リスパダールの事を調べました。

3年前に調べたときよりも、いろいろの事例が増えていました。

中でもショッキングなのは、実際にあった医療過誤

これは、ひどすぎますね。

ご家族が、医師で、詳細なデータがあります。

リスパダールで人殺しをしたといわれてもしょうがないでしょう。

これほど恐ろしい薬を、ヤンセン・ファーマなどの会社は、若干の注意書きだけをつけて、販売しているのです。

薬害について、もっと情報公開すべきです。


もっと知ってもらいたいので、今のブログ記事を引用します。

この文章は、私の親しい友人W君が、2度とあってはならない事件なのであえて公開すると、私どものホームページに寄稿してくれたものです。

 

 

【あらまし】

 

 ひとことで言うと、中等度の認知症はあったものの、自分で食事をし歩いていた83歳の女性が、ある日を境に寝たきりの植物人間になってしまった話です。そして、その女性とは私の母のことです。

 現在、私と相 手がたの医療機関との間で責任の所在について係争中ですので、今のところ実名を出すことは差し控えますが、話し合いがつかず裁判での決着がはかられる事態 になれば、裁判公開の原則に基づき、私が提出する訴状はもとより、相手がたからの反論も実名で公表いたします(注1)。なお、この施設は以前にも医療過誤を起こし、示談金で解決した過去があることが分かっていますので、必要があればそれらの周辺事情も明らかにしていきたいと考えています。

 私の母は、三 重県内の老人保健施設に平成18年3月6日に入所し、2週間後の同月21日より意識障害を起こして、現在植物状態となっています。勿論食餌の自力摂取はで きませんので、胃瘻(腹部に開けた孔)を造設し、チューブで胃に直接流動食を流し込むことで、生命を維持しています。

 こうなった原因は複合的ですが、その主たるものは、当該老健施設の担当医師による統合失調症治療薬リスパダールの適応外過量投与(注2)です。

 

注1 裁判の途中経過をインターネットと書籍で公開している例があります。詳しくは、ネット上で検索されるか、海野祥子著「インターネットを使って医療過誤裁判やってます!」メタモル出版、をご参照ください。

 

注2 医 薬品は厚生労働省が承認許可した疾患に対してしか投与できません。そして、承認された疾患を適応症と呼びます。また、その投与量も承認時に規定されてお り、それを超えて投与することは認められていません。適応外過量投与とは、適応症として承認されていない疾患に、規定量を超えて投与することを指します。

 

 

【入所までの経緯】

 

母 に幻視(実際には存在しないものが見えること)が始まったのは平成17年3月のことでした。誰かが家の中にいる、**さんがいる、応接間に大勢の人がい る、などと言い出したのです。しかし、間もなくそれも頻繁でなくなって安心していたところ、同年5月ごろから、時々夕方を朝と取り違えたり、自分の薬(降 圧剤と骨粗鬆症治療薬)の管理が不確かになったりするようになりました。

そこで私は同年6月末から認知症治療薬アリセプトの投与を開始しました。この薬は3mgを慣らし運転のように1週間投与してから、有効投与量の5mgに切り替えます。5mgにしてから10日ほどすると、明らかに母の記銘力も判断力も改善し、認知症症状は好転してきました。

症状はそのまま安定していましたが、同年12月ごろから尿失禁がひどくなり、歩行も以前のようにスタスタとは行かなくなってきましたので、市内の公立病院に脳のCT検査を依頼しました。結果は同年3月の所見と変わらず、脳の萎縮と古い小さな脳梗塞(ラクナ梗塞)がいくつかあるというものでした。そこで私は12月28日から、これ以上脳梗塞を増やさないようにと考え、バファリン81mgの投与を開始しました。バファリンは主成分がアスピリンで、血小板の凝集を抑制して血液を固まりにくくする血栓予防薬です。いわゆる血液をサラサラにする薬の代表格と言えましょう。

平 成18年になると、母の認知症はさらに進み、夜尿と大小便の失禁を繰り返すようになりました。そのころ私はアリセプトがもはや効かないのではないかと考 え、投薬を一時中断してみましたが、投与しないと認知症症状が一層ひどくなることが分かり、内科医である弟とも相談して投薬を続けることにしました。

