3月鑑賞映画まとめ | 三つ子の魂百まで…トラウマニア

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映画レビュー、コレクション紹介、映画や趣味全般について書いています。

     『ナイスガイズ!』

     <2016年/アメリカ>

ノープランへっぽこ私立探偵の
ライアン・ゴズリングと揉め事は

殴れば万事解決の示談屋さんな
暴力漢ラッセル・クロウが
何の因果かコンビを組んで
人探しをしている内に巨大な陰謀に
巻き込まれていく笑って転げて

頭抱えるほど胸に染み入る
アクションコメディのド傑作!!

 

舞台は70年代。
しかも脂が乗りきっている1977年当時の
エンタメ業界や社会情勢が散りばめられており、
見て聴いて郷愁に浸れる最高のステージで
凸凹コンビが勝手に転んだり殴ったり
罵り合ったりするピタゴラスイッチな
お笑いの連鎖反応が止まらないんです。
日本でいう所のドリフ。
香港だと「Mr.BOO!」辺りのオールドスタイルで
ベタな演出ですが、上擦った声で
怯えまくるゴズリングと割腹が良すぎて
無暗に接近したら即メリケンサックで殴る
ラッセルが絡む度に面倒事に発展。

ゴズリンの娘役をやってる
新人子役アンガーリー・ライスちゃんが
これまたヒネた感じを上手く出していて
大人を見透かしたような表情が
可愛らしいったらありゃしない!
子供は素直だからなぁ。
人生に壁を作ってしまった大人は
ぐうの音も出なくなる(笑)

 

70'sファッションはカラフルだし大好きなんですが、
そんな人間ばかり出て来たら
下手なファッションショーより
見応えあるってなもんですよね。
デカ襟シャツにベルボトム。
デザインは抜群だが無駄にデカいアメ車。
ディスコミュージックもノリノリで
浮かれ過ぎた時代の流行りモノが
今見ると新鮮に映るからたまんない。
本国から完全撤退したタワレコとか
アメリカ人は懐かし過ぎて
泣くんじゃないですか?(日本でいうとニチイ?w)
そーいう重箱の隅を突きたくなるギミックが
随所に散りばめられているので目を凝らして
チェックするのもナイスガイズの醍醐味。

 

『プレデター』のホーキンス役
シェーン・ブラック監督作なので
アメコミ的なカラーもあるけど、
ごく一般的な人物(と言っても仲良くなれそうな
性格じゃないけど)が
スーパーヒーローランディングを
実践するとどうなるか?
当然ただの人間だから大怪我しますw
なのに過度のでんぐり返しやら
高所落下と学習能力の欠け過ぎた
同じ過ちを116分も続けられたら
呼吸困難で本作の中毒になるのは
目に見えて分かります。
そこに決して明るくはないアメリカの
行く末をそれとなく織り込み
説教臭くならない程度に笑いの
オブラートで包み込んだ人間模様が
実に軽快で元気を与えてくれる
30年に一度出るか出ないかの
大傑作に仕上がっているのは

間違いありません!

 

「20ドルで××見るかい?」とか

舐めてんのか!(爆)
久しぶりですよ、こんな分かり易くて
下品で爽快なコメディ見るの。
なるべく大人数で楽しんでもらいたい映画。
変に我慢しないで大声で笑って
ストレス解消して欲しい作品。
頬がシェイキングして子供から
お叱りを受けなきゃ己のやり過ぎを
止められないお茶目なおじさん達が
愛おしくて幸せになれる笑いのドミノ倒し。
プリティ・スウィート!ハレルヤ!

 

【2017年3月1日(水)】
イオンシネマ海老名
(スクリーン7番、THX仕様)で鑑賞。


※初見は「したまちコメディ映画祭
~映画秘宝まつり2016~」
(2016年9月18日)の先行上映で。

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        『ソウル・サバイバー』

     <1982年/アメリカ>


飛行機事故唯一の生存者が

得体の知れない死神?に付きまとわれ、

常に死と隣り合わせな不気味な

ムードに包まれる運命は変えられない

オカルト物。
古くは『恐怖の足跡』、近年だと

『ファイナル・デスティネーション』を思わせる

死んでも死に切れない負の連鎖反応が

興味深く描かれています。

 

