、資料閲覧するためには事前に資料係に連絡して、東京地裁の資料室に持ってきてもらう必要がある。そのための電話であったが、訴訟番号を告げると、意外にもその裁判はまだ継続中とのことだった。まさかそんなことはないと思っていたため大変に驚いたが、これをきっかけに騒音トラブル裁判の訴訟期間はどれくらいかを調べてみることにした。

 

 民事裁判の訴訟期間については、インターネットの弁護士事務所サイトに情報が載っていた。民事裁判の平均審理期間は、過払い金請求事件(これは短い)を除けば9.2か月とのことである。意外と短いという印象であるが、実際は、訴訟期間については年々長期化の傾向にあるとのことだ。理由は、紛争が複雑化し、弁護士などの専門家が介入しないと解決が難しい事案が増えて来ているためだそうだ。事案の種類別に訴訟期間を見ると、一番短いのは交通事故関係の訴訟で平均12.2カ月であり、それ以外では労働関係の訴訟が平均14.3カ月、知的財産権訴訟が15.0カ月、建築関係訴訟が17.8カ月、医療関係訴訟が平均23.3カ月だそうだ。これらの傾向を見れば分かるように、専門性が高い訴訟ほど審理期間が長くなる傾向があり、医療関係訴訟では、交通事故関係の約2倍の訴訟期間がかかっている。これはやはり、専門的内容の立証が難しいことによるものと考えられる。

 

 では、騒音問題の裁判はどうであろうか。弊所・騒音問題総合研究所のホームページにはダウンロードのコーナーがあるが、その中には「裁判資料に基づく騒音トラブル事例集」というのがあり、民事訴訟に関しては7件の詳細解説が載っている。それらの事案の訴訟期間を見ると、まず私立高校エアコン騒音訴訟が2年7か月(31か月)、子ども活動センター騒音訴訟が2年8か月(32か月)、スポーツセンター騒音訴訟が3年6か月(42か月)と何れもかなり長い。一番短かったのが銭湯ボイラー騒音訴訟で1年1か月(13か月)であり、マンションの床衝撃音関連訴訟3件に関しては、各々、1年10か月(22か月)、1年11か月(23か月)、33か月(39か月)であった。

 

 概して言えば、騒音トラブル関係の訴訟期間は、平均すれば上記の医療関係訴訟より長くなるであろう。その理由としては2つが考えられ、一つは騒音に関する専門性の問題、もう一つは受忍限度の問題ではないかと思っている。まず一つ目の騒音の専門性の問題であるが、騒音の専門知識を十分に持ち合わせた原告や被告、あるいはその代理人というのはかなり少ないと思われる。一部には騒音訴訟に実績のある弁護士の先生もいらっしゃるが、多くは、訴訟依頼を受けて初めて、その分野の騒音問題に関して勉強するというのが現実ではないかと思う。同じ騒音問題でも、公害騒音関係と近隣騒音関係ではかなり様相が異なるし、マンションの床衝撃音に関しては単なるデシベルでの評価ではないため、その専門的理解も大変である。一例であるが、以前に判決のあった保育園の子どもの声の騒音訴訟でも、発生している子どもの声の騒音は環境基準の基準値を下回っているため違法とはいえないという判決が下されたが、原告側がその判決文の意味を理解できなかったということもあった。子どもの声の大きさの測定結果は殆ど環境基準値の55デシベルを超えるものであったが、裁判長は昼間の時間帯の基準値55デシベルを下回ると判示したのである。実は、環境基準の昼間の時間帯とは、朝6時から夜22時までの16時間としている。子どもたちが園庭で遊んでいるのは日中の精々3時間ほどであるが、それを16時間で均すと55デシベルを下回るということであるが、よほど騒音に知識のある人でない限り、このようなことまで理解できないであろう。理解が出来ていなければ訴訟対策も困難であろうし、訴訟期間もどうしても長くなってしまうであろう。また、騒音の評価基準は環境基準に限ったものではなく、騒音規制法や環境条例、労働衛生や医学的な基準もあり、基準値や規制値に関しても、等価騒音レベルや時間率騒音レベル、NC値、その他の評価値などもあり複雑である。訴訟期間が長引いても仕方のない所ではある。

 

 もう一つが、受忍限度の問題である。騒音の大きさが規制値を超えているかどうかを判定するだけなら、比較的に判断は容易であろうが、騒音の違法性を争う訴訟では、単に規制値を超えているかどうかではなく、その騒音が受忍限度を超えているかどうかが最終的な判断基準となる。上記で示した騒音の大きさに関する事実も、その評価材料の一つに過ぎない。受忍限度というのは、最高裁判所の判例に基づいた定義が示されてはいるもの、その実態は極めてあいまいであり、結局、個別の事案ごとに様々検討して評価する必要がある。このため原告被告双方の主張や立証活動が入り乱れて、結局、訴訟期間が長期化する傾向にあると思われる。

 

 近隣騒音訴訟は、このように長期化する必然性を含んだ訴訟であるといえる。公害騒音のように物理的な問題として評価できるものならまだしも、近隣騒音は人間と密接に関係するものだけに厄介である。これを裁判で争えば、手続きの厳密さが加わり更に厄介なものとなる。近隣騒音問題は、このような訴訟期間のチェックからも、代替的な解決法が必要であると痛感する。ちなみに、冒頭で示した訴訟は、東京都内の保育園に対する騒音訴訟であるが、提訴は平成248月であり、現在(平成2911月)まで既に53か月(63か月)が経過している。裁判当事者の負担は如何ばかりであろうかと嘆息される。これほど長期化している理由は、現在は不明であるが、今後の騒音トラブルの対処に関しても重要な事例になると考えられるので、引き続き調査していく予定である。

 

 

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 マンション選びの3Pとは、プラン(間取り)・プレイス(場所)・プライス(価格)を指すとのことだそうです。こちらの不動産関係は専門ではありませんが、専門の方のマンショントラブルの3Pとは、ペット・パースン・パーキングです。最近は特に、真ん中のパースン、すなわち人間関係のトラブルが増加しており、かつ深刻です。最も多いトラブルは、子どもの走り回りなどにより上階から響く音、すなわち上階音(学会用語では床衝撃音と呼んでいます)に関する上下階での争いです。上階音の対策については、以前のブログ「上階音についての大きな誤解」で物理的な内容の説明をしましたが、今回は、もっと入り口の話、マンション選びのチェックポイントについて説明したいと思います。

 

 これまで上下階の争いについては沢山、調査や取材をしてきました。その中の幾つかは、筆者のホームページのダウンロードのコーナーにある「裁判資料に基づく騒音トラブルの詳細事例集」に紹介してあります。その他、拙著の「近所がうるさい! 騒音トラブルの恐怖」(ベスト新書)や「2階で子どもを走らせるな! 騒音トラブルは「感情公害」」(光文社新書)などにも多くの事例が紹介されています。最近も、下の階からの苦情に苛まれている2児のお母さんから騒音問題総合研究所の方に相談が寄せられ、涙ながらに苦しい胸の内を話されていました。このような状態になる前に、少しでも役に立てばということで、これまでの経験を基に、騒音トラブルから見た、子どものいる家庭のマンション選びのチェックポイントについて書いておきたいと思います。

 