な お2月末の介護認定結果は、要介護2でした。介護度は低いものの、私には仕事があり、妻は難病指定を受けた疾患の患者で体が不自由という事情もあって、二 人が泊り込みで世話をしてもしきれる状態ではないことが次第に明らかになってきました。妹や弟も状況をよく理解してくれ、もはや施設入所しか解決方法はな いとの結論に達しました。

 3月2日に老健施設の職員2名の来訪があり、母の入所は6日と決まりました。前日の5日夜には私たち家族が母を囲み、鉄板焼きでお別れ会を開きました。母は「おいしい、おいしい」と大喜びでした。しかし、悲しいことに、これが母を囲んでの最後の食事となりました。

 

 

【入所からリスパダール投与まで】

 

 入所時に母に持参させた14日分のアリセプト5mgとバファリン81mgは、 施設の担当医師によって即日投与中止とされました。中止の事実とその理由は、当日の担当医師と私との面談の際には告げられず、その後も当医師が私や弟と頻 繁に顔を合わせていたにもかかわらず、告げられることはありませんでした。後になってカルテの開示を求め、それを読んで初めて中止の事実が分かったので す。なお、カルテには「中止」とあるだけで、理由は記されていません。通常医療をおこなう場合、あるいはその内容に際立った変更を加える場合、医師は患者 またはその家族からインフォームド・コンセント(注3)を取りつけることになっています。この施設ではそれがなされていませんでした。

 母には強い難 聴がありましたが、認知症は要介護2が示すようにそれほどひどいものではなく、補聴器を着けさせて説明をするか筆談によれば、理屈の通っていることには納 得してくれていました。日常生活動作に関しても基本的な部分では問題がなく、自力歩行が可能で、食餌も自分で箸と茶碗を持って独力で摂取していました。

 その母が入所 後ボーッとしていたり、歩かないで車椅子に座ってばかりいたり、幻覚を訴えたりと何かこれまでとは異なった様子をしているのには気づきましたが、まさか持 参のアリセプトが中止されているとは夢にも思わず、環境が変わったせいだろうくらいに考えて、私たちはほぼ毎日訪問を続けていました。

 あとで知ったことですが、母は入所2日目の3月7日18時30分にフルジサール50mg(グ ラマリールの後発品で、一般名塩酸チアプリド)を投与されて30分後から眠り込んでしまい、12時間経っても立つことができない状態になっています。担当 医師もカルテの3月8日の項に「足も立たず」と記載し、同日からの投与を打ち切っています。前日に帰宅願望が強くなって扱いかねたとはいえ、入所2日目か ら強力な鎮静剤を用いるのは薬物による抑制あるいは拘束(注4、5)に当たると私には思われます。なお、グラマリールの添付文書の「使用上 の注意」には「高齢者への投与」の項目が設けられており、そこには「本剤は、主として腎臓から排泄されるが、高齢者では腎機能が低下していることが多く、 高い血中濃度が持続するおそれがあるので、副作用(錐体外路症状等)の発現に注意し、低用量(例えば1回25mg、1日1~2回)から投与を開始するなど慎重に投与すること」と記されています。したがって、50mgは明らかに添付文書違反の高用量です。

 3月9日に私 は担当医師と面談しましたが、そのときに同医師から、状態によっては抑制系の薬を使うことがあると説明され、「できるだけ使用は避けていただきたい」と希 望を述べました。この意見は、私の10年余りにわたる老人病院での勤務経験から、重度の認知症患者でも、不満の原因を一つひとつ解決してあげれば、薬物を 使用しないでも十分に介護できることを知っていたからです。なお、同医師はカルテに、私が「抑制系の内服」を「なるべく使用しないでほしいようなムード だった」と記載しています。この面談の際に、同医師はその前日フルジサール投与によって母の足腰が立たなくなったことには全く言及しませんでした。その事 実を知ったのは、やはり開示されたカルテを読んでからのことでした。

 3月8日から13日までは投薬がなく、14日から19日までグラマリール25mgが毎夕投与されています。

 そして3月20日にはグラマリール25mgの投与はなく、夕食後にリスパダール0.1gが投与されました。これは1%の細粒と考えられますから、リスペリドンとしての力価は1mgに相当します。

 