雨の滴がしたたる窓ガラスに映り込む

女の顔が歪んで見えたり、幾度となく不必要に

カットインされる猫の置時計(BTTFでドクの

部屋にあった同型?)、無表情で立ちすくむ

神出鬼没なゾンビの気色悪さなど、
Jホラーに通ずる人間心理の内面を抉る様な

怖がらせ方が本作の特徴。

 

「お前はとうの昔に死ぬべき運命だった…」と

言わんばかりに命を狙いに来る死の影。
花のない風景と寒々しい映像、

単調なストーリー展開が薄気味悪さを

盛り上げるなんとも後味の悪い映画。


【2017年3月6日(月)】鑑賞

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       『魔鬼雨』

    <1975年/アメリカ>


田舎でこじんまりと営業を続ける邪教集団と

村人が仲間に入れ!いやそれは困ると

押し問答している内に酸性雨より怖い
魔鬼雨が降り注ぎ赤頭巾や黒頭巾が

ホットケーキミックスの素を塗りたくったかのように

ドロッドロに溶けてしまう特撮が最大の見所。

溶け屋さんの代表格『溶解人間』より遥かに

勢いよく畳みかけるラストの豪快さは
一見の価値があると思います。


教祖を演じるのは隙っ歯でチャーミングな

人の良さそうな叔父様キャラが良く似合う

アーネスト・ボーグナイン。
ヤギのような角を生やした費用掛かり過ぎな

特殊メイクを施されてもベースが濃すぎるから

全くホーグナインばればれなんですね(笑)

「スタートレック」のカーク船長で

有名なウィリアム・シャトナーは
魔術によって盲目にされちゃうんだけど、

目玉に焼き海苔貼り付けた風の
簡素なメイクなのに、嫌に薄気味悪くて

同じような顔の信者が大挙し

ワラワラ迫って来るのは
悪夢に出てくるようなおどろおどろしさ。

ストーリー自体は淡泊だけど、クライマックスと
人間が蝋人形のように溶けて無くなる

SFXは今見ても新鮮に映りますね。

 

それと出演陣がゴージャスすぎるんです。
「ローマの休日」のエディ・アルバート。

「エイリアン」のトム・スケリット。
そして本作で劇場映画デビューを飾った

若き日のジョン・トラボルタまで拝めてしまう!
70年代中期のオカルトブームにのっかって

製作された中でも異色のアイデアで

見せる(映像だけ)知る人ぞ知る

どろどろムービーの代表作。

 

【2017年3月7日(火)】鑑賞。
※初見は1990年にTVの深夜枠で(吹替)

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  『シングス THINGS

     悪夢のバグズベイビー』

     <1989年/アメリカ>

故意に人をおちょくった様な

演出の数々に度胆を抜かれます。
先ずホラーバブル期でも絶対に買い付ける
日本のビデオメーカーはいなかったであろう
中学三年の一学期にパスポートサイズの

8ミリビデオを手にしたガキんちょが

理想のホラーを撮りたい!

そして天才的な自作自演が画面映えするか

この目で確かめたいと言った
ナルシストな映画マニアと

中二病の痛さがドッキング。

これを平成が消滅するこの今になって

DVD化したHIGH BURN VIDEOの先見性には、
ただただ感服するばかりです。


内容ナシ!話はほとんどハンドブレーキが

かかったまま強引に進むのに
やたらとテンションが高くて蜘蛛の化け物が

ワラワラ出ようが、赤青セロファンに

懐中電灯当てただけのドぎつい照明効果で

雰囲気醸し出そうが、この悪夢の様な二人衆の

奇声とイラ付く顔立ちを見るだけで
またイラ付くのに「うん、分かる。分かるよ、

やりたい事は。俺も出来ればそれ

作ってみたかったし」と何だか妙な親近感を覚える

中身より外見が重要・・・出来上がるまでの

過程を想像するとなんだか

幸せになって来る変な映画でした。

 

流麗なピアノ曲がね、やたらと耳に残るんですよ。
だからDVDよりサントラ出したほうが

売れると思うし、映画観なくても音だけ

聞いてればほとんど十分!