① 子どものいる家庭は、できれば1階の部屋を選ぶ。

 これは説明は不要でしょう。マンションの騒音トラブルでは、上階音のトラブルが圧倒的に多いということを考えれば、そのトラブル防止を優先的に考えることが必要です。また、子どもが遠慮なしに思いっきり走り回れるということは、マンション暮らしでは貴重なポイントとも言えます。是非、考えてください。とはいえ、そうもいかない場合も多いでしょうから、その場合は以下の点をチェックして下さい。

 

② 下の階が、同じような子どものいる家庭である部屋を選ぶ。

 マンション購入の場合には、念入りに下見も行うことでしょう。賃貸住宅に入居する場合も下見が欠かせませんが、特に、下の階の住人がどんな家族構成かを管理人や管理会社に確認しておくことが必要です。下の階の住人が、同じような年頃の子どもがいる家庭の場合は、上階からの音に対して寛容です。何より、最初に転居の挨拶に行った時から良好な近隣関係を作りやすく、同じ小学校に通っている場合などでは、様々なつながりもできてトラブルが発生しにくくなります。友人関係まで発展させることができれば、まず、トラブルになることはありません。最近の騒音トラブルは、音そのものより人間関係が原因となっているものが殆どだと言っても過言ではありませんから。

 

③ 男女を問わず、下の階が一人暮らしの場合は要注意。

 これまでの上階音トラブルの調査や相談では、下の階の住人が一人暮らしという事例はかなり多く、トラブルになりやすい状況だといえます。一人暮らしでは、外部からの音に注意が向きやすく、また、対人意識も厳しくなりがちです。以前、東北大震災の仮設住宅で近隣騒音に関する調査研究を行った時も、一人暮らしの方の方が隣近所の音をうるさく感じるという明確な結果がでました。もちろん、人それぞれですから、一概に一人暮らしは苦情が出やすいというつもりはさらさらありませんが、チェックポイントの一つとして考えておくことに越したことはありません。

 

④ 数か月、空室になっていた部屋は要注意。

 これもトラブルになりやすい状況です。上階の住人が引越しをしていなくなれば、当然、上階からの音もなくなり、それほどうるさく感じていなかった場合でも、やはり静かさを謳歌することになります。そんな状況が数か月続き、その状態に慣れてしまった後に上階に新しい家族が入居してくると、今まで以上に上階からの音が気になります。また出て行ってくれれば静かになるのにという思いが、いつしか相手をなんとか出て行かせたいという思いに変わることもあります。これまでの事例でも、明らかに上階の住民を追い出したくて苦情を言ったり、嫌がらせを行うということも度々ありました。全くの身勝手ですが、それが現状です。

 

⑤ 下の階が分譲で、上階が賃貸の部屋に入居する場合も要注意。

 このパターンもトラブルになりやすい組み合わせです。これも上の理由とほぼ同じですが、分譲の住居に住む人は、賃貸の人はいずれ出てゆく人という意識を持っています。自分たちはここを終の棲家とするつもりで入居しているという妙な権利意識も持っています。そんな考えを持っていると、普通は我慢できる小さな音でも気になってしょうがないという状況になりやすいものです。上階が、数か月空室になっていた場合などは殊更で、時間が経ってしまったおかげで、以前の住人の時にはこんなにうるさくなかったとまで考えるようになり、次第に上階に対する怒りが醸成されてくることになります。

 

⑥ 賃貸のマンションに入居する場合でも、事前に床の厚みは確認する。

 最後に、物理的な話もしておきましょう。分譲マンション購入時には、床や壁の厚みやその他の性能について十分にチェックすることでしょう。賃貸住宅に入居する時でも、最低でも床の厚みだけは確認してください。最近のマンションは床の厚みが25cmぐらいありますから、その分、下の階に音は響きにくく、時間帯などに注意して生活すればそれほど苦情を言われることはありません。築20年程の古いマンションでは、床の厚みが15cmぐらいしかない物件が多いですから、この場合には、注意して生活していても苦情がでる可能性はかなり高くなります。まず、自分の入居しようとしている建物がどの程度の性能があるかを知り、それと自分たちの生活状況、下の階の居住者の情報も考慮して、安心安全に生活できそうかどうかをチェックして下さい。

 

 上階音の問題に関しても、良好な人間関係を作ることが一番のトラブル防止になることは言うまでもありません。しかし、そのような関係構築がもともと難しい人がいることも事実です。人の性格は外からでは分かりませんから、安易な期待はしないことです。途中から態度が急変するような状況も多々見られます。一旦トラブルに巻き込まれたときの日々の精神的負担は大変に大きなものであることに想像力を働かせ、くれぐれも事前に十分なチェックを行うことをお薦めします。

 

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 出張で投稿が1日遅れてしまいましたが、北欧自転車ツーリング報告の続きです。ヘルシンキの2日目と4日目は、市内観光と近郊ツーリングを楽しみました。観光案内書にある様々な所を自転車で回りましたが、印象に残ったのは2つだけでした。一つは、テンペリアウキオ教会で、これは岩盤をくりぬいて作られた教会です。街のど真ん中に巨大な岩の塊があり、そこを上からくりぬいてガラスの屋根をかけて教会にしたものです。岩肌がむき出しになった壁と上部に円形に広がる採光のためのガラス天井のコントラストが印象的であり、手を叩いて試してみましたが、音の響きも過剰ではなく音響効果もよさそうでした。思い出しましたが、昔、日本でもバブルのころに神戸の六甲山の岩盤をくりぬいて、内部にコンサートホールを作るという計画がありました。バブルがはじけて、この途方もない計画はさすがに実現しませんでしたが、ヘルシンキでは実際に実現しているのに驚かされました。

 

 もう一つは、中央駅の近くにあるフィンランディアホールです。これは、フィンランドの世界的に有名な建築家、アルバー・アールトの設計によるコンサートホール兼会議場です。50年ほど前にこれだけモダンな設計がされていたことに驚きましたが、現地では、アールトは大変に有名みたいで、丁度旅行中にアテネウム美術館でアールト展をやっていましたし、郊外のエスポーにはアールトの設計した大学建築が連なるアールト大学もありました。アールト大学見学中に、丁度、日本の建築家風のご夫婦に出会い、自転車で北欧を回っていると話したら大変に感心してくれました。

 

 他にもヘルシンキ大聖堂を始めとして観光名所は色々ありますが、取り立てて感心するところはありませんでした。街中の観光地よりは、郊外をツーリングした時の景色の良さと、整備された自転車道の方が印象的でした。郊外はほぼ自転車専用道路が車道に沿って併設されており、大変に走りやすく、起伏もそれほどではないため自転車ツーリングには最適でした。ヘルシンキの市内は至る所で道路端の工事をしており、それだけでも走りづらかったのですが、後で気が付いたのですが、その工事の殆どは自転車道を新設するためのものでしたから、数年後には、ヘルシンキの街中の殆どに自転車道が整備されることになるでしょう。快適に整備されたその時期にもう一度来てみたいものだと思いました。

 

 ヘルシンキ滞在の3日目は、エストニアのタリンへの1泊旅行に出かけることにしました。早朝、クラリオンホテルから500mほど南に下ると、フェリー会社タリンク・シリアラインのターミナルがありました。電光掲示板には夕方の便のフェリー案内が一つあるだけで、タリン行きの案内がありません。カウンターも全て閉まっていたので、仕方なく、カウンターのガラスをドンドンと叩いたところ、ようやくおばさんがガラス扉を開いてくれました。タリン行きの切符を買いたいというと、もう一つ先に新しいターミナルがあるのでそこへ行けと不機嫌そうな表情で言われました。自転車でまた少し走ると、先ほどの古いターミナルとは打って変わって、新しい巨大なターミナルの建物が見えてきました。こちらのターミナル2の方に殆どが移っていたのですが、旅行案内には何も書いてなかったので、危うく間違うところでした。