注3 インフォームド・コンセント

 本来医療に は、医師と患者またはその家族との間で説明と同意が必要です。医師は、このような理由でこれこれの治療をおこなうという説明をし、それについて患者側の同 意を得なければなりません。また、それまで行われていた治療を大きく変更する場合にも、やはり説明と同意を必要とします。

 

注4 身体の抑制と拘束

 患者の手足や 体をバンドや紐で縛って動けなくすることを抑制または拘束といいます。一般には点滴や経管栄養のチューブを引き抜いてしまう患者に一時的におこなわれます が、オムツをはずしたり体内に入れられたチューブを抜いたりする恐れのある患者の場合、「つなぎ」という一種の拘束服を着せるのも抑制であると考えられて います。また車椅子からの転落を防止する目的で、患者の胴体を車椅子に縛りつける抑制もあります。

 これらの処置は多くの場合一時的で、かつ家族の承諾のもとにおこなわれます。

 

注5 薬物による抑制・拘束

 昼夜逆転のあ る患者や、妄想幻覚のために徘徊したり大声を出したり暴力行為に及んだりする患者に対し、薬物を投与して鎮静させることを指します。向精神薬が用いられま すが、軽い睡眠導入剤ならまだしも、人格を変えてしまうような統合失調症用の薬剤を用いる場合もあります。これらの薬剤では重篤な副作用も起こりうるの で、使用に当たっては精神科の専門的知識と、適応症および投与量等に関しての細心の注意が必要です。

 なお、最近では薬物による抑制は、身体の抑制と同じく、患者の人権を侵害するものだとして告発する動きがあります。

 

 

【発症】

 

 3月21日(春分の日)、リスパダール1mg投与の翌日のことです。

見舞いのため当老健施設に向かっていた私に、母が傾眠傾向にある中で朝食を誤嚥(気管内に吸い込むこと)し発熱、抗生物質を点滴中との連絡がはいりました。

 午後1時30分に到着すると、ナースステーション横の特別室に移された母の状態はこれまでに見たことのないものでした。

 母は目を閉じ て大声でうめき、いくら呼んでも答えてくれません。体は熱く、明らかに発熱しています。四肢の筋肉はガチガチに硬直し、私の指だろうがシーツだろうが手に 触れるものは何でもつかんで離しません。私は脳神経を専門とする分野で長年医師を務めてきましたので、母の呈する症状がただごとではないことをただちに理 解しました。何でも触れるものをつかんで離さないのは、前頭葉が抑制されたときに現れる原始反射の一つで、把握反射といいます。自分の意思で物をつかんで いるのではなく、反射でつかんでいるのです。そのとき私は他の原始反射である眉間反射も口尖らし反射も陽性であることを確認しました。

 私の目にとまったのは、意識レベルの低下と発熱および筋強剛を中心とする錐体外路症状、それに前頭葉の抑制症状でした。

 担当の看護師は誤嚥による肺炎との当直医の診断を私に告げ、輸液と抗生物質、それに解熱剤の座薬を投与していることを教えてくれました。不審に思った私は前夜からの投薬内容を尋ね、3月20日の夕食後にリスパダール1mgが投与されたことを知りました。そこで、念のため施設の聴診器を借り、母の胸部を聴診しましたが、肺雑音はありませんでした。しかも、SPO2(動脈血の酸素飽和度)は94%でした。肺炎の診断には疑問を持たざるをえませんでした。

 いったん施設を辞した私は、午後6時に弟と施設で合流しました。4時間経っても母の症状には変わりがありません。そこで私は弟に悪性症候群を疑っている旨告げました。

 翌3月 22日朝、施設の職員から私に電話があり、母は当老健施設では看られないから隣接の系列病院に移ってもらうとの連絡がはいりました。了解しましたと伝えて 間もなく、同病院の副院長から、肺炎疑いだが院長が当院での治療は無理だと判断したので市内の公立病院に救急搬送したい、私から公立病院に依頼してほし い、症状が安定したら隣接の当該系列病院で引き取りますとの連絡がはいり、私はただちに公立病院救急センターに母の受け入れを依頼しました。なお、この異 常事態に当たり、担当医師からは、私ならびに私の家族に対し、ひとことの説明も連絡もなかったことを書き添えておきます。

