※この記事の内容、写真は2012年10月23日のものです※


楽しかった槍ヶ岳への山行から早一ヶ月。もう一ヶ月もたってしまったんだなぁ。延々とお届けしてきた北アルプスの山行レポートもいよいよ最終日となりました。


槍ヶ岳山荘のお兄さんに明日は荒れると言われた最終日の朝。槍沢にも小雪がまったていたらロマンティック♪なんてのんきなことを考えておりましたが、雨音に起こされる朝となりました。



macknのファッショントーク

↑大雨!


この日の朝、山小屋の食堂で朝ごはんを食べたのは4名。僕たちと、もう一人これから槍ヶ岳を登る予定のおじさま。山小屋で聞いた状況(今日は荒れる)をお伝えしたところ「登ろうかどうしようか、考えている」とのこと。僕たちは散々楽しませてもらったので、今日もパワーをつけなきゃ!とかいってご飯を3杯おかわりしていましたが、おじ様はおかわりせずに食堂を後に。気持ち分かる…。あと一日早かったらよかったのに…。


槍沢ロッジの方から雨の気配はなくなるどころか、一日しっかり降るとのお話を聞き、さっさと支度を済ませ、いざ出発。今日は上高地バスターミナルに戻ればいいだけの日なので、気楽です。でも、やっぱり寄り道が好きな僕たちなので、油断は禁物。春の上高地のときのように残り5分でダッシュというのだけは避けたい。20-30分前にバスターミナルについて、ゆとりでしたくする、という心積もりでいざ出発。


結局、朝ごはんをご一緒したおじさまは槍ヶ岳への登頂をあきらめ、帰ることにしたそうです。次回は天候に恵まれることを祈っております。



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↑雨でも出発(7:22)


天候に恵まれた山行でしたが、ファースト北アルプスで雨に降られ、コースを変更したことのある僕なので、雨対策は抜かりなく、雨具をフル装備していざ出発。カメラは防水性のが一台しかないため、母のサイバーショットをメイン機にしました。あいにくの雨ですが、景色を思いっきり楽しまなくっちゃ!というわけで、あたたかいコーヒーを飲んでテンション高めに出発です。



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↑橋も水たまり



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↑楽しんだもん勝ちよ!


…と、張り切って出発したものの、結構しっかり雨が降っており、ところにより足元が小川になっているところも多く、行きは穏やかな様子をみせていた沢はすっかり豹変し、濁流となって白いしぶきを上げていました。沢を渡渉するコースじゃなくて良かったです。できれば避けたい雨の中の行動だけど、雨のときにしか見られない美しい景色というのもあるので…帰りの日なら受け入れられるかもしれない…(笑)



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↑沢は激流、危険です



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↑水の輪がきれい


僕がこの日気をつけたのは雨から来る冷えです。雨具を着ており直接雨にぬれるわけじゃないし、山道は終わってほぼ林道みたいな地点から林道への移動とはいえ、ちょっと前に購入した本に「夏でも雨にぬれて低低体温症が発生する」と書いてあったので、寒がりの僕は「体を濡らさない」「温かい飲み物を携帯し、体温を下げない」に注意することに。


雨に完全にぬれない手袋はない、と登山用品のお店の方に言われたので、手先を濡らさないようにゴム手袋を持参。これは、実際に山に登っている方のテクニックを拝借しましたが、手が濡れて冷えることがなく快適でした。ゴム手袋なので滑らないし、カメラの操作も問題なし。一枚、ドライ系の素材の手袋をしたうえにゴム手袋がよく、汗をかくことを考えて換えの手袋を複数枚持参すれば安心です。


また、お湯については、バーナーは持ってきていないので、山小屋でお湯をもらいました。わっくんも母も「え~お湯?」ってリアクションでしたが、晩秋の冷たい雨に体がどんどん冷えてきたので、全員このお湯には大変助けられました。一枚上着が足りなかったのかなあと思いますが、歩き始めてしばらくしたら、肩からしんしん冷えてきてしまって。9月に唐松岳から雨の中行動するときはとにかく暑かったので、蒸れるものと思い気持ち薄手にしましたが、10月中旬は速乾性Tシャツ、木綿のネルシャツ、ウールのセーター、雨具では寒かった。今後の参考のために書き留めておきます。



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↑とにかくお湯を飲んでもらって


行きに槍ヶ岳の穂先を見て感動した槍見平もすっかり雲にけむって、何も見えません。でも、霧の中に槍ヶ岳があるっていう実感があるのがうれしかったです。



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↑槍見平も雨の中



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↑もちろん、槍は雲の中…



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↑道がなくなっている!


槍見平をすぎれば横尾まであとちょっと。…と思いきや、道と沢があいまいなところがあり、ところどころ道が水没しており、ビックリ!行きに切り株だらけだと思ったとおもった場所は、雨で増水すると、切り株づたいに歩くことが出来て、登山道を整備した方の知恵に頭が下がる思いです。切り株もなにもないところは、急坂を登って回り道(高巻き)して交わし、横尾に到着。あーあ、横尾に着いちゃった。春に横尾に到着したときは「ここまで来たんだ…」と感慨深かったのですが秋になったら「ここで山はおしまい」と感覚が変化していることに気づきました。いつか、槍ヶ岳まであっという間になるのかなぁ。