 

 カウンターで乗船券と自転車券を申し込むと、予約シートを発券してくれました。自転車は自動車と同じチェックイン場所から乗るように言われ、自動車がずらりと列を作る場所に移動しました。チェックインポイントで、予約のシートとパスポートを見せると乗船チケットを発行してくれましたが、その後が大変でした。乗り込みが開始されるまでの間、生憎の雨と風の中、雨除けもない所でずぶぬれになり、雨具はつけていたものの寒さに震えながら30分以上待たされました。幸いに、自転車は自動車に先立って最初にフェリーに乗せてくれたので、船内では一番快適な場所をゆっくりと確保できました。こちらのフェリーは大型で、日本のフェリーとは全く違って、立派なレストランが3つぐらいあり、スーパーマーケット(酒類の販売がメイン)やダンスホールまでありました。ゆっくりとワインなどを飲みながら2時間ほど過ごすと、フェリーはエストニアの首都、タリンに到着しました。エストニアもシェンゲン条約加盟国ですので、パスポートチェックも無くそのまま上陸することができます。

 

 フェリー乗り場からタリンの旧市街までは1kmぐらいしかなく、殆どの人は歩いて旧市街へ向かいます。自転車では数分で旧市街入り口の海洋博物館のある門へ到着しますが、そこから中の道路はすべて石畳で、それも凹凸のある細かな石畳だったため、殆ど歩くようにして中央部に進んでいきました。タリンの旧市街は、街全体が世界遺産(タリン歴史地区)に登録されていて非常に美しく、まるでタイムスリップしたような中世の街並みや広場が広がっていました。規模はさほど大きくなく、一日で歩いて回れるぐらいですが、城壁で囲まれたその中の景色の統一感と美しさは、これまで世界の多くの街並みを見てきましたが、間違いなく3本の指に入るものでした。城壁の外へ一歩出ると、夢からさめたような普通のヨーロッパの都市の景色であり、そのギャップも面白いと思いました。久々に、街の中心の広場に向かう道でわくわくした気分を味わいました。

 

 タリンでの宿泊は、市庁舎広場の近くのバロンズホテル・タリンというホテルに泊まりましたが、そこもクラシカルな雰囲気に溢れ、特に、昔の映画に出てくるような手動で開け閉めする古いエレベータがあり、いかにもタリンの街に宿泊しているという印象を強くするものでした。食事に入ったレストランも、スタッフが男女とも皆な民族衣装を着てサービスをしており、街の観光方針として中世へのタイムスリップ感を演出する形で運営されているように感じて好感を持ちました。

 

 タリンの2日目は、フェリーの出発時間まで近くのシープレイン・ハーバーという海洋博物館を見学しましたが、潜水艦などが展示されていますが、その演出、特に光の演出が巧みで、十分に楽しむことができました。帰りのフェリーはガラガラで、雨が降ることもなく順調に乗船することができ、船旅を楽しみながらヘルシンキに戻ってきました。ヘルシンキに旅行するなら、タリンは絶対に外せないスポットだと強調しておきたいと思います。

 

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北欧1か月自転車ツーリングの続きを書こうと思っていましたが、インターネットを検索していたら、保育園問題に関してこんな面白い提案()があったので、こちらを優先することにしました。この問題を解決するために、いろんな人が様々な提案をすることは大変重要だとは思っていますが、さすがにこれって、住民の方を馬鹿にしすぎではないでしょうか。そんな風に感じるのは、私だけなんでしょうか。以下、引用です。

 

『保育園を円滑に建設するための一私案 --- 荘司 雅彦

 

9/16() 7:20配信 アゴラ

 

昨今、保育園建設が候補地周辺住民の反対で頓挫しているケースが多いようです。

いかな子供の声であっても、周辺に住む人たちにとっては静謐さが害されるので、反対する気持ちも理解できます。猛反対を押し切って建設すると、開園後様々なクレームが寄せられたり嫌がらせを受ける恐れもあります。

 

そこで、ひとつの私案として、保育園を円滑に開園する方法を考えてみました。

 

まず、近隣騒音というのは極めて主観的な問題であるという事前認識が必要です。

ずいぶん昔、私がとある行政委員をやっていた時、バスの発車の音がうるさいと怒った老人が竹刀か木刀でバスの出発を妨害するという案件を担当しましたことがあります。

 

その老人の言い分は、バスが発車する度にクラクションを鳴らすので静謐が害される。

 趣味の読書もはかどらずノイローゼ気味になっている。バス停を移動させるかクラクションを止めるかして欲しいというものでした。バス会社は、バス停を移動させることは公共交通機関として不可能だし、クラクションは安全のために欠かせないものなので、いずれの要求も受け入れられないと主張し、斡旋・調停は不調に終わりました。

 

 現場を見ると、老人宅はバス停の近くとはいえ道路から距離と高低差があり(自宅の方が高くなっています)、客観的には受忍限度を超えた騒音被害があるとは思えません。

 

しかし、バス会社に抗議をし、敵対しているうちにクラクションの音が気になって仕方がなくなったものだと推測しました。集合住宅でのピアノ騒音事件がありましたが、あれも自分の目に入れても痛くない程かわいがっている孫が弾いていたのであれば、全く同じ音でも楽しく聞こえたはずです。

 

このように騒音というのは極めて主観的なもので受け止め方によって全く異なるという事実を前提に、保育園建設のやり方の私案を述べていきます。

 

まず周辺住民の中から複数の協力者を探し出します。23人でも構いません。この人たちを中心に、保育園建設の協力者の輪を広げていってもらいましょう。協力者が見つからなければ、周辺住民宅を直接戸別訪問して次の事項を伝えます。

 

 保育園建設に同意してくれた方々全員に、役場認定の「名誉園長」の称号を与えて感謝状を贈ります。

そして、(これが肝ですが)建設された保育園の中に素晴らしいデザインでできた「感謝の碑(名称は適宜)」を建て、同意者の方々のお名前を彫り込むことにするのです。

 

 開園後に同意者になってくれた方や余分な協力をしてくれた方がいた場合は、その都度名前プレートを碑の別のスペースに設置することにします。建設に同意するだけで、保育園内の「感謝の碑」に永久に自分の名前が刻まれ、追加協力に対してはさらに名前が残されるという仕組みです。役場認定の名誉園長の肩書きは漏れなく付与されます。

 

 子供だましだと思うかもしれません。しかし、自分の名前刻まれた碑が園内に永久に残ると思えば、同意者や協力者が増えることは間違いありません。米国の富豪の中に、自分の名前を残すために巨額の寄付を大学や博物館にする人たちが多いことに鑑みれば、その効果は決して侮れないと考えます。

 

 記念碑に要する費用はたいしたことはありません。頑丈で美しいデザインのものをつくれば、周辺住民の誇りの象徴にもなるでしょう。自分の名前が刻まれた碑の周りで遊ぶ子供たちの声は、きっと心地よく響くのではないでしょうか?