 母は公立病院に移り3ヵ月間治療を受けましたが、意識障害が遷延し、四肢の拘縮を残したまま植物状態となってしまいました。

 

 

【周辺事情】

 

 いったい母には何が起こったのでしょうか。

 母が持参したアリセプト5mgとバファリン81mgは家族への説明もなく、入所当日に中止と決定されていました。家族と言っても、私たち兄弟は医師であり、主治医としての私が診療情報提供書に、認知症が「アリセプト投与でそれほど進行せず・・・」と記載し、かつ添付の公立病院の頭部CT所見には、「Small old infarctions(小さな古い複数の梗塞)」と、バファリン投与継続が必要であることの根拠が明記されています。

 一般に、老健施設での薬剤の投与中止には、医学的根拠によらない場合があります。それは薬代の節約です。実例がNHKのドキュメンタリー番組で報道されたことがありますので、ご存知のかたもおられるでしょう。

参 考までに述べますと、薬剤を投与しないことは施設側に経済的なメリットとなります。老人保健施設は一人当たり1ヵ月いくらで請け負うという丸め報酬制です から、この2剤を中止することで月に約1万5千円の出費が抑えられます。また、この施設では主として後発医薬品が使われており、それらがない場合にのみ、 先発品が処方されているという印象を受けます。母のカルテに記されたインメシン、フルジサール、ラセナゾリン、アステマリン3号などという薬剤は全て後発 品で、先発品に比べて費用節減効果は大きいと言えましょう。

なお、施設の担当医師は、後になって、アリセプトの中止理由として、認知症が初期段階ではないので適応でない、との書簡を私によこしましたが、投薬の中止と再開を繰り返さないで、どうして無効と判定できるのでしょうか。また、バファリンの中止に関しては、同じ書簡の中で、転倒の危険性が高かったため外傷発生時の出血を懸念したとの理由を挙げていますが、足腰が立たなくなるほど向精神薬を投与するつもりだったので転倒をあらかじめ予測していたということでしょうか。脳梗塞が存在するという公立病院のCT所見およびバファリンによって梗塞の再発を予防するという私からの情報提供は全く考慮に値しなかったのでしょうか。

 さて、中止の結果、母にどのような変化が起こったかを考えてみます。

 まずアリセプ トですが、私が自宅で看ていたときには、中断により明らかに認知症症状が増悪しました。具体的に言うと、理解力が落ちて怒りっぽくなり不平不満を声高に述 べるようになりました。多分入所した老健施設でも、中止後は認知能力の低下と幻覚などのため、次第に扱いにくくなっていったものと思われます。本来認知症 患者は、人格が完全に崩壊してしまうまでのかなり長い間、その人に固有の論理が保たれており、したがってその人に納得できる理屈で対応してあげれば、一見 理不尽に思われる態度も比較的容易に解消するものです。例えば夜間に徘徊する人に同行してその人の求めている物あるいは捜している物を見つけてあげること で、あっさりとベッドに戻ることがよくあります。

 入所2日目にフルジサール50mgを投与し、主治医が「足も立たず」と記載したこの施設で、果たしてそれだけの努力と工夫がなされていたのでしょうか。なされていなかったからこそ、フルジサールやリスパダールを投与して患者を黙らせる必要があったのではないでしょうか。

 次いで、バ ファリンの中止について考えてみます。バファリンは血小板の凝集を抑制して血液の凝固を妨げ、脳梗塞や心筋梗塞を防ぐ働きがあります。母の場合、既に脳に 多発性のラクナ梗塞が見つかっていたので、その再発拡大を防ぐ目的で投与していたことは、上に述べたとおりです。そこで、そのバファリンですが、中止後7 から10日で効果が完全になくなることが分かっています。

 2剤の投与にはそれなりの理由があり、その旨を明記した診療情報提供書を母は持参して入所しました。にもかかわらず、その翌日からそれらの薬剤は中止され、中止の理由は私と家族に告げられませんでした。