 

【2017年3月9日(木)】鑑賞

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  『謎の完全殺人 

      キラー・スキャナーズ』

     <1975年/アメリカ>


無実の罪で精神病院送りとなった男が

憎き者へ復讐を決意したけどやっぱダメで

自殺を遂げた黒人患者から貰った

メダリオンのパワーにより超能力を習得。

地味なキャラなのに復讐の鬼と化す

オッサン迫真の死のイメージがこれでもか!と

展開する75年製作にしてはヒネりが効いていて
ユーモアセンスも抜群で楽しめました。

 

製作が「悪魔の沼」のマーディ・ラスタム。
なのでネヴィル・ブランドが肉屋さん

として登場するも「沼」の撮影から

中抜けしギャラ1万円で演じたような
まんまジャッド風の陰険ブッチャー屋さんが
奇跡のカラクリでミンチになったりする

ロバート・ギンティ大先生も真っ青な

残虐度には驚かされます。
胡散臭いDVDサブタイトルは強ち間違っておらず
『スキャナーズ』要素も感じられて

結構苦心の作なのではないでしょうか。

 

運転中ブレーキが効かなくなった男が

手でアクセルとブレーキを引っ張って
止めるのか走らせるのか良く分からん

沸点に達した奇行はもうほとんどビックリ人間

としか思えない柔軟性。
ラジカセ担いでノリノリのおじさんに

空から石が振ってきてドリフのタライ落ち風に

ぶっ潰されるシニカルなカットを挟んだり
面白おかしく作っているのは

見ている方もワクワクしますよね。

 

「大アマゾンの半魚人」のヒロインで

精神科医役のジュリー・アダムスが
熟女の色気をムンムン漂わせていて

まぁ堪りませんね!
警官はROM専に徹してないで

寝ている時に殺せばいいのに(笑)

 

【2017年3月11日(土)】フォワードのDVDで鑑賞

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        『ゾンビ3』

     <1981年/イタリア>


腐臭漂うヤル気のないゾンビと

人の顔を認識するまで暫く時間のかかる

鈍感な人たちが呑気に戯れて
観客を小馬鹿にしたような演出が鼻に付くけど
その日の体調次第で良くも悪くも

印象が異なって来る
摩訶不思議な汚ゾンビ映画。

ゾンビのメイク・・・と言うよりは東急ハンズの
パーティーグッズ売場で適当に見繕ってきた

ゴムマスクに生のウジ虫や

ミミズをデコレーション。
死者より生モノの恐ろしさに重点を置くとは!
ドタマを叩くと石膏が割れたような感触と

塗面が剥離する正にハンドメイド感ばりばりな

破壊の美学を自然光下で堂々と映し出す

粗探しする方が馬鹿らしくなる程の
妙ちくりんな自信に満ち溢れたド田舎SFX描写。
他所の誰もこんな手抜きはしないので

唯一無二の干物死人が拝める1本として

ほぼ神格化されていると言っても

過言ではないのでは?

 

マザコン少年のマイケルはそこいらの
道端に転がっていそうな背の低い

とっつぁん坊や風オヤジ。
飛び出しそうな目をギラ付かせ、

胸に届きそうなハイウエストパンツで

お母ちゃんの股座をナデナデしたら

ビンタ食らっていじけるド変態ぶりが

それはもう哀れで仕方ない。
スケベと変態と干物に二番煎じが

混然一体となって奇跡が起こるかと

期待してもカオスな空気しか

残らないある意味やっぱり奇跡のクオリティ(笑)
60分までは小気味良く進むんだけど、

ここから先が地獄の長さ!

 

すっとぼけたピロピロシンセ音に

脳髄掻きまわされて半狂乱になりかけると、

デラべっぴんな女中が鎌で首切り落とされたり、

どこの田舎芝居かと突っ込みたくなる

髭オッサンが張り付けにされた女中の胴体を

ゾンビにくれてやる血も涙もない

鬼畜生ぶりに血管ブチ切れ寸前!
派手なセーター着たジーン・ワイルダー風の

男とか動物捕獲の罠に足を引っ掛けた姉ちゃんの

彼氏が「これは外れないねぇ~」とわざとっぽく

20回くらいバシバシ挟みプレイしたりするので、
もうこいつら好きでやってるんだから

結末はどうでも良くなってしまう
困ったちゃんなマカロニゾンビ映画の決定打。


外はパリパリ、中は膿でジューシーな

古代ゾンビの効能は喉がイガイガした時に

見ると良いとか。たぶん…。

 

【2017年3月12日(日)】鑑賞

ホラーマニアックス<HDリマスター版>Blu-ray。


※初見は1990年にレンタルビデオで。
※※劇場鑑賞は2017年1月7日(土)
『鮮血のハッピー・ニューイヤー』

(池袋・新文芸座)のオールナイト上映で。