 

ダメで元々、どこかの自治体で試してみてくれませんかね~。

 

編集部より:このブログは弁護士、荘司雅彦氏のブログ「荘司雅彦の最終弁論」2017914日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は荘司氏のブログ(http://ameblo.jp/masahiko-shoji/)をご覧ください。

 

荘司 雅彦』

 

やはり保育園問題は社会的に大きな問題なんですね。改めて、実感しました。

 

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 これまで毎年、8月には夫婦で海外自転車ツーリングに出かけてきましたが、その殆どが10日前後の行程でした。それでも十分に海外自転車ツーリングの醍醐味は味わえましたが、今年はその3倍、7月末から約1カ月にわたるツーリングに出かけてきました。場所は北欧です。ただ、デンマークは以前にアパートを借りて2週間くらい暮らしたことがあり、ノルウエーはフィヨルドに代表されるように高低差の激しいコースになりそうな懸念があったため、結局、フィンランドとスエーデンの2か国に限定しました。また、1か月と言ということで、毎日毎日自転車だけ漕いでいるのはさすがにもったいないので、今回は主に、街歩きツーリングと近郊ツーリングを中心にした計画を立てました。これから何回になるか分かりませんが、今後、北欧を自転車で旅する人の参考になるように、旅行の詳細を報告してゆきたいと思います。

 

入国先はフィンランドのヘルシンキにしました。成田からの飛行時間は約9時間半と、他のヨーロッパの都市に行くよりも遥かに短く、実際にも、殆ど長時間の搭乗という印象はありませんでした。航空券はかなり早くに手配を済ませ、細かなことは何も決めず、取り敢えず1か月ということで、出発の日と帰国の日だけを決めて予約を行いました。この時に、自転車を持参することを航空会社に伝え、大きさや梱包の条件などを確認しました。どこの航空会社も、重さ32kgまで、大きさは3辺合計で250cm以内ぐらいまではOKなのですが、別途に料金が掛かるところと掛からない航空会社があり、フィンランド航空(フィンエアー)の場合には片道75ユーロが請求されました。往復で一人2万円以上になるので、格安航空券を利用している人間にとっては大きな出費となりますが、これはどうにも仕方ありません。

 

梱包の条件は、タイヤの空気を抜き、ペダル等を外し、ハードケースに収納するというものです。ハードケースはプラダン(プラスチック製段ボール)を使った自作の収納箱であり、寸法は3辺合計で204cmですが、空港到着後には更に折りたたんで小さくして手荷物預かりに預けられるようになっています。海外自転車ツーリングのために考えた自信作で、もう5年以上も使っていますが、未だに問題なく使えています。また、ペダルも工具無しでワンタッチで外せるものにしています。問題は収納箱の預け先ですが、ヘルシンキのバンター空港の場合には、地下1階に「Airpro Travel Service 24h」 というカウンターがあり、そこで13ユーロで預かってくれます。コインロッカーもありますが、こちらは預け期間が最大1週間となっているので今回は使えませんでした。ヨーロッパの空港は大体手荷物預かりはありますが、無い場合や事前に確認ができない場合には、到着時のホテルと帰国前のホテルの宿泊を同じホテルにしておき、ホテルに頼んで預かってもらうようにしています。これは絶対に断られないので安心です。

 

 空港に到着後は、常に空港内または直近のホテルに泊まり、そこで自転車の組み立てをすることにしています。以前は、空港で組み立てて市内まで走りホテルに宿泊をしたこともありますが、組み立て時間や手荷物預かり場所探しで時間的に厳しくなる場合が多かったため、最近は、空港直近のホテルに入ってゆっくり自転車の準備をするようにしています。今回は、空港横にあるヒルトン・エアポートというホテルに宿泊しました。ホテルまでは収納箱のまま部屋に持ち込みますが、ヨーロッパのホテルは大抵、自転車をそのまま部屋に持ち込むことができます。以前は、安全のために夜はホテルのラゲッジルームなどに入れてもらっていましたが、最近は、殆どそのままエレベーターに乗せて部屋に持ち込みます。ホテルの人も特に何も言いません。何せ、犬を自由に部屋の中に連れて入るのが当たり前の社会ですから、自転車を部屋に入れることは何の問題もありません。

 

 翌日は、朝目覚めると何と雨。それもかなりの雨脚で仕方なく収まるのを待って、11時頃にホテルを出発しました。その後の経験で理解したことですが、フィンランドの夏は天気の変化が大変に激しく、晴れていると思うと俄かに雨になったり、土砂降りになっていても30分もすればすっかり晴れ上がるということが繰り返されました。その経験から、雨でもあせらずに少し待っていれば、間違いなく走行することが出来ました。ちなみに、それが理由かどうかは分かりませんが、フィンランドの人は少々の雨では傘を差さずに歩いている人が殆どでした。最初はすごく違和感を覚えましたが、これも土地柄と感心した次第です。

 

 空港からヘルシンキの市内までは20km程ありましたが、Google地図で調べておいた経路に沿って走ってゆくと、どこも自転車道が整備され、公園の中や住宅地の中を走ってゆく景色の良いツーリングコースで、少々雨も混じっていましたが、快適に走りながら街中に着くことが出来ました。いつものことですが、Google地図の自転車コース探索は本当に素晴らしいといつも感心させられます。特に、川を渡る橋の場所や高速道路を横切る通路などは、自分で地図を調べているだけではとても見つけられませんが、Google地図では簡単に表示されます。これまで、経路で間違ったことはほぼありませんでした。

 

市内到着は、丁度、お昼ごろになったので、経路途中にあった「北海道のすし」という店で昼食をとることにしましたが、何とここのお店がおいしいのにビックリしました。基本は、お寿司の食べ放題の店ですが、サイドメニューもたくさんあり、どれもこれも日本の店と変わらないほどのレベルの料理でした。昨年のイギリス旅行では、とても食べられない寿司に遭遇しましたが、フィンランドの日本料理は何処もほぼ合格点でした。

 

 ヘルシンキ市内の最初の宿は、西側の港湾付近にあるクラリオン・ホテルに宿泊しました。エストニアにエクスカーションする予定があったためにフェリー乗り場に近いというだけで選んだホテルでしたが、あまり期待していなかったせいか、このホテルには大変感心しました。まだ建設されたばかりだったので、現代的な洗練された設計に十分満足し、ゆったりと過ごすことが出来ました。床から天井までの縦に広い窓からはウエストハーバーの景色が広がり、景色を眺めながらウイスキーを飲んでいるだけで十分に海外旅行を満喫できる気持ちになりました。

 

おっと、ここまででまだ2日目ですが、これから30日の報告が続きます。何卒、うんざりせずにお付き合いの程、お願い致します。

 

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 学校からの騒音問題は、年々深刻になってきています。今年の6月には、大阪大学大学院・小野田正利教授の『「迷惑施設」としての学校 -近隣トラブル解決の処方箋-』(時事通信社)という書籍も出版されましたが、迷惑施設としての学校を取り巻く多くの事例がウイットに富んだ文体で紹介されており、対応のポイントも整理されているため、学校関係者には大いに役立つものと考えられ、是非一読をお薦めしたいと思います。迷惑施設という刺激的な言葉を用いていますが、一般の人はもうこの言葉に違和感を覚えないのではないでしょうか。私はこれまで、学校に関しては騒音発生施設という言葉を使い、敢えて迷惑施設という言葉は避けてきましたが、もうその区別も必要ないような状況を迎えているのでしょう。

 