 さて、リスパダールの前にグラマリール25mgが投与されましたが、この薬剤の一般名は塩酸チアプリドでフルジサールと同成分です。当時はフルジサールに25mgがなかったので、先発品のグラマリール25mgを 使ったのでしょう。この薬剤は譫妄(錯乱状態)や妄想などの症状に使われますが、入所前の母にはこの薬剤を必要とするような興奮症状は全くありませんでし た。その添付文書の副作用の項には、平均67歳の高齢者では健康成人よりも半減期(血中濃度が半分になるまでの時間)が1.5倍延長する、と明記されています。高齢になればなるほど腎機能は悪くなりますから、83歳の母の場合、半減期はさらに延長していたことは想像に難くありません。そしてこの薬剤の副作用には、悪性症候群や錐体外路障害が挙げられています。

 

 

【リスパダールについて】

 

 リスパダールは、統合失調症(旧名精神分裂病)にのみ使用を承認されている薬剤です。認知症への投与は認められていません。それどころか、その投与は危険ですらあります。

外国において、リスパダールを高齢認知症患者の周辺症状に対して投与したところ、脳血管障害を起こしたり死亡率が高くなったりしたことなどが報告されたため、製造発売元であるヤンセンファーマ社と行政当局は、認知症には適応がない旨警告文書を出しています。

日本においても、上記について、国立医薬品食品衛生研究所が「医薬品安全性情報」で複数回の有害事象報告をおこない、日本のヤンセンファーマ社も2度にわたって「使用上の注意」の改定をおこない、注意を喚起しています。

また日本のヤンセンファーマ社は、リスパダールの適応拡大を目的として、痴呆に伴う精神症状(妄想、幻覚)の治験を最終段階の第3相まで進め、2004年中に終了を予定していましたが、上記の有害事象発生のため、治験そのものを中止しました。したがって、再度強調しますが、認知症はリスパダールの適応外の疾患なのです。

なお、適応症である統合失調症患者に本剤を投与する場合でも、高齢者では副作用が現れやすいので、少量(10.5mg)から開始するよう添付文書に明記されています。

そして、この薬剤の副作用として添付文書に挙げられた症候の中に、悪性症候群・脳血管障害・錐体外路障害があることは明記しておく必要があるでしょう。

 

 

【考察―何が起こったのか】

 

 入所当日からアリセプトの服用を止められた母は、認知症状の再燃と知らない場所に取り残された不安とで、強い不穏症状を呈していたことでしょう。

 施設側はこのような患者に向精神薬を投与して鎮静させ、自分たちが扱いやすいように、言わば飼い慣らそうとしたのです。それがフルジサール50mg、グラマリール25mg、リスパダール1mgの投与でした。

 一方、バファリンが中止されたことにより、3月17日ごろから、母の体内では血液が固まりやすくなっていました。

 グラマリールは3月14日から19日まで投与されました。

 そして、いま だグラマリールが体内に残っていたと推定される20日の夜、リスパダールが投与されたのです。その翌日は休日で、投与を指示した担当医は出勤していませ ん。精神科を専門としない担当医が、適応を認められていない認知症の周辺症状に、規定の2倍量の薬物の投与を指示したまま帰宅してしまい、翌日は休んでい たのです。

 しかもその時、母の体内では、バファリンの効果が切れ、血液が固まりやすくなっていました。脳梗塞が起こっても不思議ではない状態にあった母に、脳血管障害を起こすことで禁忌とされているリスパダールが投与されたのですから、事件が起こっても不思議ではないでしょう。

 悪性症候群と脳血管障害の波状攻撃の前に、高齢の母はひとたまりもなかったと思われます。

 

 

【その後】

 

 公立病院での治療も効を奏せず、母は寝たきり生活を送ることになってしまいました。救急車で搬送されるときには、症状が安定したら隣接の系列病院で引き取るという約束がありましたが、しばらくすると、病院側から「入院を断る」旨の連絡がはいりました。

その後母は、別の病院に転院し、寝たきり生活を送っています。その事実を知りながら、担当医および施設の経営者は一度の見舞いに来ることもなく、私に経過を尋ねることもしていません。

それどころか、私が電話をかけても、施設を訪れて担当医に面談を申し入れても一切応じず、弁護士が対応いたしますと門前払いを食わせました。

私は施設の経営者に対して、損害賠償請求をいたしましたが、1年半を過ぎても音沙汰がありません。そろそろ痺れが切れてきましたので、裁判による決着を図ろうかと考えているところです。

2008年12月

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