横尾にはやっぱり涸沢に向かう人、涸沢から帰ってきた人が何組かいて、涸沢から戻って来たおばさまが屏風岩の滝がすごくて、見せてあげたかったわよ!」と言うので「槍沢の沢の濁流も見事でした!」とお互いに張り合って大笑い。「雨だけどねー、雨しか見れないものあるもんね」と励まし合って!?みたり。そしてこれから涸沢へ登る山ガールの2人組は手袋が濡れて困っている様子。僕のゴム手袋を見て「その手があったか!」と羨ましがられました。やっぱりこれ、みんな取り入れた方がいいと思う(その一方で締め付けによる凍傷の誘発の懸念もあるので、サイズがぴったりしすぎないよう血行にたいする配慮が必要と思います)。



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↑横尾、屏風岩すら見えない



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↑横尾-徳沢間の池も復活



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↑母もだんだんポーズがさまになってきました(笑)



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↑ありとあらゆる場所が沢に変身



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↑カラフル


お湯を持参し、歩いていればすぐ暑いくらいになるだろうと思いましたが、ちょっと標高の高いところにはうっすら雪化粧となっているこの日の上高地の冷え込みは半端なく、徳沢で急いでダウンを着込みました。ソフトクリームどころではなく、おしるこや豚汁が本気で欲しかった…(笑)。思うに、槍沢より、上高地の平たいところのほうが断然寒いのです。地形的な要因(谷だから)なのか、二日目に河童橋を出たときと最終日がたまたま寒かっただけなのか?目下研究中。


ニット帽を出したかったのですが、絶対に使わないだろうと思って、厚手のフリースと一緒にザックの一番下にいれておいたんです。雨降る中、徳沢園の軒下でザックを探っても、気がせくばかりで荷物が見つからず断念。山では絶対がないから、万が一のケースを想定するって大切だなとまたひとつお勉強になりました。でも、ダウンを着たらだいぶあったかくなってきました。


お昼は河童橋まででて、できればシャレたランチをいずれかのホテルでいただく目論見もありましたが、張り切って写真を撮っていたら、だいぶ時間をとっていたものの、朝ご飯が早かったのでお腹が空いて仕方がありません。体も冷えてきて、このまま明神から木道コースはきついなあと思って、明神でお昼ごはんをいただくことに。すごく混雑しているイメージのある明神館でしたが、この日は空いていていました。カウンターのお兄さんに「どこ登って来たんですか?」と尋ねられ、槍ヶ岳と答えたら「最高だったでしょう?」って嬉しそうに言ってくれて、寒さも少々の疲れも吹き飛ぶ気分でした。



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↑いい顔している!



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↑母はてんぷらそば




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↑カレー(大盛り)おいしかったなぁ


明神で心も体もあたたまって、あとは最後のお楽しみ、観光コースの木道から河童橋へ向かいます。ザックにつけている温度計を見たらまさかの5度!どうりで寒いわけだ…。この日に上高地入りした観光客のみなさんは、あいにくの天気に難儀していたけど、僕たちのテンション高めの挨拶で笑顔の花の咲く人もあって嬉しかったです。大雨の中、すごくさわやかな笑顔でいられて、まるで山岳ガイドの気分(笑)。この日はあいにくの天気でしたが、僕たち一行は今までの充実した毎日が嬉しすぎて広角が上がりっぱなしで、ちょっとほっぺがいたいくらい。顔に「最高に楽しかった!」って書いて歩いている気分だったんです。本当に、楽しかったな~。



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↑げげっ!5度!



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↑どこでもきれいな紅葉



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↑大好きな池もこの通り



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↑梓川から岳沢、吊尾根を臨む…はずの構図


朝から晩まで山の中で夢中になって過ごしていましたが、白樺荘の赤い屋根が見えたとき、ついにこの楽しい山行が終わってしまうんだ、と思うと同時にけがも事故もなく、元気にそして、最高の景色を楽しませてもらい、生涯忘れがたいほどの感動と充実感、達成感を得ることが出来ました。すっかりガスの向こうに隠れる北アルプスの山たちに「素晴らしい思い出をありがとう!またくるからね!」と心の中でご挨拶。



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↑思い出を語る図、をテーマにしたやらせ写真


ちなみに、白樺荘に荷物をピックアップしに立ち寄ったところ、チェックアウト後であるにもかかわらず、(ホテルに入る前にもちろん各自、タオルで雨水はふきましたが)乾いたタオルを出してくれて、着替えをするための更衣室も快く利用させてもらい、最後の最後まで至れり尽くせりでした。ホテルの方の何人かとは槍ヶ岳に行くことをお話していたのですが、皆さんが山行の様子を気にかけてくれていて、自分のことのように喜んでくれたが何より嬉しかったです。来年も上高地へ行くのですが、もちろん白樺荘を利用するつもりです。


かなりゆとりをもった行程でしたので、疲れが響くこともなく次の日からは普通に会社に行ったわけですが、今までとはすべての景色が別の世界になったように思えます。うまく説明できないんだけど…ちょっと心の器が大きくなれた…ようなところもあるんじゃないかなあと。そして、まったく日焼け対策をしていなかったので、稜線歩きをした時の日やけのダメージがひどくて、顔は皮がボロボロむけて、一週間もしないうちに元に戻りましたが、唇の乾燥がひどく、2週間くらいは痛かったです。


今度からは日焼け対策もきちんとしないといけないな、と気付きだらけの5日間。本当はもっとゆっくりいろんな山に行って経験を積んで、こういう当然のことを知って1-2年低山から中くらいの山を経験してから北アルプスに挑戦するのがセオリーのようです。母が来年は登れないかも、ということでとにかく今年中に…という思いで計画、準備、実行した槍ヶ岳山行でしたが、これかはらはリスク対策等も含めて、長く趣味として続けるための自分らしい山登りの仕方をゆっくり研究していこうと思っています。