 そのような中で、大変に興味深い取り組みの話を聞くことが出来ました。きっかけは、1本の電話でした。私の研究所に掛かって来たその電話の主は、長野県の松本深志高校の教諭の方で、自校の生徒の取り組みに関して映像化を考えているので、その中で私への取材映像を織り込みたいとの依頼でした。話を聞いてみると、高校の生徒たちが自発的に、学校からの騒音に関して近隣との意見交換会を立ち上げたということでした。そのことに関するコメントをお願いしたいということでしたが、詳しい内容は以下の添付ファイルを参考にして下さいとのことでした。以下は、その先生が記した内容です。

 

『母校である松本深志高校で教鞭をとるようになり7年、1年中締め切られている体育館の東側の窓、6時以降音が出せないジャズバンドとギター部、夏でも窓を閉め汗だくなって練習する吹奏楽部、太鼓にタオルを巻き付けて消音する応援団の練習等々に驚いた。  幼児の声がうるさいと幼稚園の開設に反対する事例は遠く対岸の話しではない。最近、地域は 高校生の活動全般に不寛容だ。それは、旧制中学ゆずりのバンカラな本校に限ったことではない。松本市内の高校では、近隣町会が「打ち上げ花火中止誓願要請」を決議し、文化祭時の打ち上げ花火を中止に追いやったり、近隣の苦情で、音楽系部活動の発表会場(視聴覚室)の全ての窓に消音のための厚いベニヤをはめ込んだ。しかし、限界を感じた本校生徒はこのような方策ではなく、先輩の弁護士に解決策を相談した。

「学校の近くに住んだのだから、我慢しろとは言えないね」、そう語る弁護士から判例や各地の実践を聞き、彼らは「地域との懇談会」を開く決意をした。生徒自治を認めている松本深志高校だが、この提案に管理職は、懇談会開催で苦情を寄せる住民が地域から疎外されないか、参加者なし、または応援する人だけ参加の意味のない懇談会にならないか、あらゆる苦情が噴出し収集不能にならないか等の懸念を示した。それに対し彼らは、「音問題」に限定して実施し、関係団体全てから代表を選出した実行委員会を組織することを提案。現状調査を主眼とした学校が全面に出ない非公式かつトライアルな会 とすることで管理職と合意し「学校から出る音に関する意見交換会」の実践が始まった。

 実行委員長は、まず本校に隣接する5町会長ヘ回覧板を通じた400世帯へのチラシ配布と町会長自身の参加を打診した。4町会長が出席を快諾。さらに近140軒へは、20人の実行委員が手分けして直接訪問し、チラシ配布、意図説明、状況調査を実施。開催した2回の意見交換会を通じて、詳細なアンケート調査、報告書配布を含む、計5回直接訪問した。

「学校と音について意見交換会」は、第1回 2016年11月と第2回 2017年3月の2回開催された。予想通り、意見交換会への住民参加は町会長と数名の肯定的立場の皆さんだけだった。しかし、5回の直接訪問が双方の関係を一段高めた。訪問時の叱咤激励は生徒の近隣に対する意識を深め、 意見交換会開催と町内の声に手応えを得た4地区の町会長は、生徒を含めた常設の「三者協議会 (仮称)」設置を提案した。少数で固定化された苦情は直ぐに和らぐことはなかったが、「音は、双方の関係で感じ方が変わる」と信じ進めてきた5ヶ月、直接対話で伝わった「本気度」と「当事者性」が、地域と学校との関係を確かに編み変えていった。』

 

 これ以外に、高校生たちがこれまでの活動結果を取りまとめた『「学校と音について意見交換会」報告書』というものを送って頂いたが、全12ページに織り込まれたこれまでの実践内容と生徒の問題意識の高さに感心させられました。その中に近隣住民との意見交換会で議論となったテーマについての記述がありました。吹奏楽部の屋外での音出しに関しての意見交換です。吹奏楽部が今まで自粛していた屋外での音出しを再開するため、練習室の外、図書館横、中庭の3箇所で音を出し、音の大きさや響き方を会議に参加した地域の方に確認してもらった上で、様々意見をもらったというものです。これらの意見交換を基に、吹奏楽部で4月下旬から屋外での練習を再開したとのことでした。

 

更に続く内容には以下のことが書かれていました。「(吹奏楽部の屋外での音出しについて)一定期間をおいてから地域の皆さんにご意見をうかがい、更に続けるか否かを考えたい。吹奏楽部の実地実験についてのご意見から、音の大きさそのものよりも、音が気になるかどうかという意識の問題ではないか(と思った)」。

 

 私が以前から用いている煩音(ハンオン)という言葉の意味や、近隣トラブルの解決策として以前から慫慂している日本版NJCの考え方が、そのまま、この高校生たちの活動や感じ方に反映されていることには正直驚かされました。また冷静に、「クレームを寄せる方には働きかけをしても効果が薄い。学校批判や教師批判または、 学校不信、教師不信の延長上で意見を言っているように感じた」とも述べています。実践的な活動を行っているゆえに感じられる分析だろうと思いますが、この難しい問題に対して今度はどんな解決策を模索するのか、大変に興味の湧くところです。

 

その後、毎日新聞の長野支局から電話がありました。松本深志高校が、このような取り組みを行っているのですが、どのように思いますかという取材でしたが、それについては学校の先生から相談を受けて先刻承知していましたというと、少し驚いていました。もちろん、素晴らしい取り組みであり、何より、生徒自体が自主的に考えて行動していることはこれまでにない事例であるとコメントしておきました。その後の連絡では、これに関する記事が7月31日の毎日新聞全国版「教育の窓」のコーナーに掲載されるとのことでした。どのように紹介されるのか、私自身も楽しみにしている所です。

 

 学校問題というのは、近隣住民と学校教員の間の問題とばかり考えてきましたが、そこに生徒が入ってくることには大変に重要な意味があります。まず、騒音の発生源は学校ではなく生徒です。その生徒たちが近隣との共生を意識することは、騒音問題だけに限らず、教育的な観点からも有意義なことだと言えます。更には、協議における生徒たちの役割です。松本深志高校の事例では、近隣住民側が常設の「三者協議会 (近隣住民、学校、生徒の三者)」設置を提案したとのことですが、近隣住民と学校だけでは対立の構図が崩れないと感じていたのかもしれません。その中で、生徒が両者の調停者的な働きを齎す存在になれれば、これはもう日本版NJCの調停システムそのものじゃないかと思いました。騒音苦情や騒音事件の報道ばかりの中、久しぶりに何となく嬉しくなるような話題でした。

 

(お知らせ:都合によりこのブログは暫くの間、お休みです)

 

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 ヤミ民泊で、宿泊中の韓国女性がホストの男性に乱暴されるという事件が起こった。起こるべくして起きた事件という印象があるが、ヤミ民泊を厳しく取り締まらなければ、今後もこのような事件が発生してくることは間違いない。また、盗撮事件も発生しているようであり、放置すれば深刻な問題となる。幸いにも、このようなヤミ民泊の横行を防止するため住宅宿泊事業法(民泊新法)が新たに作られ、来春から施行されることになっているが、この法律の趣旨は、今まで特区だけで認められていた民泊を、外国人観光客の増加に対応するため全国に広げようというものであるため、ヤミ民泊の取り締まりにどれだけ効果が期待できるかは疑問である。

 

