似たような内容の作品を多数見ることにより食傷気味となり、最近の私のアニメを視る熱意は急下降気味でもありました。

ただ、それは私がそういった作品を好んで視ていた結果でもあります。元来アニメ好きでもある私にとってはアニメ離れしていく自分というのは悲しくもありました。何とかまたアニメの素晴らしさを再確認できる作品はないものかと何本か借りて見ていましたが、結局似たような作品を選んでしまい、いいアニメだと思う作品はあったものの、私の心に深く響くものはありませんでした。


 そんな時に「けんどうぶ」さんのブログを読んでいて、心を動かす作品に出会えるかもしれない、そんな予感から『マリア様がみてる』を見ることにしました。


 このアニメにでてくる専門用語・設定、それについて懸念があったのですが、見ているうちに全く気にならなくなりました、そういった細かいことが問題にならないほど描いているものが素晴らしかったからです。


 まずは福沢祐巳という主人公についてですが、私は、当初全く興味が湧きませんでした。周りを取り巻くキャラの濃さに比べあまりに個性が薄いと感じたからです。しかし、見るに従ってこの主人公は“鏡”の役割なのだと思うようになりました。全てを偽りなく受け止めそれを見る者に対して映し出す鏡。それゆえに人物によっては祐巳に対し激怒し、ある時は自分の心情を吐露し、自分の思い出の意味を悟ったりします。それに祐巳自身も困難を乗り越えようとする意志の強さを持っていました。そんな祐巳が主人公であるからこそ、みんなの想いが照らし出されていたんですね。


 そして、祐巳以外の登場人物が抱える想い。それは他人にはわからない悩みが多いです。しかし、それを横で見守っていてくれる、支えてくれる人がいる、それだけで救われる。そういった場面を多数見せてもらいました。その中には相手が望んでも得られない想い、両者が望んでも得られない想いというのもありましたが、彼女たちはそれを彼女たちなりに受け入れ日常に帰っていく。その姿がとても美しく、せつなくて、何度も涙させられました。「絆」というものがそこには感じられました。


「心」というものを柔らかくときに激しく、わかりやすく描いてくれる作品は久しぶりに見た気がします。


 まだ書きたいことはあるのですが、長文になりすぎてもいけませんので、いったん私の感想はここまでにさせていただきます。


 「けんどうぶ」さんには、紹介していただく際にエピソードを選ばせるようなことをさせて、今は申し訳なく思います。全てが素晴らしい話でした。ありがとうございました。