 民泊新法に基づいて民泊を始める場合は都道府県知事に届け出が必要であり、それに伴い旅館業法によるチェックが行われることになる。私も八戸市旅館等審議会の会長を4期8年ほど務めたが、当時は、八戸に新幹線が開通した頃であったため続々とホテルなどが建設され、毎月のように審議委員会が開催されるような状況であった。旅館業法に関しては、各自治体が決めている構造設備基準というものがあり、新規建設予定のホテル等がこの条件を満たしているか審議するのが仕事であった。この審議会の設置目的は、隠れラブホテルをチェックするためのものであったが、微に入り細に入ってその可能性を構造設備基準をもとにチェックする形となっており、事業者の方もそれに対応するため、結構大変であったろうと思う。民泊の場合は簡易宿泊事業になるため、旅館やホテルほどは厳格ではないと思われるが、それでも手続き的にはかなり面倒なものになると思われる。これを嫌ってヤミ民泊に走る人もいるはずであるから、これらに対する積極的な取り締まりが行われることを期待したいが、罰則が6か月以下の懲役か100万円以下の罰金とはいうものの、実際には3万円程度の罰金という話もあるのでやや不安が付きまとう。

 

 ヤミ民泊では、既に騒音問題などの近隣トラブルが多く発生している。以前のブログでTBS「好きか嫌いか言う時間」へ出演した時の様子を紹介したが、この時のスタジオ収録で中心的な話題となっていたのが、実は民泊問題であった。放送時には、これらの内容は全てカットされてしまっていたが、現場では30分近くにわたってバトルが繰り広げられていた。準レギュラーと思しき外国人コメンテーター達はかなりきつい調子で、「日本人なんだから、おもてなしの心を持って多少の騒音などは受け入れろ」と言い、他の日本人コメンテーターは、マナーを守らない外国人宿泊者に怒りをぶつけるというやり取りが繰り広げられた。そんな中で、民泊問題のゲストとして番組に呼ばれていたのが、民泊ポリスを自称する会社経営の男性であった。

 

 収録の待ち時間にこの民泊ポリスの男性とも話をしたが、オスカーという会社名であり、元は中古車販売を業としていたが、業務の一環としてヤミ民泊の住所を突き止めるサービスを始めたとのことだった。確かに、購入したマンションの隣がヤミ民泊を行っていたり、管理しているマンションの一室がヤミ民泊として使われているといったことがあれば大問題である。これらを防止するための不動産オーナーや管理会社、管理組合の方に向けたサービスだそうで、インターネット上を定期的に巡回し情報を収集し、民泊の所在地を突き止めると、それをデーターベースに登録し、依頼があれば情報の提供や調査も行うとの話であった。このような商売まであるとは、番組収録の時まで知らなかった。

 

 番組で民泊のコーナーが終わったところで、次のテーマで私に話が振られたが、その前にということで一言注意した。民泊についていろいろ話が出ていたが、騒音に関しては環境条例などで規制基準が設けられているので、法律的な縛りがあることはしっかり認識しておかなければいけないということを話した。民泊新法でも、住宅宿泊事業者は、外国人観光客である宿泊者に対しては、騒音防止に配慮すべきことを外国語を用いて説明をしなければならないことになっているが、それまでの番組内でのバトルは、これらの事を全く認知していない議論であったため、残念ながら、放映時には全部カットされたのだと思われる。バトルに参加していた人や民泊ポリスの人はさぞかし残念だったと思う。

 

 民泊の仲介に関しては、Airbnb(エアー・ビーアンドビー)が有名であり、私も海外旅行の折に一度利用してみようかと思ってかなり調べたことがあったが、貸し出し可能な日程が限られている物件が多く、結局はスケジュールが合わなかった。確かに、料金はホテルなどより遥かに安いが、場所が特定できず、レビュー以外に宿泊場所の細かな情報はなく、またホストが勝手にキャンセルしたりすることもあるようで、なかなか安心して利用するまでには至っていないと感じた。試しとして、地元の八戸でAirbnbに登録された民泊があるかどうかを調べてみたが、それなりの数がリストアップされていた。何れもやや怪しそうな物件ばかりであり、外国では一般的でも、日本ではやはりヤミ民泊の域を出ていないようである。

 

 以前は、騒音などの近隣トラブルが多かった建物はワンルームマンションだった。殆ど近隣との付き合いがなく、自治会にも入らないのが当たり前であるが、その割には様々な騒音が発生するためトラブルも多くみられた。ワンルームマンションの建設計画が明らかになると、近隣から建設反対運動が起こるということが頻繁に見られたが、民泊はその極のような建物である。民泊新法では、「住宅宿泊事業者は、届出住宅の周辺地域の住民からの苦情及び問合せについては、適切かつ迅速にこれに対応しなければならない」としているものの、民泊を始めるにあたって隣近所の了解を必要とすることにはなっていない。通常、中高層の住宅など問題となりそうな建築物に関しては、標識の設置や施設の説明会が行われるのが常であり、それらを通して住民の了解を得ることを自治体などから求められるが、民泊の場合には、そのような形にはなっていないのである。

 

 民泊新法が来春から施行され、全国各地で民泊事業が始められるようになれば、騒音トラブルが激増してくるのではないかと懸念している。そのような状況がマスコミなどで再三報道されると、それにより近隣住民の警戒感がますます強くなり、それを原因とした苦情も表れて、さらに騒音トラブル増えてくるという悪循環が起きてくることも考えられる。更には、そんな状況を嫌ってヤミ民泊が増えてくるということにでもなれば、これはもう最悪である。民泊に関する社会制度設計の中で、このようなことへの対処がしっかりと織り込まれているのかどうか、甚だ疑問である。

 

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 以前のブログで、私の研究室で昨年実施した「地域社会の騒音問題に関する市民意識調査」の結果速報を紹介したが、今回は、これに関する追加の解説である。首都圏1都3県の1戸建住宅を対象とした調査結果である。まず、これは既に紹介したが、大事なことなので再掲すると、「これまで近隣からの騒音を迷惑に感じたことはありますか」という質問では、

・「ある」 54.0%、 ・「ない」 46.0%

という結果であった。半分以上の人が、近隣からの騒音を迷惑と感じたことがあるというのは驚くべき数字だと思っている。近隣から音が聞こえることは昔も今も当たり前だが、それを迷惑と感じることは昔は少なかったであろう。お互い様と思えば、迷惑だとは感じないのが常だからである。もうすぐ、「お互い様」は死語になるのであろう。

 

 これも再掲になるが、速報ではまだ数値が確定していなかったため、ここで最終値を示すと、「迷惑に感じた騒音の種類(複数回答)」は、多い順に並べると、

・車のエンジン音・アイドリング音 23.2%

・犬の鳴き声 15.5%

・子どもの声(遊び声、泣き声など) 12.3%

・店舗・カラオケなどの営業騒音 6.7%

・テレビ・ステレオなどの音 5.6%

・エアコンの室外機 3.5%

・学校騒音 2.6%、他。

・エコキュート、エネファーム 1.5%

・その他 24.6%

であった。犬の鳴き声や隣の子どもの声を迷惑と感じる人が増えているのが歴然と分かる。しかも、犬の鳴き声は7人に1人、子どもの声は8人に1人の割合である。全体の数を推定すれば、回答者の年齢はほぼ30代から80代であるから、その人口は全体の7割程度と考えれば8400万人であり、その54%は4500万人。比率的にみれば、犬の鳴き声を迷惑と感じた人は約700万人、子どもの声を迷惑と感じた人は約550万人ということになる。近隣騒音が近隣トラブルに発展し、殺傷事件にまで繋がることを考えれば、これは空恐ろしい数字である。エコキュートやエネファームでさえも67万人にもなるのである。

 

 さらに恐ろしいのは、この市民意識調査は、1戸建住宅を対象として実施したため、マンションやワンルームなどの集合住宅は含まれていないことである。1戸建住宅よりは集合住宅の方が遥かに騒音の問題は深刻であるため、これを考慮すれば、近隣騒音を迷惑に感じる人の割合は更に上がってくるのであろう。なお、集合住宅での迷惑に感じる近隣騒音は、勿論、上階からの足音、物音である。こちらは上階から一方的に聞かされるだけの音であるため、もともと「お互い様」が成立しない近隣騒音であり、それ故、殺傷事件も多く発生している。

 

 以前のブログで紹介したTBS「好きか嫌いか言う時間」の騒音問題編では、近隣苦情で除夜の鐘を止めてしまったご住職(最初に止めたのは先代のご住職とか)が出演していたが、止めた理由を、「仏教では、たとえ一人でも迷惑に感じている人がいるなら、それに対して対処しなければならないんです」とやや得意そうに説明していたが、そんな考えでいたら、今の日本はとんでもないことになる。日本人の多くは仏教徒であるが、その半分が迷惑に感じていることは全て止めなければならなくなってしまう。車も犬も子どもも皆、音の出るものは止めてしまわないといけない理屈である。現代の騒音苦情に対する認識とその対処の仕方が根本的に間違っている。

 

 日本人は、いつから他人の音に対してこんなに不寛容になったのか。そして、その変化の理由というのは一体何なのか。一部、幣著「苦情社会の騒音トラブル学」からの引用であるが、その答えを示しておこう。歴史的な観点(少し大げさか(笑))から言えば、それは、人間を取り巻く環境条件が整備されたことである。

 

江戸時代の長屋の遮音性能は、現在から見れば劣悪と言ってよい程のものであった。しかし、そのような住環境でも苦情やトラブルは殆ど見られず、豊かなコミュニティーが築かれてきた。性能が劣悪な時代にはトラブルはなく、性能が向上してきた現代でトラブルが多発することは真に皮肉な結果であるが、これは当然の帰結である。

 

騒音に対する感性の醸成に関して住居建築の果たした役割が大変に大きいが、遮音性の優れた住宅に居住した西洋では他人の音に厳しくなり、遮音性のない住居で暮らした日本人は騒音に寛容となった。現代は、昔と較べて遥かに住居の遮音性能は向上しているが、音の苦情は逆に増加の傾向にある。これは西洋と日本の比較で示される建築物の遮音性能と苦情の関係と全く同じ構図である。

 

「遮音性能が良くなると苦情が増える」、この逆説的法則を、音響技術は自己矛盾として内包しており、これは音環境工学の限界を示唆する結果である。環境工学は人間を対象とした学問であるが、工学的な技術面や生理学的な側面ばかりに焦点が当てられている限り、この自己矛盾は克服できない。環境性能が良くなればなるほど、心理学や人間学の視点が重要になってくるのである。正に、騒音トラブル学が今、必要とされているのである。

 

なお、「地域社会の騒音問題に関する市民意識調査」の結果に関しては、当研究所のホームページの中のダウンロードのコーナーに最終報告書が掲載され、誰でも自由にダウンロードができるので、興味のある人は一度ご覧頂きたい。

 

 

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 スルメイカの不漁が続いている。八戸や北海道以外の地域であまり話題にもなっていないかもしれないが、当地では大変深刻な問題として捉えられている。昨年の夏ごろからその傾向が現れ始めてきたが、私が最初にその状況に遭遇したのは、いつも買い物に行くデパートの地下食料品売り場だった。ある時、いつものようにスルメイカを買おうとすると、品数が極端に少なくなっており、おまけに値段が一匹498円にもなっていたのである。それまではイカの街・八戸であり、通常は一匹100円~150円程度で買うことができたが、それがいきなり3、4倍に値上がりしていたのである。

 

 イカは私の大好物である。順位をつけるとすれば、食材では同率2位というところであろうか。一番は何と言ってもセイコガニである。北陸の福井県に生まれ、高校卒まで地元で暮らしたおかげで越前ガニが大好物である。オスの大きなズワイガニももちろん好物であるが、子持ちの雌のセイコガニの方が数段好きである。漁獲制限があるため、11月の終わりごろから2月頃までしか味わえないが、その時期になると、実家から届くセイコガニを今か今かと心待ちにしたものである。2番目に好きなものが、イカとたらこである。どちらも甲乙つけがたいが、料理のバリエーションの広さから言えば、イカの方がやや上位かなと思う程度である。

 

 食材としてのイカは、実に秀逸である。私は単身赴任が長かったが、大げさではなく、その間に冷蔵庫からイカを切らしたことは一日たりともなかったと言える。それはなぜかと言えば、イカというのは冷凍保存がきく食材あり、どれだけ長く冷凍した後に解凍しても、食感と味に全く変化がないためである。肉だろうと魚だろうと、一度冷凍したものを解凍して調理すると、その劣化は明らかに感じられる。時には、食すことができないくらいに味や食感が変化していることもある。これに比べて、イカの場合には解凍したものをイカ刺しとして食しても全く味落ちがしないのである。これは驚異的な食材だといつも感心している。

 

 イカを冷凍保存しておく理由は、もう一つある。それは、アニキサスである。ご存知のようにイカや生魚にはアニキサスが寄生している場合があり、気づかずにこれを食べてしまうと人の胃に寄生して激しい腹痛を催すのである。アニキサスは、一定時間冷凍保存すれば死滅するので、イカの場合には冷凍保存しておく方が安心なのである。それもこれも、冷凍で味が落ちないから可能となるのである。なぜ、このような特長があるのかは食品の専門家でないため分からないが、八戸でイカを本格的に食べ始めた時からいつも感心していた。

 

 単身赴任が長く、イカが大好物であることから、イカ料理のレパートリーも豊富である。一番シンプルなイカ刺しなどは、2~3分もあれば作ることが出来る。以下の骨や腑(わた)を取り出し、エンペラをつまんで下へ引き下げると、その部分の皮がむける。そこから横方向にイカの皮をつまんでズルリと剥けば、それでイカ刺しの下ごしらえが完了である。薄皮も剥いて、きれいに洗って包丁目を入れながら細く切ってゆけばイカ刺しの出来上がりである。八戸の寿司屋さんでは、包丁を使ってのエンペラの皮むきまでやるが、さすがにそこまでの技術はないため、エンペラは別途冷凍保存をしておき、炒め物などに使うことにしている。

 

 主なイカ料理としては、イカ刺しは勿論のこと、イカの煮つけ、イカの腑焼き、イカのリング揚げ、イカと野菜のオイスターソース炒め、イカとエリンギのトマトソース煮込み、イカタラモのオーブン焼き、などをはじめとして、グラタンやパエリアの具など様々な料理に食材として使っている。実に便利な食材であるが、味が淡白だからあきないというのも大きな特徴だと思っている。今でも、単身で1週間ぐらい過ごすときは、週に3、4日がイカ料理ということも珍しくない。

 

 そんな八戸のイカが市場から消えかかっているのだ。一時期はスルメイカがすっかり姿を消して、その代わり小ぶりのヤリイカが並んでいるという状況が長く続いてきた。専門家の話によると、イカの産卵場所である九州西方沖の水温が高く、イカの稚魚(稚魚というのかどうかは分からないが)が十分に育たなかったため、青森沖の方まで到達しなかったのが原因だそうだ。今年はそんなに水温の高い状況は見られないので、イカの水揚げも回復するのではと言っていたが、市場を見る限り昨年の枯渇していた状況とあまり変化はないようだ。

 

 イカの不漁のために、八戸のイカの加工業者が悲鳴を上げているというニュースが度々流され、居酒屋へ行っても大好物の活(カツ)イカのメニューが消えてしまっている。フォアグラに勝るとも劣らないイカの腑の刺身を食べられないのは誠に残念である。とあるホテルのパーティで、珍しくイカのグリンピースソース炒めが出てきたため、高いイカを使った料理を出してくれていると評価をする声が聞かれたが、一口食べたお客が「これは八戸のイカじゃない」といって、その後、口をつけようとしなかった。私も食べてみたが、それは絞甲イカであり、スルメイカ(真イカ)とは全く食感が違う料理だった。八戸の人は、これほどイカに対して愛着を持っているのかと、妙に感心した出来事だった。

 

 地球温暖化で、様々な所に自然の歪が生まれてきている。イカだけでも私にとっては大問題であるが、これからは異常気象や生態系の変化などが発生し、食糧生産などにも影響が出てくるのであろう。アメリカがパリ協定から脱退するという残念なニュースも流れていたが、地球温暖化対策の重要性をイカを通してひしひしと感じている今日この頃である。

 

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 今では社会的に殆ど忘れ去られてしまっていますが、私自身では今でも大変気になっていることがあります。それは東京都の環境確保条例改正の影響です。正確に言えば、条例136条「何人も、第六十八条第一項、第八十条及び第百二十九条から前条までの規定に定めるもののほか、別表第十三に掲げる規制基準(規制基準を定めていないものについては、人の健康又は生活環境に障害を及ぼすおそれのない程度)を超えるばい煙、粉じん、有害ガス、汚水、騒音、振動又は悪臭の発生をさせてはならない」の部分の改正です。長いですが、分かりやすく余分な所を省いて書くと、「何人も、規制基準を超える騒音の発生をさせてはならない」ということです。この「何人も」から保育園の子どもの声を除外し、数値規制の対象外とするという改正でした。

 

 条例改正の方針が新聞等で報道されたときは、その賛否について大変に大きな議論となりました。しかし、平成274月に施行されてからは、この話題については全く何の報道もされなくなりました。この種のことは、改正後の状況の変化や新たに生じた問題等がないか追跡することは重要と考えていますが、何の話題もないということは、それなりにうまく世の中が進んでいっているということなのでしょうか。改正時には、区市から「このような場合にはどう対処したらよいか」との不安交じりの質問が多くあったため、都の方ではQ&Aを作成して対応したと聞いています。そのような判断の難しい状況が噴出しているということもないのだろうか。大学在職中なら、直ぐにでも追跡アンケートを実施するところですが、それが出来ないのは全く歯がゆい次第です。何処か新聞社が実施してくれないものかと期待している所です。

 

 もともと、この136条というのは運用解釈が必要な条文です。「何人も」というのはいかにも古めかしい表現ですが、これは環境確保条例の前の条例、東京都公害防止条例の条文をそのまま使ったためと言われていますが、公害防止の厳格さを示す言葉として重みがありますが、その反面、内容に関してはやや不明確な点があります。例えば、隣の空調機室外機の騒音は対象になるのかどうかなどです。空調機の室外機は人ではありませんから、「何人も」には当たりませんが、そのスイッチを入れるのは人ですから、やはりこれは対象になるのでしょう。

 

 隣の家の子どもが庭で遊んでいる場合はどうでしょうか。これは明らかに「何人も」の対象になります。条例改正時に議論となった一つがこの点で、都に寄せられた陳情でも次のようなものがありました。「住宅が密集している地域では、お互いが迷惑をかけないように配慮して生活している。ピアノを弾く時には窓は閉めるし、子どもにも大声で騒がないよう注意もしている。それなのに、保育園だけは窓を開けてピアノを弾いても、大声で叫んでも許されるというのは理屈が通らない。隣の家の子どもはせいぜい数人であるが、保育園では数十人から100人をこえる子どもがいる。隣の子どもは成長していつか騒がなくなるが、保育園は閉鎖しない限り同じように音を出し続ける。一般の子どもの声は今まで通り数値規制の対象になるのに、保育園の子どもの声だけ規制から外されることは到底納得できない」というものです。いかにも納得できる意見ですが、実は、保育園からの子どもの声は数値規制から外れるだけで、無制限に許されるという訳ではありあません。

 

 では、隣の家の庭で飼われている犬はどうなのでしょうか。まず、犬は人間ではありませんから「何人も」には当たりません。また、犬の場合には、空調機室外機のように人がスイッチを入れる訳ではなく、犬が勝手に鳴いているわけですから、この点でも「何人も」には該当しません。そうすると、隣の庭からの犬の鳴き声は、保育園からの子どもの声と同様に数値規制の対象外ということになりそうです。

 

 隣の家の庭で遊ぶ子どもの声は数値規制の対象となるのに、隣の庭でうるさく吠えまくる犬の鳴き声は数値規制の対象外となるというと、ちょっと首をかしげざるを得ないことになります。では、数値規制の対象外の音の場合にはどうすればよいかと言えば、残念ながら、裁判で争うより仕方ありません(話し合いで解決できない場合です)。実際にも、東京ではありませんが、住宅地での犬の鳴き声に関する裁判も起こっています。この場合には、飼い主を訴えた原告側が敗訴(現在、控訴中)となりましたが、これからはこういう問題も増えてくるのではないかと思います。

 

 近隣騒音の法的規制というのは大変に難しい面があります。高度成長時代の公害騒音が対象の場合には、厳格に、「何人も」規制基準を順守しなければならないとする立場は明確で効果的であったと思いますが、近隣騒音の場合にはそう簡単にはいきません。東京都の環境確保条例の改正に関して専門家ヒアリングを受けた折にも、公害騒音の規制基準とは異なった基準を設ける必要があるのではないかと申し上げましたが、その考えは今でも変わってはいません。東京都の改正内容は、数値規制から外して、後は受忍限度を超える騒音かどうかを個別に判定するというものでしたが、私が提案したのは、規制基準値を外し、新たに評価基準値(規制基準値よりかなり緩い値)というものを導入して、その評価基準値を超える場合に受忍限度を超えるかどうか個別に判定するというものでした。一律、数値基準から外すよりも手続き的にかなり面倒になりますが、行政がこの問題にしっかりと関与する形になり、数値的に明確な評価も残るのでいいのではないかと思ったのですが、残念ながら、採用はされませんでした。

 

現在、民泊などの騒音問題も大きな話題となっています。ヤミ民泊も横行していますが、新たに民泊新法も成立して、来春から全国で民泊が解禁されることになりました。これこそ本当の「何人も」の出番です。例え、旅行者であっても、例え外国人であっても、規制基準値を超える騒音を発生させないようしっかりと規制をしてもらいたいものだと思います。これに関しては、子どもの声のように議論の余地は無いように思います。ちなみに、民泊を行う場合には都道府県知事に届け出が必要で、家主には騒音防止対策や近隣からの苦情に対する対応が求められています(住宅宿泊事業法(民泊新法)9条、10条)。法令違反の場合には業務停止命令などが出され、これに違反した場合は6か月以下の懲役か100万円以下の罰金だそうです。実に明快です。今は、どのような種類の騒音に関しても、このような明快な規制が必要な時代になっているのかもしれません。

 

 

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